虚空座標

2007/12/11(火)23:30

山の力が生んだ形

ネパール産(136)

ヒマラヤ水晶です。ガネーシュ・ヒマール産です。 ガネーシュヒマール産ですけれど、緑泥なしのいわゆるずんぐりタイプ。 石(原石)は、できれば欠けや傷などのダメージがない方がいいですが、 では、ダメージなしでぴかぴかつやつやな石だけがいい石か…… 心惹かれる石かというと、そうでもありません。 ここちばらく、透明でとんがり、つやつやキラキラの ガネーシュヒマール産水晶を見かける機会が何度かあったのですが、 ついに一つも買うことなくパスしてしまいました。 値段が華々しいということもありますが、 今の私の心にはヒットしないようです。 (後になってにわかに気になり、あのとき買っておけば!  と騒ぐことはあるかもしれませんが) さて、写真の石は、内部はかなり透明ですが、 表面がややマットなために、きらきらとは言えません。 最初見たときは、母岩……というか、ベースとなる石英部分や、 結晶面の半分が破断面で、ちょっと大ぶりな結晶がいくつかくっついていた クラスターだったものから、結晶をはずした一部であると思われました。 先端にも肩にもあたり傷もあります。 全体のバランスもいまいちで、要するにあまり見栄えのしない石でした。 ところが、……にとってじっくり見ると、これがどうしておもしろい。 まず、破断面と見えたのは破断面ではありませんでした。 写真で、白く光を反射しているところは、細かく襞をたたんだような、 シワのような複雑な面になっています。 右下に岩のように見えているのは、ベースとなる石英部分で、 ここにもう一つ結晶があり、シワのように見えるのは、 くっついた結晶をはずした痕だろうと思っていたのですが、 これがちがう。 石英の部分にも、自然の結晶面が出ていて、 ここには結晶がくっついていなかったようなのです。 すると、写真の結晶の側面のしわしわも、破断面ではなくて結晶面。 さらに見ると破断面だと思っていた部分の大半がそうではなかったのです。 すくなくとも、無理矢理結晶をはずしたり、割ったりした痕跡ではありません。 結晶の左下の方も、岩からはずした破断面ではなくて、複雑な形状の錐面です。 なんとこの結晶はこんな状態で両錐(DT)なのです。 さらに見ると、錐面にも不思議な模様が現れています。 もしかして、これは触像か? ただいま現在、水面下で触像水晶マイブームの私は、 思わず表面をなでさすり、触像の痕跡探し。 結果、触像水晶ではない。 溶けていたとしても、ごくわずかであろうと言うことに落ち着きました。 どちらかというと、この水晶は全体がセルフヒールドかも。 わかりやすい美しさではないけれど、なんだか気になる。 一度は買わずに店を出たものの、次の機会にやはり売れ残っていたので 買ってしまいました。 「なんだか気になる」を許してくれる、量り売りプライスだからこその贅沢です。 買って帰ってカメラを通してみてみると、 複雑な結晶面が結晶越しに見るとさらにおもしろく、 やや不安定ながらも自立するので立たせてみると、 その様子が思いがけず端正に見えるのにも驚きました。 じっくりと見て初めてわかる美しさもいいものだ。 ……そんなことを考えました。 最後に、じっくり眺めてマクロで撮った一枚。

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