カテゴリ:石について考える(調べもの中心)
最近、「スーパーセブン」についてもの申されているブログがあり、個人的にはちょっと眉間にシワで見ていましたが、このたびWikipediaでも、スーパーセブンについての記述があることに気づいてびっくり。 まあ、私もここで好き勝手に言いたい放題していますから、人のことは言えません。 しかし、Wikipediaとなれば、ある程度は公共的というか、信憑性を持つととらえられてしまうと思うので、私も、いっちょもの申してみたいと思います。 さて、ことあるごとに繰り返しているので今さらですが、スーパーセブンとは、クリスタルヒーラーのA・メロディ氏がさまざまな内包物を持つ水晶に対して付けた名前で、メロディ氏が特に重視していることから別名を「メロディー・ストーン」「セイクリッド・セブン」と呼ばれます。 スーパーセブン(セイクリッド・セブン)の「セブン」は、この石が水晶(クリア・クォーツ)、アメジスト、スモーキー・クォーツルチル、ゲーサイト、レピドクロサイト、カコクセナイトの7つの要素を含むとされているからです。 たいていの説明では「7つの鉱物」とされていますが、クリア・クォーツ、アメジスト、スモーキー・クォーツが鉱物としては「クォーツ(水晶/石英)」という一つのものであることから、「7つの鉱物」という言い方は正しくないので、あえて「7つの要素」と言わせていただきます。 なにやらとても強い力を持つ石であるとか、浄化不要であるとか、すべての石(部分)に7つ全部がそろっていなくても、全体でそろっていればスーパーセブンと見なされるのだと言われています。(この全体がどの範囲を示すのかは不明ですが) さて、私が最初に見ていたブログと今回のWikipediaの記述は論旨が似ています。 同じ方が書かれたのか、別の方によるものかはわかりませんが、ここではWikipediaの記述について書いてみます。 ※追記: ブログオーナー様が、Wikipedhiaへ記述したのではなく、いっさい関わりはないそうです。(削除依頼中とのこと) 記述内容も、ブログ様とWikipediaでは、まったく同じではなく、異なっている部分もあります。 ※現在リンク先は「セイクリッドセブン」というアニメの解説ページになっています。 石のパワーストーンのページは削除されたようです。(2014.12.23) Wikipediaの記述は、要約すれば「7つの鉱物(要素)からなる石といわれるが、鉱物的に見ると正しくはなく、ゆえにスーパーセブンという鉱物は存在しない」ということになります。 パワー面から何か言われていたら、私にはお門違いですが、鉱物としてもの申すというならば、私からもツッコミができます。 まずは、Wikipediaで、「鉱物的に」といいながら「鉱物的にはおかしい」点、 「……よってスーパーセブンは存在しない」と言い切る考え方のおかしい点、 それと、私のガラではありませんがイメージ的な側面からつついてみます。 では、「鉱物的にといいながら鉱物的におかしい点」から。 Wikipediaでは「鉱物学的観点から見る、この石の嘘とは?」というタイトルでまとめています。 先に挙げたスーパーセブンの要素を、「鉱物名」と「インクルージョン名」に分け、さらにカクコセナイトを 「アメジストもしくはスモーキークォーツにゲーサイトが入った鉱物の名称であることが明白」 とし、このことからスーパーセブンの七つの要素は揃いようがないと論じています。 (7つの要素の中でアメジストまたはスモーキーとゲーサイトがだぶるから) ルチルは「本来ルチルとは針状インクルージョンの総称であり、ゲーサイトやレピドクロサイトもルチルの一種になる。金色の針状インクルージョンのある石のみ、和名を金紅石と呼ばれている」のだそうです。 では、ツッコミさせていただきます。 最初の最初、「鉱物名」と「インクルージョン名」という分け方がそもそも変です。 確かに水晶はクリアもアメジストもスモーキーも「クォーツ」という一種類の鉱物ですが、 のこりの4つ、ゲーサイト、レピドクロサイト、カコクセナイト、ルチルはそれぞれ単独の鉱物名として存在します。 インクルージョンとは、言うまでもなく「内包物」の意味で、 「クォーツがゲーサイトなどの鉱物をインクルージョンしている」 「クォーツ中のインクルージョンとしてゲーサイトなどが見られる」 という言い方はできますが、鉱物名、インクルージョン名という使い方をする言い方ではありません。 カコクセナイト、ルチルについての記述にも誤解があるようです。 「鉱物学的には」カコクセナイト(Cacoxenite)は、和名をカコクセン石といい、鉄が主成分で3価の燐を含む燐酸塩鉱物です。 こちら(海外サイト)で、さまざまなカコクセナイトを見ることができます。 ここ(Wikipedia)で言われている 「アメジストまたはスモーキー・クォーツの中にゲーサイトが入ったもの」という「カコクセナイト」は、「鉱物学」としては正しいとは言えません。 この記述が「宝石宝飾大辞典」によるものだと書かれていることから、宝飾関係ではこのように見なしているのかもしれません。 また、ブラジルの産地ではカコクセナイトを含むアメジストのことを「カコシッタ」「カコシータ(カコシニータ)」と呼ぶのだそうです。 言うまでもなく、内包物であるカコクセナイトのことです。 内包物の名前が、石全体を示す名前として使われているわけです。 (身近なところでは「ルチル入りの水晶」を「ルチルきれい」といったりしますね) 宝飾関係では、産地の慣習的な言い方が使われている可能性があります。 アデュラリア(氷長石)のように、鉱物としては正長石の変種、宝飾業界(の一部)では、スイスのアデュラー山脈で採れる「透明な長石」を鉱物的な種類にか変わらず「アデュラリア」と呼んでいたりします。(アデュラリアの名前の由来はアデュラー山脈ですが……) ルチルは金色以外でも和名は金紅石。TiO2、酸化チタンです。 