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2007/12/02(日)06:51

自社株買いについて その2

投資スタイル・手法など(112)

 バリュー投資をしていると「この会社、自社株買いをすればいいのになぁ~」というケースを何度も見かけると思います。そんなとき、私は自社株買いが中々実施できない経営者サイドの理由を想像しています。  例えば、もし自分がかつて1000円で買い2000円で売った銘柄があるとします。これを、現状のバリュエーションで割安だからといって3000円で買うのはやや躊躇しないでしょうか?これと一緒で、かつて50円で発行した株式をたとえ現状の価値が2000円あるからといって1000円で買い戻すのは、経済的に合理的な行為であっても人間は躊躇するものではないかと思います。さらに、日本では「売上高」とか「預金残高」とか「時価総額」とか内容より規模の大きさを比較する習慣がまかり通っていたように思います。そうすると、規模を気にするのであれば、発行済み株式をわざわざ減少させる自社株買いは躊躇する行為なのではないでしょうか。理論的には自社株買いをして企業が同様の価値を維持すれば、マーケットで同額の時価総額に収束するのでしょうが、ここまで合理的に考えられないのが通常だと思います。むしろ、「これ以上成長が望めないのではないか」という評価を受けることを気にして自社株買いに踏み切れなかった気がします。  今年は確かにマーケットは冷え込んでいますが、その中で今まで自社株買いに踏み切らなかった企業が次々に実施したり、増配しているのを見ると、株式投資をするには面白い時期なのかなと想像しています。必ずしも株主還元が意図でないケースもあるとは思いますが、十分に市場の評価を受けていない会社にとっては自社株買いは最も簡単な価値創造の手段となり得るので、素直にその恩恵を受けてみたいと思うわけです。

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