雑感
最近の2chの投信スレを久しぶりに見て、いろいろ思うところがあったので、忘れないように自分用のメモとして記しておくことにします。内容は効率的市場仮説、ドルコスト平均法、現代ポートフォリオ理論 (MPT)、アセットアロケーションなどです。単なる備忘録なので単純な思い違いなどがあるとは思いますが悪しからず。1. 効率的市場仮説2chでは未だにインデックス vs. アクティブの神学論争が展開されていますが、もともと効率的市場仮説は名前が現しているように理論を展開する上の仮説 (モデル) であり、現実の市場への1次近似に過ぎません。金融工学のパイオニアたちは、効率的市場仮説が理論上のフィクションであることを認識するだけの謙虚さを持ち合わせていたのですが、後継者達にはそこらへんの事情をわかってない人たちもいるようです (これは金融工学に限った話ではありませんが)。ちなみに効率的市場仮説はミクロ経済学の 「裁定取引の完全性」 の variant なのですが、知らずに批判している人が多いように思われます。2. ドルコスト平均法コメントしようと思ってたら、石坂さんの日記とsup_bearishさんのブログで話し尽くされてしまったので、両サイトへのリンクを張るだけにします。投資をまじめに考える (3/1付けの日記を参照)sup_bearishの株式投機メモ (時間分散,ドルコスト平均法...)3. 現代ポートフォリオ理論 (MPT)効率的市場仮説 (ランダムウォーク) を卒業した人が次に嵌るのがMPTです。異なるアセット・クラスたちの期待リターン、リスク、相関係数がわかれば、自分が許容できるリスクで最適なポートフォリオが決まるというお話です。ここではMPTを自分の投資に応用する場合の単純な問題点を指摘しておきます。(1) 自分の真の許容リスクを把握するのは決して簡単なことではありません。そこらへんの事情は過去の日記からも解るのでここでは割愛します。(2) MPTは期待リターン・リスク・相関係数が定数であることを改定していますが、これはかなり無理のある仮定です。高度成長期と現在の日本の期待リターンが同じとは誰も思わないでしょう。上記の3つのパラメータはいずれも定数ではなく時間の函数と考えるのが妥当です。MPTを無批判に長期投資に当てはめるのは無理があります。(3) では短期の投資にMPTが使えるかというと、それも難しいものがあります。理由の一つは、MPTで最適のポートフォリオを求めるときに用いる数学の手法が、誤差に非常に敏感であることです。ほんの少しパラメータを変えるだけで求まるポートフォリオが大きく変わる可能性があります。なので、できるだけ正確なパラメータを使う必要があるのですが、考えている期間が短期だと、パラメータのサンプル数も少なくなり、誤差を小さくすることができません。これらの事情により長期でも短期でもMPTを妄信して投資するのはかなりリスキーだと思います。4. アセット・アロケーションMPTとも重なる話題ですが、MPTとは独立に 「トータル・パフォーマンスに占めるアセット・アロケーションの寄与は90%以上」 というG. ブリンソンたちの実証研究があります。この結果から 「だから投資をする際にはアセット・アロケーションを考えるのにエネルギーの9割を使うべき」 という人がいますが (例えば「内藤忍の資産設計塾」にはそのような記述があります)、これはかなり短絡的だと感じます。結果としてアセット・アロケーションの寄与が大きいのは事実なのでしょうが、どのようにアロケートすればパフォーマンスが上がるかを実証研究が教えてくれるわけではありません。MPTに問題があるのは上に指摘したとおりです。長くなったので今日はここまでにしておきます。