虚空座標

2008/03/22(土)14:15

内包された黒

中国・(チベット)・韓国・モンゴル産(51)

先日、ガネーシュヒマールの黒い水晶のところで、 包物でまっ黒になっている水晶をモリオンと言うべきか ……と悩んでいたのですが、 実はガネーシュヒマールの黒以外にも、内包物のために黒くなっている水晶があります。 お店の人は「ブラックハーキマー」と呼んでいましたが、 ご存じのように、「ハーキマー・ダイヤモンド」と呼ばれる水晶は、 アメリカ、ニューヨーク州のハーキマー地区で産出する輝きの強い水晶のことです。 そのほとんどがDT(両錐)型なのは写真の石と同じですが、 ハーキマー・ダイヤモンドは比較的柱面が短く、ころんとした形をしています。 それに比べて写真の水晶は柱面がしっかりあり、 何より産地が中国なので、明らかにハーキマーではありません。 (ときどき、透明な水晶を小さなDTに削ったものが ハーキマーとか、ハーキマー・タイプという名称で売られていますが、 もちろん、ハーキマー・ダイヤモンドではありません) 写真の水晶をまっ黒にしているものや、ハーキマー・ダイヤモンドに見られる黒いインクルージョンは、 タールです。 トルマリンであると紹介されている場合もありますが、タールが正しいようです。 見た目もトルマリンぽくはありません。 こちらの写真の石も同じ産地の石ですが、 水晶そのものが透明であること、黒いインクルージョンがタントムを形作っていたり(左)、 塊状で(右)トルマリンらしくないことがおわかりいただけるかと思います。 つまり、最初の写真の石は、タールがたくさん入ってまっ黒に見えるのです。 ところどころが透明に透け、黒の原因がインクルージョンであることが明らかなせいか、 この石に関しては「モリオンと言うべきか否か」とは悩みません。 「黒いけどモリオンじゃないね」と即答します。 やはり、モリオンは水晶そのものの色でまっ黒でなければ……。 なのに、先日のガネーシュの黒はモリオンかもと思いたくなるのはひいきでしょうか。 ちなみに、ハーキマー・ダイヤモンドが産出する地層は、 かつて海であったことから、石に含まれるタールは海藻由来のものであると言われているそうです。

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る