テーマ:言葉と物(6)
カテゴリ:言葉と物
夜がくると、家にもどる。そして、書斎に入る。入る前に、泥やなにかで汚れた毎日の服を脱ぎ、官服を身に着ける。
礼儀をわきまえた服装に身をととのえてから、古(いにしえ)の人々のいる、古の宮廷に参上する。そこでは、わたしは、彼らから親切にむかえられ、あの食物、わたしだけのための、そのためにわたしは生をうけた、食物を食すのだ。そこでのわたしは、恥ずかしがりもせずに彼らと話し、彼らの行為の理由をたずねる。彼らも人間らしさをあらわにして答えてくれる。 四時間というもの、まったくたいくつを感じない。すべての苦悩は忘れ、貧乏も怖れなくなり、死への恐怖も感じなくなる。彼らの世界に、全身全霊で移り棲んでしまうからだ。 ニコロ・マキアヴェッリ 「フランチェスコ・ヴェットーリへの手紙」より (塩野七生訳) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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塩野七生のもっと軽いエッセイのほうでこの手紙について読み、感銘を受けた言葉でした。肝心の『君主論』はこちらもやはり塩野七生がいくつか抜き出した要約でしか触れたことがありませんが…。
(Aug 10, 2005 09:48:11 PM)
この手紙に感銘を受けた方が他にもいて嬉しいです。ずぼらでgo!さんがお読みになったのはたぶん「男たちへ」か「マキアヴェッリ語録」ですね。もし「君主論」を読むことがあるなら、塩野七生の処女作である「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」も併せて読むことをお勧めします。
(Aug 10, 2005 10:31:37 PM)
vox mundiさん
「男たちへ」でした。塩野七生は本来彼女が読んでほしいであろうものよりも、エッセイばかり読んでいますが、大好きな作家の一人です。「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」も、昔読みましたが、内容大分忘れちゃったな…。 (Aug 11, 2005 04:17:54 PM)
書斎に入り、いにしえの人々と書物を通して、語る様を描いた、この文章は素敵ですね。知ることを愛する人(「フィロソフィー」でしたっけ?)の横顔を的確に描いた文章かと思いました。
学生時代より古典は全く読んでいないので、読み返してみようかなあと思いました。君主論も含めて。ご紹介ありがとうございます。 (Aug 12, 2005 02:57:01 AM)
「チェーザレ・ボルジア」は既にお読みだったのですね。私も塩野七生の本はエッセイも含めていろいろ読んでいます。
(Aug 12, 2005 11:08:23 PM)
「知を愛する」は「フィロソフィア」ですね。上の手紙は塩野七生の「わが友マキアヴェッリ」から引用したものです。この本を読むと「マキアヴェッリのイメージ」が変わると思いますよ。
(Aug 12, 2005 11:23:48 PM)
マキャベリそのものは読んだことがないんですが「権力(パワー)に翻弄されないための48の法則」という本を読んで、パワー・ゲームとは、こんなに面白いのかと思ったことが、経済に興味を持ち始めたきっかけでした。
ところで「言葉と物」というカテゴリー名はフーコーの本の題名ですね。 (Aug 20, 2005 10:52:38 AM)
仰るとおり「言葉と物」はフーコーの著書の題名から取りました。「権力(パワー)に翻弄されないための48の法則」は面白そうですね。こうして読みたい本が増えていく...
(Aug 20, 2005 05:02:55 PM) |
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