ラ・ラ・ラ・メディテーション

2011/02/05(土)04:11

ドロボーイとイノボーヤ

プライベート(186)

ビハール州の二度とは行けない奥地の村で、世話になったゴパール・ジーが、「日本語ではドロボウとはなんて言うのか?」と聞いてきて、お互い片言の英語で、時間をかけてなんとか意味が通じ合い(というのは、回りは見事に、ヒンズー語しか喋れない人だし、外国人は僕が始めて来訪したというゴパール・ジーの奥さんの実家でのこと)僕が「ドロボウ」と言うというと、ゴパール・ジーはどうやら、僕のトラベラーズ・チェックを、ゴパール・ジーの息子の一人が盗んだらしい・・ということを僕に神妙になって、日本語を使って報告したかったみたいだが、ゴパール・ジーが「ドロボーイ」「ドロボーイ」と言うので、それがおかしくて、お互いに笑い転げてしまった。どうせ満天の星空と、羊の絞りたてのチャイとナンとダル・スープだけで、一日は過ぎてしまう日々だったし、お金なんてしばらく使ってなかったし、かなりの量がなくなったと思うのだが、そして父親のゴパール・ジーはその犯行に関係していたのかしていないのか、わからずじまいだけれど、植木等そっくりのゴパール・ジーは、美人の奥さんとたくさんの子供を僕に紹介するために、どこの馬の骨かもわからない僕の手を取って(実際に良く手をつないで歩いてくれた)長いバスでの旅を共にしてくれて、その上が僕が落ち込んだり心配してると見て取ると、すかさず、「ハレ・クリシュナ♪ハリ・ラーマ♪」なんて歌いだして、絶妙のユーモアのある正体不明のオジサンだったから、もう僕は、盗まれたトラベラーズ・チェックのことなんかより、「ドロボーイ」「ドロボーイ」と言って、笑い転げる風に、その時はスイッチが入っていた。  タバコを買いに夜中にバイクを走らせて、猫の大集会と、猪とその子供たち五六匹に遭遇した。まだ本当に瓜みたいにちっちゃくて、縞も斑点もあるし、逃げずにもたもたしている。僕は「ドロボーイ」からの関連からか、彼らのことを「イノボーイ」と呼んだり、「イノボーヤ」と呼んでいる。 「イノボーイ」たちに会ったことを、アバヤに言ったら羨ましがっていた。正確には瓜坊主でなく、瓜坊と言うのだとは始めて知った。僕としては、「イノボーヤ」か「イノボーイ」に会えたし、おかげで、ゴパール・ジーのことも思い出せたし、幸せなマヤ暦の正月の真夜中だった。

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