フランチャコルタの中のフランチャコルタ!カ・デル・ボスコ社のデチェンナーレ
イタリア最高のスパークリングワインの銘柄は誰がなんと言おうとフランチャコルタに間違いありません。EUのワイン法において、瓶内二次発酵のワインであるということをラベルに表記してはいけないのはシャンパーニュとフランチャコルタのみです。これは品質的にシャンパーニュとフランチャコルタが自らのワインによって自らの生産地のテロワール、そして生産者のポリシーをワインを通じて高いレベルで表現しうる証です。いくらその歴史が数百年違うものであっても、いくらその生産規模が70倍も差があろうとも、ワインの質そのものを見れば、両者における差はテロワールとしての違いだけであり生産者の質に対する非常なる思いにケチをつけられる余地は皆無であるということです。そのフランチャコルタのリーディングワイナリーの一つ、おそらくは「東の横綱」的存在であるのがカ・デル・ボスコ社であります。毎年必ずカ・デル・ボスコ社のフランチャコルタは複数プレステージの高いラインでテイスティングしますが、その美味しさは極めつけ、そのプロポーションの美しさは、ミス・ユニバース級であります(^^;)って、ちょっとレベルの低い表現でしょうか・・・。でも、なんかこう、セックスアピール満点のハリウッド女優とかね、そういうのを想像して、舌なめずりしたい・・・そんな美味しさでもあると思います、カ・デル・ボスコのワインは。今回の主人公は、その最高キュヴェ「デチェンナーレ」。「10年に一度の逸品!」というようなニュアンスがあるのでしょうか。それにしてもラベルのどこにもデチェンナーレと記載されていないのが不思議です。インポーターさんさえ把握していないのも更に不思議ではあるのですが。ともあれ、そういうのに文句をつける必要の全くないほどにこのワインの味わいは磨きに磨きをかけたエレガントさが輝いていて、味わう者を陶酔の中に引き込んでいきます。色合いは光り輝く黄金色。香りは、その酵母の香りにおいて、ついにブリオシュに到達しています。熟れたリンゴ、洋ナシのコンポート。バニラやナッツ。ところが、このワインの圧倒的に素晴らしいのは、前日のロゼ同様に、その複雑味が限りなく完璧な円形を描いていることです。あまりに複雑で、あまりに色んな香りがあって、言葉になりにくい、そして何かしら完全な形の円形をイメージしてしまうのです。昨年もこのワインはテイスティングしましたが、そういう域には到達していなかったように思います。今回は、熟成度が深まったせいでしょうか。つまりは二酸化炭素のレベルが幾分落ちた分酸化が進んだせいでしょうか。果実味がいい具合に熟れていて、酵母の発展した香りであるクロワッサンやブリオシュをイメージする香りが出ていて惚れ惚れするようでした。味わいにおいては、泡のクリーミーさは特筆すべきレベルです。アミノ酸をしっかりと含んだ液体に、細かく細かく、何度も何度も泡立てたような滑らかで繊細な気泡の層が口蓋を柔らかくタッチしていきます。めちゃくちゃに気持ちよい愛撫のようです・・・・。泡は非常に多いのですが、その出方が、若さがない分、勢いがなく、それだけに滑らかな優しさを感じさせてくれるのです。また、このワインが最高の逸品であることを証明するのは余韻の長さです。いつまでも心地よい香りが持続し、陶酔の時間は無限に続くようでした。まだまだ先までボトル熟成させたくなるようなワインです。でも泡がなくなっちゃうとちょっと寂しいですよね。そういう意味では、今からが最高の味わいを開けだすように思います。大きな目標を設定して、それに到達したときに、歓喜の瞬間に味わってください。並みの目標ではいけません。人生を賭けた何かです(^^;)もちろん、大切な友人や恋人、また家族の重要な日に。そういう時間をともにしたいワインです。高いけど、だからこそ張り合いも出る!そしてシャンパーニュに比べれば、間違いなくコスパはあると確信します!