2008/11/07(金)21:42
dZi & White Hearts
天珠話が長くなったので、分割です。
さて、天珠。
何かと言えば、ビーズです。
身につけるために、装身具として仕立てるために作られた形なのです。
(中には「違うだろ」といいたい、枕みたいに大きい天珠もありますが)
せっかくビーズなのだから使いたい!
が、……そうは問屋が卸さない、手強いビーズ、天珠。
まず、大きさ。一番よく見かけるレギュラー・サイズと言いたいものは、
長さが3.6センチ~4センチ。
先日のパムテックよりは短いですが、それでもブレスレットには大きい。
もともと、天珠は首飾りにされていたようですから、この大きさなんでしょうが、
ネックレスにするにも、この大きさ、この模様はインパクト大。
小さいサイズがあっても、今度は模様の好みと全体的なバランスがいまいちで、
帯に短したすきに長し。
色つき瑪瑙に白(ベージュ~茶色)で模様を描いたタイプには、なかなかよい形、大きさのがあるのに、惜しいことです。
次なる難関は……あわせる素材。
これも、パムテックと同じように個人的好みだと思うんですが、
私から見ると、石のビーズなのに石ビーズがあわない!
透明な石もだめ、不透明な石もだめ。丸いビーズはもちろん、さざれもあわない。
チャレンジしては玉砕を繰り返し、最近では
「天珠はルースやタンブルと同じアイテムなのよ」と
いい加減さじを投げていました。
ところが、つい先日のことです。
アンティーク、民芸系のサイトを見て回っていると、
……アジアやアフリカのアンティーク・アクセサリーの感じがとても好きなので。
それに、アンティーク・ビーズに混じって天珠も扱われていたりします……
ふと思いつきました。
これだ。これならいけるかもしれない。いや、いける。
その素材は手元になかったので、ネットで探していると、
ほかよりもお手ごろ価格だったお店に、
たまたま新しくアップされたのが、超・お手ごろ価格! しかも初回割引あり。
これは「作れ」という天のお告げ!
……と勝手に解釈し、早速チャレンジしました。
私が天珠にあわせたもの……それは、真紅のガラスビーズ。
鮮やかな赤なのに、名前は「ホワイトハーツ」。
これは、白い不透明ガラスを芯に、その上に透明感のある赤いガラスを巻き付け、
赤の色をより美しく見せたビーズなのです。
このビーズは、1800年代~1900年代にイタリアのヴェネチアなどで作られ、
アフリカ、アジア、アメリカなど世界各地に輸出され、
人々を魅了したトレード・ビーズでした。
アンティーク・アクセサリーでも小さな赤いビーズを無数に連ねたものが見られます。
ボリュームとインパクトを持つ天珠に、ボリュームのある天然石ビーズをあわせるから難しいのかもしれない。
大きなものにあえて小さいものを組み合わせ、その対比でバランスをとってみてはどうだろう。
そんなことを考えたのです。
天珠がお守りビーズの歴史を持つのならば、ビーズも歴史を背景に持つものを。
そしてあわせる色は、赤。
天珠はチベットでは山珊瑚などと一緒に連ねられるように、赤と相性がいいようですし、
(私好みの)天珠の色合いに負けないのは、やはり赤。
パムテックの場合は「木」の質感にあわせて渋いラインナップになりましたが、
天珠は黒と白(~ベージュ)のコントラストが大きい色で、模様も大柄でモダン。
ならば、いっそ強い色あわせが合いそうです。
赤いビーズなら、ふつうに売っているじゃないか……
それが、違うのです。
作ろうと思い立ったとき、まず最初に天珠をポケットに忍ばせて手芸屋に行きました。
そこで、ふつうに売られている赤のシードビーズに合わせてみると……。
透明赤のシードビーズ……意外に色味が暗い。
不透明赤のシードビーズ……色味が軽い。均一で、天珠のボリュームに負ける。
銀引きの赤(透明赤のビーズだが、糸を通す穴の中に銀色が入れてある)
……きらきらしすぎ。
小さいビーズに天珠に負けないインパクトを求めようと言うのですから、
やはり強く深みある色でなくてはならない。
そこで行き着いたのがホワイトハーツ。
芯に不透明白が入るので、赤の色が鮮やか。赤い層は透明なので、不透明赤のシードビーズのように色が軽くなりません。
買ってみたビーズは、贅沢を言えば、あとほんのわずか色が深く、透明感があれば……なのですが、やっぱりふつうのシードビーズとは一線を画す美しさ。
小粒(丸大と呼ばれるシードビーズと同じくらい)でも、全く天珠に負けません。
で、構想通りに天珠(お気に入りの色濃い天地天珠)を中心に、
手作りのニュアンス豊かな可憐シルバーでアクセントをつけつつ
アームの部分はホワイトハーツで三連に。
ちょっと色が明るいので、真鍮ビーズを混ぜてトーンダウンをはかります。
天珠の反対側の金属パーツは、アクセントであると同時に、
重い天珠に引きずられてブレスが手首で回転しないように、
重さのバランス用でもあります。
そして、天珠の脇に、ぷっくり丸いガネーシュ・ヒマール産のさざれ水晶を一粒。
これは、もちろん、アクセントであると同時に、石好きのささやかな意地。
天珠とその歴史のルーツであるヒマラヤとを、イメージ的に結ぶもの。
透明パーツがなく、「閉じた輪」になってしまいそうなこのブレスレットの「呼吸孔」。
シノワズリというかアジアンというか……
冬場、黒いセーターなどを着たときに、袖もとからちらりと見えるとおもしろいかもしれません。