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無料壁紙フリー写真素材集/癒しの風景写真 高画質壁紙写真集無料壁紙 ココは 『ある偏狭な音楽的映画レビュー』 のトップページです ![]() 『ある偏狭な音楽的映画レビュー』は 私ことブログ主 Voyager6434 が 独自の音楽的視点で語る やや辛口気味な 映画評 メインのブログです。 たとえ見た事がある映画だったとしても 人に物語りは伝えられても 「おもしろかった」だけじゃ 面白さは伝わりにくいもの 「どうおもしろかったか」などは 尚更伝えにくいもの ひょっとしたら、こんな駄文ではありますが ヒントとなるネタがある かも しれません・・・ あなたのお暇を潰せたら幸いです。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■ ■ 2011年11月19日開設 現在15年2ヶ月経過 (2026年1月現在) ■ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 『利用規約と免責事項
カテゴリ:邦画
■青島と犯人が再会する場面で本当は何が起こっていたのか■ 新作映画『踊る大捜査線N.E.W.』制作記念 1997年放送 TVドラマ 踊る大捜査線 完全解説 第1話『サラリーマン刑事と最初の難事件』 ■なぜ捜査一課の刑事達は青島と犯人との会話を止めずに見ていたのか ■犯人の男が持っていた鍵束が意味するものとは ■ゲーセンの少年がアンマンは嫌いと言った理由 ■柏木雪乃は雪を見て涙した理由 ■青島の「寒くないですか」というセリフの意味・・・など ■ 完全解説と書くと 全話のあらすじを紹介する記事だと思う方も おられるかもしれませんが、そういう事ではありません。 80年代90年代音楽作品・映像作品を解説するシリーズ あの作品の「アレ」は一体何だったのか この作品のココには実はこんな意味が隠されていたのかという 「真相」や「裏側」など、作品の知られざる「向こう側」を解説し 30年前40年前の作品にもう一度スポットを当て 知らない世代にも興味を持って頂ければ幸いです という企画今回はその2回目 映画ドラマ作品内の「あの場面のアレって何だったんだろう」という様な 普通に観ているだけでは気付かない 実は何を描いていたのかを 玉ねぎの皮を一枚一枚剥く様に紐解いて行き それに気付くと、それまで観て来た場面から 全く違う景色が見えてくる「場面の向こう側」を お得意の「妄想」を交えて面白く、分かりやすく、解説して行く そんなシリーズです ■ という訳で今回は 新作映画『踊る大捜査線N.E.W.』制作が決まり これまで諸事情で再放送が無かった 稲垣吾郎 出演作も十数年ぶりに再放送された 人気ドラマシリーズ 『踊る大捜査線』の記念すべき第一話 『サラリーマン刑事と最初の難事件』から クライマックスとなる場面を中心に 見えない所で本当は何が起こっていたのか 普通に観ていたら見えてこない「向こう側」を解説します 逮捕された犯人が青島と語った直後深刻な顔の青島のUPの後 なぜ薄っすらと笑っていたのか 犯罪者の心理は普通では無い、というだけでは言い足りない真の理由とは そして その同じ場面で あの本店の高飛車な捜査員達が なぜ一課の刑事は被疑者と青島の会話を止めなかったのか 脚色の都合とか段取上の問題では無い 真の理由がありました そして そもそも 犯人の男はなぜ駅前で職質されたのか これも 段取りの都合などでは無い 納得する理由がありました そして 犯人の男が持っていた鍵束の意味するものとは 犯人が殺人の証拠となる鍵束を捨てられない事情とは 犯人はなぜ会社に侵入し備品を盗む行為を続けたのか 実はつまらないものを盗むのには 真の理由がありました ゲーセンで暴れていた少年はなぜアンマンが嫌いと言ったのか あの子供は単なる非行少年ではありませんでした その理由とは 青島が柏木雪乃へ向けた「寒くないですか」の意味 とは 腫れ物に触るよう空気を読んで言葉を選んだ訳ではありませんでした など 知る限り 放送からほぼ30年経ってもいまだ誰も語っていない 或いは何度も観ていてストーリーを知っているから故に 全く気付いていない 第一話クライマックスの 青島と犯人の男の再会の場面で 本当は何が起こっていたのかを中心に解説しながら本作について 「場面の向こう側」にある真の理由を解説して行きたいと思います ※この記事はドラマの内容を解説する性質上「ネタバレ」解説になります 多分いないと思いますがwドラマ未鑑賞の方は鑑賞後にまたお越し下さい 又 脚本家 君塚良一氏 監督 本広克行氏 が既にどこかで言及しているのかも 知れませんが、その場合はそういう情報を知らないファンの妄想と 平にご容赦いただき・・・ それで あさっての解説になっていたとしても 楽しい「新説」か「二次創作」位に捉えてお読み下されば 幸いに思いますw という訳で まああり得ませんがw なにとぞ炎上だけはご勘弁をっつ!!! (土下座) m(_ _)m ブログ主 ■■もくじ■■ ■STORY■ 【第1章:ドラマ『踊る大捜査線』とは?――演出の革新】 ■1.