|
カテゴリ:カテゴリ未分類
来週、S社の懇親会と新たなヨーロッパ規制についての説明会があるため、南京へ行く事になった。
懇親会と聞くと、何か楽しい雰囲気に聞こえるが、内容は、仕入れ業者を集めて、「こんなに、大変な市場環境ですから、皆さん、価格協力して下さい。」というもの。いわゆる、値下げのための会だ。 無錫のIさんも行くそうで、話していたら、「S社のMさん、5/1で、日本へ戻るそうですよ。」との事。 衝撃を受けた。Mさんが居なければ、採用されなかったし、N社の破格に対しても、商権を守れなかっただろう。私達の製品を、新規採用し、N社をはねのけたのは、社内で、技術的見地からの判断をしてくれたからで、彼が居なくなった後、S社が正しく判断してくれるか、心配である。 取り敢えず、Mさんに会わなきゃ、今までのお礼を言おう、そして、今後の事、アドバイスしてもらわないと。 電話をした。 vivien 「お休みのところ、申し訳ありませんが、Iさんから、 情報を伺いまして、日本へ戻られると、、、 驚いて電話しました。」 Mさん 「こんな貧乏会社は、休みなんて無いよ。」 vivien 「失礼しました。来週、御社の懇親会などで、そちらへ 行きますので、もう、最後になるのかな、と思って、 皆さんからのお誘いあると思いますが、一緒に、 食事出来ませんか?」 Mさん 「食事?まぁ、ね、それも大事だけど、私は、あんたの 工場を未だ見ていないんで、見たいんだ。」 vivien 「それは、ありがとうございます。嬉しいです。いつが 宜しいですか?」 Mさん 「あれは、あんたが開発したもので、そのいきさつは、 あった。けれど、我々の要求品質を満たしているか、 どうか、受け入れ検査する事が出来ない。問題があって からしか、解らない。するとね、どうなる?作る人を 信じるしかないんだよ。」 vivien 「その通りですね。1000時間テストは、その度に 検査できないですね。」 Mさん 「だから、工場を確認して、出荷体制はどなっているか、 とか、詳しく調べないといけない。」 vivien 「なるほど。」 Mさん 「以前、あんたは技術屋だったから、その面は一生懸命 やっていたと思うが、今は、立場が違うからね。社長に なると、利益追求せないかん、という事で、段々、 変わってしまうもんだろう。」 vivien 「確かに、そうかも知れませんが。私は、社長と言っても 雇われママみたいな立場です。」 Mさん 「ハハ、雇われママでも、借金を返さなあかん。そういう状況 で、信念を貫けるのか、どうか、だ。」 vivien 「もし、それを貫けないのであれば、、、、意味がありません。 日本へ帰ります。」 Mさん 「そっか、意味が無いか、日本へ帰る、そうだな。」 ・・・・ 中国での競争は、全く品質管理されていない製品との競争で、そんな会社のコストが低いのは当り前で、そんな会社の製品に対して、技術力でコストダウンして対抗しなければならない。 常に、新製品の開発をし続けないと、いけない。 むしろ、今、私の問題は、中国の人事管理の面である。 当り前の品質管理をすべく、社員教育を進めても、社員の向いている方向は、お金であり、気楽な毎日。馴れ合いによって、問題に取り組まない事が、安定な工場。 Mさんは、会わなくても、そんな私の現状を見抜いているんだろう。 けれど、こんな現状なら、S社は、許さないだろう。 実際、中国に於いて、日系の大会社であっても、悩みは、同じだ。 世界競争の中で、製品の価格は、どんどん下がる。 下げないと、売れ無い。 日本で受けた、当り前の品質管理の教育からすれば、とんでもない、管理の製品が、売れている。我々は、良い品質です、だから高いんです、は、通用しない。 こんな品質でいいの?じゃ、そういう風に作って対抗する?って、考えて、けれど、日本人のDNAでは、なかなか、それが出来ない。 当り前の品質管理をして、その高価な管理費用を使う時、小手先のコストダウンでは、コスト競争には、勝てない。だから、技術開発によって、大きなコストダウンをする。これを繰り返す。 そして、日本から来た技術者は、その苦労をしながら、更に中国人スタッフの向いている先が異なるために発生する問題を抱えながら、取り組まないといけない。 日本の本社側で、よく理解することは、難しい。 ある割合の日本人は、そういうギャップに、一人苦しみ、孤立して、うつ病になって、日本へ戻る。もう、どうにも、ならない、そんな風に追い込まれるんだと思う。 ある割合の日本人は、女性に走る。若い女の子を手に入れることは、この国で簡単だ。 ある割合の日本人は、同化して、不正なお金を自分でも取るようになる。取ろうとしなくても、向こうから持ってくるのだから、断らないだけで、お金は入ってくる。 ある割合の日本人は、問題に蓋をするか、あるいは、本当に気が付かないか、で、気楽にやっている。こんなおじさんが、中国を語ると、「本当に、いい国ですよ。」って。本当にこんな人、大嫌いだ。 ・・・・ Mさんも、10年間、ずっと、悩みながら、やってきた筈だ。 昨年定年で、追加で1年。 工場見学は、5月に来ると言った。 あれ?会社引退じゃないの?残るんですか? Mさん 「Iさんには、5/1で終わりっていってある。 一度帰るけど、17日から、来るよ。 あんただけに、教えた。内緒だよ。」 はっきり、残る、とは言わなかったけれど、また、戻ってくる、らしい。 ま、いいや。 龍が大きな弧を描いて、全ての事を、飲み込みながら、空を飛んでいく。 私は、上海の空を見上げながら、高層ビルの上を飛んでいく、龍を見る。 一緒に、巻き込まれながらも、負けちゃいけない。 Mさんが、そう教えてくれた、と思った。 ・・・・ あ、そう言えば、この前、会議室用のディスプレイとして買った、37インチの液晶TV、中国製だった。 Mさん、何て言うかな? やっぱり、中国製は安くていいですね、って言おうっと お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|