本書は大変読み応えのあるミステリーですが、著者バーバラ・ヴァインは、題材によってその名前を使い分けており、"ルース・レンデル" という別の名前でも推理小説を書いています。1930年、ロンドン生まれの女性です。
そして、どちらの名前でも、数々の大きな賞を受賞し、イギリスはもちろん、アメリカ、フランスなどに多くのファンがいるようで、世界15ヶ国語以上に翻訳されているというのですからすごい!
恥ずかしながら、私はミステリーは好きなのですが、ごく限られた読書量ですので、本書を読むまで、そんな大作家だとは知らなかったのです。本書を読んだきっかけは、確か、新聞のミステリー小説の紹介の中で、べたぼめに近い高評価だったのを見たことです。実際に読んでみますと、想像をはるかに超えたストーリーでした。
ストーリー ■~■
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有名作家のジェラルドキャンドレスが、その妻と娘二人をのこして突然亡くなります。
娘の一人で大学教師である姉に対して、生前ジェラルドを担当していた出版社から、亡くなった最愛の父について本を出版しないかという打診があり、それを引き受けます。
しかし、父について何かを書こうと考えると、改めて父の過去を知らないことに気付き、それを調べるために父の生地へ赴きます。
ところが...、そこには父と同名のすでに亡くなっている子供の墓とその親戚が住んでいるだけでした。
つまり、本物のジェラルドキャンドレスはとうの昔、彼が子供の頃に死んでいた人物のことだったのです。いったい父親はどこの誰なのか...。
ありとあらゆる手がかりを頼りに、徐々に明らかになっていく驚愕の事実。読んでいるうちに背景説明より先が知りたい!というような気持ちにさせてくれます。
一見幸せそうな家族が、実はとんでもないお芝居だったというような話なのです。最後はあっと言わせる結末です。
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それにしてもため息が出るような一冊で、よくこういうストーリーやエピソードを思いつくものだと感心します。(宮部みゆきの『火車』 にも、似たような感想がありましたね。表現力不足です。はい)
キャンドレス一家の自宅で "ハサミを使ったゲーム" をし、訪れた客をからかうような場面からはじまるのですが、いきなり不思議な世界です。非常に長い小説で、途中あちらこちらにラストへつながるヒントがちりばめられていて、凝った作品というイメージです。
とてもおもしろかったので、本当はすぐにでも、また別の作品を読みたいと思っていますが、どれも超長編なので、普通の本の三冊分くらい?ちょっと二の足を踏んでいます。438ページなんですが、2段で字が小さい。ブログの記事にするのに時間がかかるなぁと...。悩ましいところなんです(笑)。
今年夏休みが取れれば(多分ムリですが)、数冊まとめて読みたいなぁ~と思わせる作家でした。それにしても70才を超えてこんなに意欲的な長編小説が書けるとは...。すごいです。
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