状況説明をしない演出■ ・『ナレーションや心の声が多いアニメ』 ■2.コンプラ以前のTV界で制作された「踊る・・・」■ ・『マウント文化の風潮に警鐘を鳴らした刑事ドラマ』 ・『不良では無い正統派なHERO像』 ■3.再会の場面の違和感■ ・『説明が無いのはエヴァの影響』 ■4.小説版 関連書籍に付いて■ ・『脚本を元にとは セリフを耳コピ?』 【第2章:あらすじ紹介――あの日、何が起きたのか】 ■5.男と青島の再会の場面■ ・『クライマックス場面のあらすじ』 ・『BGM:Akihiko Matsumoto - Moon Lightf』 【第3章:作品論 ――『踊る』を支える脚本の力】 ■6.当時としては画期的な犯人像■ ・『オタクをドラマに導入した脚本家:君塚良一』 ■7.玉ねぎの皮の様な階層構造とは■ ・『SNSでは伝わらない連なるレイヤー』 ・『アニメは心の声で実況中継するのが主流』 ・『人物像に❝中身❞は絶対要る?』 ■8. 伝統 と 先進 の共存■ ・『「古典」が「新時代」を受け止める とは?』 【第4章:見えない向こう側 ――「真犯人」のプロファイリング】 ■9.階層構造を辿って殺人の真の理由を探ってみる■ ・『犯人は、盗んだ時の快感から抜け出せないクレプトマニア』 ・『1枚目 刺激のない毎日が 動機』 ・『2枚目 青島が代弁していた 事情』 ・『3枚目 (窃盗症)クレプトマニアという 性癖』 ・『4枚目 真の理由は知られたく無い 秘密』 ■10.犯人が薄っすら笑っていたのは”安堵”から■ ・『何よりも大事だった”共感”』 ■11.犯人が持っていた「鍵束」から分かる事■ ・『目的は「鍵」収集』 ・『生きている実感をもたらした鍵束』 ・『男は鍵をどうやって手に入れたのか』 ■12.ゲーセンで補導された少年は犯人の少年時代?■ なぜ少年はアンマンが嫌いと言ったのかその本当の理由 ・『ゲーセンの少年に重ねられた犯人の原型』 ・『誰よりも賢い少年が選んだ楽な道』 ・『恩田刑事は少年に騙されている?』 ■13.犯人が会社のオフィスに侵入する歪んだ快楽の正体■ 男はなぜ会社に侵入し備品を盗む行為を続けたのか ・『窃盗 は マーキング』 ・『衝動が殺人へ向かった悲劇』 ■14.男はなぜ駅で職質をかけられたのか■ ・『本当は自首しようと思っていた』 ・『湾岸署の喧騒が告白の決心を鈍らせる』 【第5章:クライマックスの深層を解く】 ■15.犯人再会の場面で本当は何が起こっていたのか■ ・青島と犯人の男との会話とは何だったのか本当の理由 ・『なぜ犯人の男はうっすら笑っていたのか』 ・『男の重荷を背負った青島』 ・『捜査一課の刑事達が黙って見ていた本当の理由』 ・『捜査一課で孤立していた室井』 ・『話が通じない相手だと青島に思われ不本意な室井』 ・『柏木雪乃が雪を眺めて涙を流す理由』 ▲目次へ▲ - STORY - 脱サラをして警察官になった青島俊作は湾岸署で念願の刑事課勤務に就いた しかし湾岸署での勤務は思い描いたものとは程遠く 管内で凶悪事件が発生しても本庁の捜査一課の仕切りとなり 受け持つ仕事は他の部署のヘルプや雑務ばかり サラリーマン時代と何ら変わらない上下の縛りに失望している時 鍵束を持った不審者の取り調べをする事になり・・・ - 解説 - 【第1章:ドラマ『踊る大捜査線』とは?演出の革新】 ▲目次へ▲ ■1.状況説明をしない演出■ 『ナレーションや心の声が多いアニメ』 ドラマ場面で 今何が起こっているのかを表現する時 ナレーションで説明をしたり 『鬼滅の刃』『進撃の巨人』の様なアニメ作品では 登場人物が「心の声」で呟いて考えを実況しながら状況説明をする というのがあります その一方で 『新世紀エヴァンゲリオン』の様に 「逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ」と 心の声を呟かせてはいても 旧作映画版『まごころを君に』のラストの様に 問題となった「首絞め」を一切説明無しで映画を終了させたりと 一体 この場面は何を描いていたのか場面の「裏」では何が起こっていたのか 全く説明無しで進行させる作品も多数存在します 通常、作品内で説明が無いのは「説明的になる」事を避ける時や 「視聴者に考える余地を与える」意図があったりするときですが まれに「口が避けても言えない何か」が 制作者側にあって それで説明無しで終わらせる作品もあります それらはどれも 「場面に意味を持たせて深みを出す」 演出方針からだと言えます これらの他に 進行するドラマとは別に 異なる進行をするドラマ設定を作って それを説明無しに画面に見切れる様な感じで場面に取り入れて まるで現実で起こっている事を撮影している様な雰囲気を作り出して 登場人物以外の人物の動きにもそれぞれ意味を持たせて ドラマに深みをもたらすと言うやり方もあります 『踊る大捜査線』はこの演出を好んで取り入れていた作品でした
