|
カテゴリ:カテゴリ未分類
開業以来、儲けたいと思って頑張ってきたが、
自分が好きなものと売れるものは違う、って言う事、 身にしみて、思い知った筈だった。 それでも、やっぱり、何か自分の中で、納得していないというか、 矛盾を感じていたのだと思う。 コロナの影響で、開業以来の最低売り上げを更新し続け、 お客が来ないから、時間を持て余し、すると、ぬくぬくと、 いつも出来ないことをやりたくなる。 売れないと解っているけれど、自分の好きなパンを焼いてみた。 小麦粉からおこす、自家製発酵種のルヴァン種をつくり、 そこから、かえり種、仕上げ種をつくった。 所要日数1週間。 毎日、粉と水を継ぎ足し、ドキドキしながら、酵母が育つ様を観察した。 そして、ようやく、ロデヴを作った。 粉と水だけで作るロデヴ。 発酵時間は合計で約4時間。 途中、1時間ごとにパンチを入れる。 水分率95%、パンチは、叩くのではなくて、 そーっと折りたたむ程度。 成形も、ただカットするだけである。 生地の取り扱いは、柔らかすぎて、とても難しく、見ていた チャンは、”何かの間違えじゃないか?”と言うほどだった。 大きさは、1個400g。 売りやすい価格でいうと、もっと小さくあるべきだ。 でも、美味しさでいうと、この方がいいに決まっている。 ドライフルーツを混ぜ込むフリュイにする材料は揃っているが、 作らなかった。 フリュイの方が人気がある事は解っているが、混じり気のない味わいを 楽しみたかった。 スチームで満たされたオーブンにスリップピールで入れ込んだ後、 ずっと、オーブンの中を覗いた。 ぺちゃんこな生地が、ぐーっと持ち上がってくる。 感動的な瞬間である。 260℃で10分後、温度を落とし、18分。 オーブンの中のパンの位置を変えながら、焼き加減を調整。 焼き上がり、少し冷めたところで、8mm幅でスライス。 クラムは、大きめの穴と小さな穴が無数に開いており、 口に入れると、クラストはバリバリ、香ばしく、クラムは、 しっとりと、ほのかな麦の甘み、何とも言えない感動だった。 美味しくて、食べてはスライスし、食べてはスライスし、 を繰り返した。 課題としては、柔わらかい生地の取り扱いだ。 道具も含めて、検討しよう。 聞きつけた常連さんが”欲しい”と言うので、売った。 「何もつけずに、焼かずに、スライスして食べてください。」 「サンドウィッチにするなら、生ハムとカマンベールとか、です。」 その後、連絡が来て、 ・・・・ラーメンスープに浸して食べたら美味しかった。 もう、何て言うんかな。絶句して、返事ができなかった。 確かに、お金出して買ったのだから、それをどうやって食べようと自由だよ。 だけどさ、美味しい”こしひかり”炊いて、農家の人に、 ラーメンスープに入れたら美味しかった、って、言わないでしょ? って言うか、言わなくていいでしょ、それは、ラーメンのスープが 美味しいって事なんだから、ラーメン屋に言うべきじゃないか? 心折れた。 売らなきゃ良かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|