ボードゲームを輸入しよう
創世記1503はカタンの作者トイバーの作で、大航海時代の航海と開拓をテーマにした作品です。 ------------------------- ゲームボードには2種類あります。 4枚ある本拠地ボードは各自の本拠地を表します。 プエルトリコと同じように、この本拠地ボードを発展させるのが目的です。 ボード上にはサイコロの目が描いてあります。 本拠地ではサイコロに対応した資源を産出します。 四角のマスには住民タイルを置きます。
産出した資源は以下の4つに使います。 ・住民を増やす ・住民を発展させる(裕福にする) ・船を建造する ・お金に換える テーブル中央には海ボード。 一面の海に島の絵が散らばっています。 ゲームの最初に島の絵の上にタイルを伏せて置きます。 タイルには資源・原住民との交易・宝物の3種類があります。 海ボード上で船を動かして、島を「発見」するのです。 資源タイルには資源が1種類かかれており、資源カードを生み出します。 資源タイルの内、香辛料とタバコは本拠地では産出しない貴重な資源です。 香辛料とタバコは住民を裕福にするために必要です。
カタンと違ってプレイヤー間で資源を交換することは出来ません。 代わりに(香辛料とタバコを含め)不足している資源はお金で買うことも出来ます。 通常金貨6枚で1資源を購入できますが、海上で「原住民との交易」を発見していれば、タイル1枚に付き購入代金を1減らせます。 お金は余った資源を住民に売れば入手できます。 裕福な住民ほど高い資源を買ってくれます。 ゲームの手順はカタンとそっくりです。 各自手番の最初にサイコロを振り、出た目に対応する資源を受け取ります。 振った本人だけでなく、他のプレイヤーも資源を受け取れるのは、カタンと同様です。 6が出れば代わりにイベントが発生します。 火災・海賊・豊作。 火災と海賊は発展しているプレイヤーほどダメージがきつくなります。 次に資源を消費して本拠を発展させます。 船もこの時建造します。 最後に船を動かします。 船が島にたどり着けば島タイルをそっとめくります。 気に入ればタイルを取りますし、気に入らなければ航海を続けることも出来ます。 タイルを取ったら船はなくなるので、再度建造しなければなりません。 その他に、特殊建物がゲームに彩りを与えています。 ゲームは以下の5つの目標のうち3つを満たしたプレイヤーが出た時点で終わります。 金貨を30枚、資源島タイル4枚、原住民との交易3枚、最も裕福な住民3枚、特殊建物4枚です。 目標は自分の戦略に併せて選ぶことが出来ますが、幾つかの目標はタイル等の数が足りず、全員が満たすことは出来なくなっています。 ------------- 以下は私が遊んだ感想です。 現時点で妻と2人で何度も遊んでいます。 3-4人では遊んでいません。 「運あり」「島や特殊建物の取得競争あり」「発見した資源によって戦略が変わる」 リラックスして遊べる開発ゲームで、妻は手放しで気に入っています。 我が家では準定番ゲームになっています。 ゲームは2人専用の宇宙船カタンと類似性が有ります。 二人用の「宇宙船カタン軽量版」としては、なかなか良いゲームだと思います。 二人ならプレイ時間も1時間を切りますし。 宇宙船カタンと同じく、ゲームの基本構造は発展競争で、プレイヤー間のからみは希薄です。 1503の島タイルが「宇宙船」の殖民惑星や貿易惑星にあたり、 1503の船駒は「宇宙船」のシャトル同様使い捨てになります。 1503の特殊建物は「宇宙船」のモジュールと同じ働きをします。 1503には貿易が無く、代わりに島の住民への売却と外部からの購入になります。 住民の発展度合いによって高い品物を買ってくれるようになります。 ざっくり言うと、1503は「宇宙船」から貿易・戦闘が無くなりプレイ時間が短くなったゲームと言えるでしょう。 プレイヤー間のからみが殆ど無い(限られたタイルの獲得競争)点と、宇宙船カタンよりディティールが荒い分選択肢が少ない点から、上級者をうならせる名作とは言えません。 ただ、あのトイバーが駄作を作るはずは無く、軽い「宇宙船」が遊びたければ1503年は良いゲームだと思います。 事実我が家では、創世記1503の方が宇宙船カタンよりプレイ頻度が高くなりました。 高すぎた期待にたいして軽い出来だったため、海外レビューサイトでの点数評価が低いのかもしれません。 良い点として、富める者がますます富む展開を抑えるために、プレイバランス調整の仕組みがゲームに組み込まれています。 例えば、サイコロを振って資源を獲得する際には、全プレイヤーが必ず1枚もらえます。 発展しているプレイヤーには資源の選択肢が増えるだけです。 ダイスによって起こるイベントも、発展しているプレイヤーほどダメージがきつくなります。 その結果、16回のプレイで1回も興醒めするほど大差がついたことは有りませんでした。 この辺、カタンを育てていったトイバーの今回の注力点なのだと思います。 既存のレビューでは殆ど触れられていないのが残念です。 ただし、このゲームは2人専用カタンと解釈したほうがよさそうです。 3人以上で遊ぶのならば素直にカタンを遊びましょう。 理由は交易が無いことと地形ボードが無いこと。 プレイヤー間のかかわりが、数少ない島や特殊建物の獲得競争だけなので、 3人以上で遊んでも多人数ソロゲームのようになるはずです。 とてもカタン・プエルトリコ・フォルダンプ・ディマッハー等の濃密なプレイヤー間交渉のあるゲームには勝てません。 以上、私の感想では、創世記1503は良い点・悪い点が混ざっています。 「カタン」「リラックスして遊べる開発ゲーム」「2人用」「1時間弱のプレイ時間」というキーワードに共感いただけるならば、買っても失望しない作品だと思います。 追記: (発売時のコメントです)つい最近、創世記1503の拡張セットの開発が発表されました。 タイトルは「創世記1503 貴族と海賊(仮称)」 タイトルから想像するに、海ボード上で海賊が活躍したり、本国との関係が出来たりするのだと思います。 思うにトイバーは最初は大航海時代をテーマにした、スケールが大きいゲームをデザインしている途中で、アイデアを2つに分離したのではないでしょうか? 拡張セットによってプレイヤー間の交渉が増え、もっと面白いゲームになることを期待し、今から楽しみにしています。 拡張セットが出れば、こちらも翻訳して紹介したいと思います。