▲目次へ▲ ■2.コンプラ以前のTV界で制作された「踊る」■ 『マウント文化の風潮に警鐘を鳴らした刑事ドラマ』 ![]() ■ さて「踊る大捜査線」は1997年に制作された30年近く前の テレビドラマで今とは全く状況が異なる マウント文化ど真ん中な世相の 今観ると 絶対ダメな場面が盛り沢山な 喫煙、セクハラ、パワハラありの、コンプラなしという 「当時の時代背景と制作者の意図を考慮してそのまま放送します」 という注意書きが入る的な20世紀のドラマでしたが 言う事を聞かなければ殴り付けてでも力ずくで修正する様な 「教育」の場に「暴力」がまかり通っていた「昭和」の時代と比べれば 随分と世の中は進んだな と思われた 「平成」の時代の中で作られた最新のドラマの一つでした ▲目次へ▲ 『不良では無い正統派なHERO像』 昭和、平成、当時のドラマの主人公は 不良出身の破天荒な人物がヒーローの様に描かれる のがデフォルトで 自分の不良振りを悪びれる様子も無く武勇伝の様に語っていた 悪しきマウント文化ど真ん中の90年代にも それらは受け継がれて来た所がありましたが 「踊る大捜査線」では第一話の冒頭で 歩きタバコポイ捨てタバコが当たり前の世の中で 主人公が吸い殻を律儀に拾う場面を入れていた事からも 主人公の青島刑事は破天荒ではあっても不良ではなく 難関大学を卒業して 就職した会社ではトップの営業成績を取るような 優秀な人物で マナーを重視して正しい行いをする優等生な主人公という 当時にして新たなヒーロー像を見出した作品でもありました 又 これまでの刑事ドラマで使われてきた「犯人」というワードを止め 警察用語の「被疑者」を使用するなど ドラマにおける創作上の警察では無く実際の警察を舞台にした 本格的な連続ドラマとしても注目された作品でもあります 一方で レンタル版を観てようやく辻褄が合うという作品が 結構あった時代に作られたからなのか 放送内に収める為に多少辻褄が合わなくなろうと 重要場面であろうと ゴッソリカットして後に「ディレクターズカット」と称して完全版を出すという 昭和から続いたざっくりしたテレビ制作がまかり通っていた時代でもあったので 「踊る」の最終回ではかなりの数の重要場面がカットされ 繋がりがチグハグなままでの放送となりました ▲目次へ▲ 3.再会の場面の違和感 『説明が無いのはエヴァの影響』 今回解説する 青島が犯人と再会するクライマックス場面での 青島の深刻顔からの犯人の薄ら笑いの違和感 というのがありまして 当初は撮影されていた演技が時間の関係でカットされた為の 「編集」のせいだと思ったのですが ソフト化されてもそこは同じ編集だったので あれで正解なのか? と どう捉えれば良いのか 引っかかっていました そうして後になって あれは「エヴァンゲリオン」の影響に違いないと 納得したものでした というのも アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」は何の説明も無しに 敵となる「使徒」を登場させ 最終回も何の謎解きも無しに終わらせた 「説明無きプロット」に 特有のミステリアスな世界観が 大きな話題となった作品でした 「踊る」のプロデューサー、 監督、脚本家の三人は 共に「エヴァ」を意識したと言及しており 第一話の捜査会議のBGMにエヴァの音楽を使用したり テロップに明朝体文字を多用したりと 「踊る」本編の随所にエヴァの影響が見られる事でも それは分かります つまり問題の場面も 理由が説明的になって雰囲気が壊れるより たとえ「意味」が分からなくなっても 狙った演出を貫いて 画面から「何らか」の存在を感じてもらい 「深み」として印象に残れば良いという 作品の世界観を優先して敢えて説明をしない方法を取った という事だと思います 従って問題の場面で本当は何があったのかを知るには まずは被疑者の「人物像」を知った上で ドラマの流れの中で「意味」を知る必要があります しかし現代は「SNS」主流の令和の時代 長文ブログの「説明」よりも 140文字以内での「答え」が知りたい所です w しかしこの場合の「答え」というのはドラマの場面そのものになるので 見た通りの事が「答え」になってしまいます つまり今回解説するのはその「答え」の「向こう側」にある 本当はこの場面で何が起こっていたのか 犯人と青島の間で実はどんな見えないやり取りがあったのか という ドラマを普通に見ているだけでは気付かない 玉ねぎの皮の様に重なって見えない「真相」のレイヤーを 1枚1枚めくる様に辿って行かないと見えてこない 玉ねぎの芯にあたる 真相の核となる 「真実」です その階層構造のコアにある「真実」の解明が 今回のテーマとなります この記事はそんなシリーズです☆ という訳でいつもの「妄想」を交えながら 楽しく解説して行きたいと思います ▲目次へ▲ ■4.小説版 関連書籍に付いて■ 『脚本を元にとは セリフを耳コピ?』 ■ ここで当時の関連書籍に付いて少し触れたいと思います 「踊る大捜査線」は 放送終了後に様々な関連書籍が出版され 小説版も出版されましたが 脚本を書いた君塚良一が書いている訳ではなくて オフィシャルなものではあっても 外部ライターの「創作」で正史ではありません しかし別のキャラクターの視点で捉えた場面描写は興味深く それだけでもファンなら読む価値はあります 「踊る」関連の書籍は他にもいくつかある様ですが ほぼ 単なるムック本ばかりで「場面の裏側」的解明本は存在しません 『踊る大捜査線研究ファイル』という書籍は ドラマとスペシャル2本を徹底検証と書いているので 見るからに 場面の裏側などを解説している体がありますが 未発表と謳いながら 解説しているのは 湾岸署の見取り図とか 登場人物のプロフィールとか 実際の警察の捜査との相違点とかで ドラマ内容を解説している訳では無いみたいでした 加えて274ページ程しかない中で 本編11話 2本のスペシャルを検証しているという ギュウギュウ詰めな内容の上カラー写真満載と来てますので 文章に割く物理的スペースも少なく読者レビューを読みましても 「便乗本の域を超えてない」様です 未読なので分かりませんが・・・w それで 小説版は「記事の参考」という観点で言えば ドラマに出てきたセリフを「活字」で確認するという意味では 価値は充分あるのです が この小説版の「脚本を元にした」という明記には なんとも怪しいものがあります 例えば第一話の内容ですが 小説版では柏木雪乃の父親が殺害された現場を 「夜勤室」と明記されていました しかし室井達捜査一課が現場検証した部屋は どう見ても豪華な「役員の個室」です どこの世界に上等で分厚い木材の巨大なデスクが設置され 入口横には革張りの客用ソファを4つも置いて 肝心の仮眠ベッドが無い様な「夜勤室」があるのかと 首をかしげるものがありました 本編の捜査会議でのプロジェクターで投影された見取り図も 「夜勤室」ではなくてどう見ても「役員室」です 捜査員たちも殺人現場を「役員室」と言っています おそらくですが小説を執筆したライターは 実際に撮影で使用された実物の脚本を元に執筆したのではなくて 本編のドラマのセリフを聴き取って文字起こしをした事を 「脚本を元に」と謳っている様な そんな匂いがします それで「役員室」を「夜勤室」と聞き間違いをしたのではと 思った訳です・・・w ではついでに重箱の隅を突く様な話ですがw 「役員室」を「夜勤室」と誤解した理由です 実は単なる「聞き間違い」だけでは無くて そう思い込ませるものがドラマ内にあって こうなったのではと 思わせる要因がありました 捜査会議で「被害者の昨日の足取り」の報告で 柏木雪乃の父親は夕方から書類作成で役員室に詰めていたというのがあります この「残業で徹夜する」事に対して「夜勤」という連想が働いて その先入観から「役員室」を「夜勤室」と思い込んで 捜査一課の刑事達のセリフをそう聞き間違えたのでは無いかと そんな感じがあるのです 他では、犯人の男が持っていた鍵束は「マスターキー」と 小説版には記載されています マスターキーの「複製」は特殊な手続きが必要となり ビルの管理者、所有者にしか出来ません であれば「盗む」しかありませんが 普通 厳重に管理されている「マスターキー」は 「ルパン三世」でも無い限り簡単に盗めませんので問題外です これは「マスターキー」の性質を良く考察しなかったのか 「純正キー」と思い違いをしているのか 物語内での男の手口を時短で補完する為に これを持てば「無敵」であろうという発想から来る 「創作」であったのか 定かではありません これらの例を上げるだけでも この小説版に出てくる「名称」は 「正史とは関係ない創作」と捉えた方が無難だと言う訳で 「踊る」関係の書籍は少なくとも 「場面の裏側」を探る為の参考にはならない というのがウチの見解となります (あくまで個人の偏狭な見解ですW) ■ というわけで今回は 第1話『サラリーマン刑事と最初の難事件』から クライマックスとなる青島と被疑者のやり取りの真相を中心に 解説したいと思います。 そして今後の予定として テレビシリーズ『踊る大捜査線』から 第4話『少女の涙と刑事のプライド』から なぜ本部を出る時 捜査一課の課長は室井にコートを渡したのか を 第7話『タイムリミットは48時間』から なぜ犯人が別れ際に柏木雪乃に向かって言ったセリフは あんなにも説明的に聞こえたのか その見えない本当の理由 を 最終回『青島刑事よ永遠に』から 和久はなぜ被疑者に世間話を始めたのかその真相 を 近日中に 順次アップして行きます(多分w) という訳で今回は 第一回第一話『サラリーマン刑事と最初の難事件』のラスト 被疑者はなぜ薄っすらと笑っていたのか 他を解説します では解説の前にまずどんな場面だったのか 流れを追って見て行きましょう ▲目次へ▲ 【第2章:あらすじ紹介―あの日、何が起きたのか】 ■5.男と青島の再会の場面■ 『クライマックス場面のあらすじ』 ![]() では、 TVの録画やDVD 配信 で観覧する手段のない 映像確認出来ない方の為に ざっとしたあらすじを小説風にまとめてみましたので 解説を読む前に まずはご確認ください ■ 一夜が明けた湾岸署にて 魚住係長は誰も受けに行かない健康診断を受ける様に告げ 真下は腰痛の和久の腰をマッサージしながら ヘッドセットで通報の受け答えをし 青島はサラリーマン時代 PCの営業をしていた事で パソコンでの打ち込みの作業をし と いつもの朝を迎える中 殺人犯自首の報が袴田課長から告げられます・・・ 結局 他部署のヘルプをした他は 管内で起きた殺人事件の捜査を全く出来なかった青島は 企業の上下関係のしがらみで上のやる事には逆らえず 自分の意見も言えないサラリーマンに嫌気がさして 