カテゴリ:ヨーロッパ産
ギリシャはセリフォス島産の緑水晶です。 「筆状の」と形容される個性的な形状と みずみずしい色合いが特徴です。 10年ほど前から登場し、珍しい水晶として、かなりの値段で出回っていたそうですが、 私がその存在を知り、実物を手にしたのは、けっこう最近です。 手にしたかの水晶は、うわさに違わず不思議な形でした。 先端と根本が細くなった形は、なるほど筆。 よく見ると、細かく細い結晶が束になって溶け合っているようにも見えます。 しかも、たいていの結晶の根本には、 ほくろのようなヘマタイトの粒がくっついているあたりも不思議です。 写真の石はかなり細めの結晶ですが、 大型で太めの結晶ともなると、 束になった結晶がまるで絹糸のように輝いて まるで羽毛のようにも見える美しさ。 ところで、この水晶の色の原因は、緑閃石(アクチノライト)であると言われてきました。 ところが、最近この緑色の原因はヘデンベルグ輝石(ヘデンベルガイト)であると聞きました。 ヘデンベルガイトといえば、ダルネゴルスクの緑水晶の発色原因だと言われています。 さて、どちらでしょう? 色が違うような気もするし……と思っていたら、 ダルネゴルスクの緑水晶にも、そっくりな色があるんですねえ……。 (※追記、ダルネゴルスクではなく、パブロフスクでした) しかも、最近見たギリシャの緑水晶で、 初期の頃に採れたという石は、今出回っている淡い緑ではなく 深緑で、表面に照りがあるものでした。 こうなると、色が違うから片やアクチノライトで、 片やヘデンベルガイトでしょうと言うには、ちょっと自信がなくなってきました。 ただし、この写真の石を光に透かして拡大すると、 左下のように、細かな針状の結晶が見えます。 これはちょっとアクチノっぽいような……。 ヘデンベルガイト入りとされるダルネゴルスク産水晶では この針状の結晶を見たことがないような気がするのですが。 ギリシャとロシアでは、発色原因が違うのか、同じなのか、 それとも両方の産地に両方の発色原因があるのか。 時と共にいろいろな石や説が現れて、頭がごちゃごちゃしてきます。 それがおもしろいところでもあるのですが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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