単独では金色ではなく、光を反射すると金属光沢、透けると赤く見えます。 「針状インクルージョンの総称であり、ゲーサイトやレピドクロサイトもルチルの一種」という言い方は、すでにおわかりの通り「鉱物学的」には全くの間違いです。 宝飾の分野でもすべてがこのような言い方はしないのではないでしょうか。 「針状なら全部ルチル」などという豪快な言い方をするのは、ビーズや一部パワーストーンくらいのもののように思われます。 さらには 「ゲーサイトとレピドクロサイトは互いに同質異像鉱物であり、殆ど同質のものである」 とあります。 これは正しいです。本格的に分析しない限り、見た目では二つを区別することは難しいそうです。 しかし、「同質異像」について少し補足しておきましょう。 「同質異像」とは、化学組成は同じ(同質)で、結晶の仕方が違う(異像)という意味。 成分はなるほど「同じ」ですが、鉱物としては区別されていることも多いです。 ここ(Wikipedhia)の文脈では、「ほとんど同質」だから、わざわざ分けて考えるのもおかしいというニュアンスに感じ取れてしまいそうですが、同質異像の鉱物にはカルサイトとアラゴナイト、 ダイアモンドとグラファイト(石墨)などがあります。 「ほとんど同じ」という言葉で安易に判断するのは危険です。 また、見た目で見分けるのが難しい(分析しなければわからない)からといってゲーサイトとレピドクロサイトが両方含まれているわけではないと言い切ることはできません。 可能性はあるのです。 私個人としては、今まで見てきた範囲では、アメシストとルチルの組み合わせを見たことがないので、スーパーセブンの中のルチルの存在を疑っています。 Wikipedhiaの記述は、 「インクルージョンを鉱物と同じ扱いをしている時点で、この石の名前をつけた人物は鉱物学の知識がなく、全くの無知であることが伺える。」 と断じていますが、私ごときにつっこまれるようでいいのでしょうか。 言わせていただければ、決して「鉱物学」として正しくないと思います。 (7つの要素として挙げている鉱物の綴りも違ってたりしますし) さて、次。 「……よってスーパーセブンは存在しない」と言い切る考え方のおかしい点、。 あ、ここでお断り申し上げます。良く読み返してみたら、Wikipediaでは「だからスーパーセブンは存在しない」とは結論していませんでした。 そういっているのは最初のブログです。 しかし、Wikipediaの言わんとするところも「鉱物学的観点から見る、この石の嘘とは?」であり、スーパーセブンの存在について疑問を呈していると思われるので、あえて、このままで書かせていただきます。 「鉱物学的」に見て7つの要素が揃わないから、という理由は、すでに書いたとおり、カクコセナイトもルチルも鉱物として存在することからここ(Wikipedia)の記述は成り立ちませんが、スーパーセブンに対して「鉱物名」「鉱物」と言おうとしていることからしてかなり妙だと思います。 どなたが書かれたかわかりませんが、おそらくは宝飾関係、鉱物関係の人ではなく、ビーズやパワーストーンよりの人でしょう。 さもなければ、そもそも「スーパーセブン」などというヒーリング分野の名前を持ち出したりはしないはず。 少なくとも「鉱物学」というものを引っ張り出すのなら、「何かを内包している水晶」に対して「鉱物名」などとは言わないでしょう。 言えるわけがない。 ルチルを内包していれば「ルチル入り水晶」ですが、「ルチル入り水晶」は「鉱物名」ではあり得ない。 鉱物名ではないものを使うのがおかしいというならば、「ムーンストーン」という「鉱物名」は存在しない。 ムーンストーンは数種類の長石にまたがって使われる「宝石名」だからです。 鉱物名を化学組成や結晶系に従って厳密に適用するなら、「SiO2」というラベル上の化学組成も結晶系も同じであるシトリンとアメジストは紛れもなく同一の鉱物で、シトリン、アメジストと呼ぶのはおかしい、クォーツであると言うことになってしまうのです。 そもそも、純然たるヒーリング分野のネーミングであるスーパーセブンに対して、まったく分野違いの理由を振りかざし、「存在しない」と断じることは、的はずれであるといわざるを得ません。 (つづく) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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はじめまして。ブログ興味深く拝読させていただきました。本当に仰る通りだなと感心しました。
私もこの「本当はこわい」のブログは心から嫌いです。一体何様?って感じで見ているだけで気分が悪くなります。ウィキに書き込みをしたのも九分九厘このブログ主であると思われます。 いつも登場する鑑定歴ウン十年の人とかって 存在しているのですかね?その人が間違っているという仮定もなくてその人の言うことが100パーセント正しいと信じきっているのでわりと 偏った意見になっているような気がしますし、 私からみてブログという凶器をもってはしゃいでいる少しイタイ質問マニアでしかありません! (2007/10/01 07:13:04 PM)
スーパーセブンが、過去くず石だったというのは間違いのない事実です。実際このスーパーセブンと呼ばれているものの見た目は、汚いものが多くかつては捨てられていたくず石でしたが、インクルージョンが多くあり他の石としての要素を多く含むんだからパワーのある石ってことにしてしまえば、高く売れるうじゃね?という欲望から生まれた石であることは事実なんですよね。また、ブルームーンストーンと呼ばれるレアな石と今ブルームーンストーンとして販売されているレアではない石を同じブルームーンストーンとして高価で売るのは間違ってるというのは正しいと思いますけどね。
(2014/12/23 10:04:57 PM)
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