正しい事をしようと脱サラをして警察官になり 憧れの刑事になってはみたものの 上下関係はサラリーマン時代よりも厳しく 管内で凶悪事件が起きても本庁の仕切りとなり 所轄の刑事は捜査からは外され 本庁捜査一課のエリート刑事達の手伝いをする他は 所轄のヒラの刑事に活躍する場は無く 警察組織の縦割り構造の壁を感じながら 上には逆らえない所轄の立場の現実を知るのでした そして何も出来ない何も変えられない所はまるで同じの サラリーマン時代に味わった焦燥感を再び味わう青島でした 結局、管内で起こった殺人事件は被疑者の自首という形で幕を閉じるのですが そんな中、管内でシューズ強盗発生の通報が入り そうして青島は通常業務に戻って もやもやする気持ちが晴れないまま いつもの消化試合の様な事件処理に向かうのでした 何も捜査に参加出来ないのが所轄の現実かと和久にこぼす青島でしたが お前は運転手をやり俺は一課の道案内をしたこれも刑事の仕事でお前の事件だと 和久は青島をたしなめます 青島と和久が一階に降りると署の入口は 事件解決の報を聞き付けたマスコミが押し寄せる中 その間を悠然と行列を組んだ捜査一課の刑事達が 被疑者を連行して署の中に入って来るのが見えました 二人はしばらく足を止めて行列を眺めていましたが 青島は先を急ごうと立ち去る和久を追いかけながら もはや遠い世界の出来事の傍観者の様な視線で被疑者に眼をやり 足早に出口に向かおうとしますが すれ違いざま被疑者を覆っていたコートが外されると 数日前鍵束を持った不審者として捕まり 青島に取調べを受けた後 釈放された あの会社員の男の姿が現れます その男は青島の姿を見るなり急に立ち止まりました 青島も行列が停止した異変で男に気付き 和久もその様子に気付いて立ち止まります そしてここで♪BGM『Moon Light』が流れます♪ ■ ▲目次へ▲ Akihiko Matsumoto - Moon Light from 踊る大捜査線OSTより この曲はもともとは織田裕二のアルバム『STAY HERE』収録曲「Moon」を 歌無しでアレンジしたInstrumental楽曲で 放送当時 織田裕二はクライマックスで自分の曲のイントロが出てきて 当初は監督の配慮を嬉しく思っていたら いつまで経っても歌が出てこなくてアレ?と思ったと コンサートのMCで語っていました ■ 男は制止する捜査員の手を振り切って青島を凝視し立ち止まります 青島は 動揺しながら男に近づき 「君・・・人を殺して 平気な顔で 俺と話してたのか?」と言います 先日 打ち解ける様に取り調べに応じて 和やかですらあった事を思い返した青島は 口惜しさの余り男の胸ぐらをつかみ 「どうして俺に言わなかった!」と 激しく男を恫喝します 男は 「あんたに言いたい事があって自首したんだ (柏木雪乃の父を)殺すつもりは無かった (会社に)忍び込むのが楽しかったのに見つかっちゃって・・・ あんたの (取り調べの時の愚痴で)言った通りだ 本当は 僕も毎日刺激 無かったんだ」と 青島に告げるのでした 青島は 男の胸ぐらを掴む手を緩めると複雑な表情で男を見つめますが そんな青島とは対象的に 男は青島の方は見ずに 顔は 薄っすらと笑っている 様でした 青島は表情を和らげると男に向かって 「君も刑事になれば良かったのに」と言います 男は少し考えながら「でもそっちも刺激が無いんでしょ?」と答え 離れた所で和久もその様子を観ていました しばらく考えて青島は まるで同級生と会話をする子供の様な口調で 「あるよ、毎日ドキドキしてる」と言ます 男の表情は少し暗くなり「そう・・・」と告げると 青島の顔を見て「いいな」と言って微笑みました そんな男を 複雑な表情で見る青島と そんな青島を満面の笑顔で見る男との 不思議な対比があった後 男は「頑張ってね」と告げ 青島は うんと首を縦に振ると 「行くぞ」という捜査員が割って入り 男は連れられて行きます 男は振り向きざまに とても殺人事件を犯した人物とは思えない笑みを向け 何かに頷きながら署の奥へと消えて行きました それを見て青島は笑みで返しながら考え込む様に 表情が暗くなって行きます それを見届ける様に和久は出口に向かい 出勤してきた恩田すみれとすれ違います 何があったのか知らないすみれは和久を眼で追った後青島に歩み寄り 「あの男が?」と話しかけます 青島はすみれの方を見ないで 「俺はあいつになっていたかもしれない」と告げて 捜査に向かって行くのでした。 ▲目次へ▲ 【第3章:作品論―『踊る』を支える脚本の力】 ■6.当時としては画期的な犯人像■ 『オタクをドラマに導入した脚本家:君塚良一』 平成以前のサスペンスドラマなら 犯罪を犯した者は罪の重さを心に深く刻み込む様に 膝が崩れて手を付きガックリと肩を落として 「悪い事をした人間は神妙にするもの」 という絵面になるのが定番でした 対して「踊る大捜査線」のこの場面は 大人になり切れない「ピーター・パン症候群」の人物が犯した様な 既に社会問題化していた誰でも良かった殺人犯の衝動的殺人を 罪の自覚がない態度の人物像として描いたのは、当時としては異質で 97年当時のTVドラマとしてはこれまでに無い犯人像を描いた 革新的場面でもあったと言えます 脚本を書いた君塚良一は自身の出世作となったドラマ 『ずっとあなたが好きだった』で エリートでありながらマザコンでオタクという伝説的キャラクター 「冬彦さん」の生みの親としても知られ 「大人になり切れない」人物にスポットを当てた作風と 大物コメディアン萩本欽一に弟子入りし バラエティー番組の放送作家出身というキャリアならではの 「笑いとシリアス」との差が生み出すダイナミクスを盛り込んだ それまでに無い切り口の脚本で 数々のヒット作を生み出してきた人物でもあります 犯罪者を社会悪として描くのでは無く 社会人としての自覚に欠けたというだけの 何かの歯車が外れた事で犯罪に手を染めてしまった どこにでも居る普通の一般人が転落する様を描き 現代社会が抱える問題を浮き彫りにさせる物語を 日本のドラマにもたらした影響は 多大なものがあると言えます ■ 21世紀に入った現在では 「殺人を犯した犯人は神妙にするもの」という認識は 過去の古い感覚となりながらも 未だ根強く残っており 「踊る」のこの場面の犯人の「笑み」は なぜこの状況で笑う事が出来るのか 理解出来ないものがあっても不思議ではありません これは 社会悪による犯罪行為では無く 『ピーター・パン症候群』の人物による犯行という 社会問題として描きたかったのが制作者の狙い という事で良いのですが それは先程説明した「玉ねぎの皮」の様に重なった 表面の皮一枚を剥いた真相の一つで 「芯」に当たる本当の意味にたどり着いてはいません 因みに この件に付いて解説している記事は知る限り存在しませんし 「踊る大捜査線、第一話、犯人、笑う、なぜ」で検索しても 「Yhoo!知恵袋」でも何も出てきません もうひとつ 所轄の刑事の青島が 何かを語りかけると それだけで烈火のごとく怒り狂うあの高飛車な捜査一課の刑事達が なぜ 犯人と話している間 何もしないで そのまま 放っておいたのでしょうか おそらく「演出の段取り上」という事で 日本中の視聴者が納得してスルーしてきたこのやり取りには 誰も語らない「真相」がありました 放送から30年近く経とうとしていますが 30年経っても本当にこの件を誰も語らないので ウチが語ることにしました では ウチ流の解説を いつもの「妄想」を交えながら進めて行きたいと思いますw ▲目次へ▲ ■7.玉ねぎの皮の様な階層構造とは■ 『SNSでは伝わらない連なるレイヤー』 ![]() 所で 当サイトでは映画ドラマを解説する際 「場面の向こう側」とか「玉ねぎの皮の様な階層構造」とか 場面の裏に隠された真相を解説する時にこういう表現をしています そこで 少しだけここで説明をします ■ ここで言う「階層構造」とは ドラマ、映画 に「裏設定」が存在する、 又はその可能性が高い演出上の「構成」を指し 普通に鑑賞するのでは確認できない見えない設定や 物語の真相が何層にも重なる様に盛り込まれて 多くは断片的に散りばめられた布石によってその存在が確認できる 作品を支える「構成方法」の一つを指します ・・・チョット分かりにくいので ザックリと言いますとw 描いている場面には 「理由」があり その理由の裏にも更に「深い意味の理由」があり その更に深い意味の理由の裏にも「異なる意味の理由」があり という様な 「理由」が何枚も重なった「層」になっていて 「真の理由」は覆い重なった理由の一番下にあって 普通に観ているだけでは分からない という様な 考え抜かれて作られている場面の「構造」を その様に指します 例えば男と青島の再会の場面で 「どうして俺に言わなかった!」と 男の胸ぐらを掴んで激昂する青島と男の後ろで テレビ局や新聞記者を整理する職員などがひしめき合う 朝の報道局と警察が混乱する光景がぼやっと映り込みますが あれはガヤが適当に動いているのでは無くて 青島達とは異なる別件が外で進行している様を 演出家の指示の元自分の役割を演じる役者達が その様に作り出している光景で ドラマとは直接関係ないながらリンクしている事で 青島が話している男がやらかした事の重大さを 背景でざわめくマスコミと警察によって表しているとも 凶悪事件解決に騒いでいる巷とは切り離された場所で 犯人の人間性が描かれている場面とも あるいはドラマの進行には特に影響しない単なる背景として 無視して観る事も出来る そういう演出の一環が認められる奥行きのある画面作りが 「階層構造」を持つ構成と言えます・・・ もっと分かりやすく例えると・・・w 炭治郎の心の声が無く 最期 鬼が消える時に なぜ鬼になったみたいなエピソードが 全て「裏設定」として存在するだけで 本編では全く描かれない アレって何だったのという終わり方をする 「鬼滅の刃」みたいな 同じ理由でエレンやアルミン達の心の声が一切無くて 各々の判断で全くの「無言」で 黙々と巨人と戦う 観ていてモヤモヤする 「進撃の巨人」みたいな 更に同じ理由で 猫猫のひとりごとが一切ない全くの「無言」で物語が進行する ひとりごとを言わんのか!と言いたくなる 「薬屋のひとりごと」みたいな 庵野秀明が「鬼滅の刃」「進撃の巨人」「薬屋のひとりごと」を作ったら ラストが難解になったみたいな そういう感じのです w ▲目次へ▲ 『アニメは心の声で実況中継するのが主流』 それに対して場面内で何が起こっているのかを よく分かるように心の声で実況して透けて見える様にしたものは 「透明構造」とも呼べるもので モノローグで実況しながら状況を透かして見通せる様に説明しつつ 意図的に透けない場所を設けてそちらの方向へと物語を牽引しながら 鑑賞者の関心を自由自在に誘導する便利な手法として 興行成績が400億円以上という記録的大ヒットを飛ばす作品を生んだ 演出方法でもあります 一方 「ひとりごと」で状況を説明する事で 演出に「粘り」が出て没入感は出る反面 説明的になりがちという欠点もあります これらの「状況説明」を行わないで あくまでそういう「裏の設定」があるという所に留め 何も見えないままミステリアスに物語を進行させるのが 「階層構造」の特徴で 万人の理解は得られないというリスクはあっても 見えない何かがある状況が伝わる事で 作品に奥行きと深みをもたらす演出方法だと言えます 所で その様な「階層構造」が存在すると言っているのは 私の思い込みでは無いのか とも取れますが 「階層構造」があると捉えると 「なぜ?」という時の演出画面の全ての辻褄が合うので そういう事を考えながら 脚本家 演出家は作品を作っていると想定して 本記事は解説をしている という事になります ▲目次へ▲ 『人物像に❝中身❞は絶対要る?』 さて 脚本を書く時 設定に沿った場面を描くには 物語の世界観や登場人物の人物像などの設定に 多くの「情報」が必要となってきますが 重要なのは登場人物がなぜその場面に居るのかという 「理由」の扱いだと言えます 「踊る」第一話の犯人の場合「駅前に居た怪しい人物」が「設定」で 「なぜ怪しいのか」というのが「理由」になります 普通「駅前に居た怪しい人物」で説明が十分なら 「なぜ」を省いてもこの件に付いて掘り下げる視聴者は まず居ないので (ココに居ますがw) 設定だけで理由の説明を済ませるのが常でした しかし理由の「なぜ」に当たるものが本当に何も無いと 「そういう犯行をしたそういう人物」という扱いになるので 犯人の人物像が 虚ろで存在感の無いものになってしまいます 例えるなら 「サイコパス」と言えば 金髪に染めた髪を立てて 奇抜なメイクをし 目を剥き舌を出して 「シャアアアアアアアアッツ!!!wwww」 と奇声を上げながら人を殺す みたいな 「ジョーカー」の亜流か「北斗の拳」の痛い実写版 程度のものにしかならないのと同じで 中身が無く何者か分からない 薄っぺらで何の印象も無い人物に なってしまいます では キャラクターには常に中身が無ければダメなのかと言えば そんな事は無く 脚本の面白さで進行する 「ジェットコースタードラマ」というのがあって 主に「ドロドロ」した人間関係を描く過激な内容と 衝撃的展開で話題をさらう 韓流ドラマではおなじみの 最近日本でも良く作られる人気のジャンルとなっていますが この過激な内容とあり得ない衝撃の展開を支える 非日常な世界観が成り立つか否かが鍵で それにはむしろ物語や登場人物に 余計な中身が無い方が都合が良く 脚本の都合でどんどん変化して行く奇抜な展開に対して 如何様にも適応可能いう利点に転換出来る事から 世の話題をさらうのにはもってこいという事で 好んで使われる傾向があります 伝説となった「たわしコロッケ」とか 「許さなーーーーーーーーいっつ!!!」の狂気のロングトーンや 「どっちの許さないが勝つかなあーーーーーーーーっつ!!!」と ドラムを叩きながら絶叫するなどの w 「道理」で扱えない奇天烈な狂気の人物がドラマの中で 「そういう人」で済まされるのは 「中身が無い」実在しないキャラクター故に 成り立っているからといえます つまり 「整合性」と「不都合」を考慮しない極端な物語展開には 中身が無いキャラクターが 「理屈なし」でドラマに落とし込むのに適している 重要な「要素」でもあると言う訳です 「踊る」と同時代に同じフジテレビ制作で作られた 吉田栄作主演の「もう誰も愛さない」などは 「登場人物全員死亡」というあり得ない最終回で話題をさらった 「踊る」とは真逆の方向性で成功を収めた 典型的なジェットコースタードラマの作品で 本来なら性格破綻したとしか言えない様な 状況に応じて人物像まで度々変化する登場人物達が 衝撃的展開の中で翻弄される様をドラマチックに描いた事で 大きな話題を呼び人気を博しました これも登場人物から「性格」や「成長」などのファクターが抜き取られ 中身を無くした事で縦横無尽に展開する脚本が機能し 衝撃的展開の中でも「中和」する形で対応させ 怒涛の展開の中でもキャラクターの存在を 違和感無く成立させたと言えます この様な縦横無尽な脚本力で集客するタイプのドラマには キャラクターに「中身が無い」事は重要な要素だと言えますし 激昂した美形の登場人物が破綻した脚本で毎回トンデモ展開する 韓流作品が人気を博してきた事からも キャラクターに「中身が無い」事はむしろヒットドラマを構成する上の 成功する形の一つとも言える訳です 一方で 殺しの犯人が判明する最終回まで 毎回目が離せない怒涛の展開に釘付となり 見終わった時に達成感を得られる内容になっていたとして 「ロスがすごい」と感じてもっと続きが見たいと欲しがる事はあっても 心の奥底まで深く刻まれる様な 「真の充実感」とは異なると言えるのは 動機も行動も感情も全てが「設定」で 「人物像」に基づく「感情」が「行動」に繋がってなく その「経験」が「成長」に至らない事で共感も得られない 「存在」に実存感のない「虚構」であるからで 「中身が無い」弊害 と言える訳です ▲目次へ▲ ■8. 伝統 と 先進 の共存■ 『「古典」が「新時代」を受け止めるとは?』 さて「踊る」の脚本ですが 特に登場人物の描き方に尋常では無いこだわりを感じるものがあります 例えば「犯人の人物像」に付いても 青島との取り調べで名刺交換する場面ひとつ取ってみても 「お笑い」の要素に覆われながら 何気に名刺から提示される重要な情報にも それを感じ取る事が出来ます それはDVDをわざわざ静止画面にしなければ確認出来ない 静止した所で画面が潰れてよく確認出来ない様な 確認しなくてもドラマの進行上なんら支障の無い 犯人の名刺から「主任」という肩書が目に入るという程度の 単なる「情報」の一つに過ぎないのですが それによってこの犯人が まあまあな月給取りでお金には困っていないという その様なバックグラウンドが存在して その上で脚本が書かれているという事が分かります ドラマを観る上で 気が付かなくても 犯人の人物像を捉える「情報」を「仕込む」という「事実」によって あるのと無いのとでは全く異なる 情報過多な程の「実存感」が 確かにある 事がそこに存在する訳です これは昭和の日本映画の撮影で 舞台装置のタンスの中に 無くても支障のない 「衣服」を入れた状態の「部屋」で役者が演技をしたと言われる 過去から受け継がれてきた邦画の伝統的精神が 本作にも受け継がれている証だと言えます 「踊る」の シリアスとお笑いを共存させるタッチの「新しさ」も 分離せず浮く事無くドラマに落とし込む事が出来ているのは 伝統的な手法「古典」が、先進的タッチ「新時代」を受け止める 受け皿「ベース」になっている所以で 邦画の伝統的「実存感」があっての事だと言えます 「踊る」は主要人物が演じる後ろでも 名もなきキャラクター達が進行させる 別件が映り込むなどの 数多くの情報が詰め込まれた画面作りが 実存感があって斬新でしたが 結果的に、ネット社会になる以前の 90年代に 情報が玉石混交となる現在のネット社会を見据えた様な形となり 「情報社会」のあり方を根底に据えた人間ドラマを展開させた所に 21世紀の世の中になっても支持される理由が ある様に思われました☆ ▲目次へ▲ 【第4章:見えない向こう側「真犯人」のプロファイリング】 ■9.階層構造を辿って殺人の真の理由を探る■ 盗んだ時の快感から抜け出せないクレプトマニア ![]() ■ では 玉ねぎの皮の様な「階層構造」を解析すると実際に何が見えて来るのか・・・ 「犯人の男は なぜ殺人を犯したのか」 その本当の理由を探る事で見て行きたいと思います ▲目次へ▲ 『1枚目 刺激のない毎日が 動機』 まず階層の1枚目をめくると ドラマ内で犯人自身が語った事で何が分かるか ですが 「忍び込むのが楽しかったのに見つかっちゃって」 というセリフが殺人の「動機」で 「僕も毎日刺激が無かった」 というセリフがそもそもの犯行の「理由」だという事位で なぜ刺激が無かったのかの「事情」は ドラマの中でこの人物は語って無いので それは分からない という事になります ▲目次へ▲ 『2枚目 青島が代弁していた 事情』 では階層2枚目をめくります 元々「刺激が無かった」というのは 「生活がマンネリで刺激が無くて毎日つまらないクセに」と 取り調べで犯人に告げた青島のセリフでした 青島は 毎回同じ見込み客の所へ出向き 同じ人物に同じ様にペコペコ頭を下げて 新規契約を取り続ける営業が 耐えられなかったと話しています 一方で犯人の男は自分の事は語りませんでしたが 「僕も毎日刺激が無かった」とも言っていました すると 「僕も」の意味する事が 青島同様に生活がマンネリで刺激が無く 営業の仕事が耐えられなかった所にある事が見えてきます これは階層構造になった「玉ねぎの皮」を1枚めくってみて 見えなかった事情の一つが分かった表れでもあります そしてこれは 青島が体験談を語る形で 犯人の知られざる事情も「補完」しているという 脚色上の構造が見えた事を意味します ▲目次へ▲ 『3枚目 (窃盗症)クレプトマニアという 性癖』 更に玉ねぎの皮をめくって行きますと・・・ 犯人の男が会社に忍び込んでつまらないものを盗む 「犯行の動機」に付いてですが それは「楽しかったから」という事でした しかしなぜ犯行が楽しいのかという「動機の理由」は 恩田すみれが「あれは病気だ」と切り捨てられる様な 単に「盗癖」という事で片付けられています そこで他の事にも視野を広げながら掘り下げてみますと 男が沢山の(盗んだ?)鍵を持っていた事 つまらないものを盗む事忍び込む事が楽しい事 何度も任意同行で捕まっているのに盗みを止められない事 そして恩田すみれが「病気だ」と言っていた事 男のこれらの行動に着目すると 「普段は普通の人で高学歴でお金に困っていないのに 犯行そのものに興奮して必要のないものを盗み その性癖に悩んでいても 犯行を繰り返してしまう」 「クレプトマニア」という 心理学的症状に合致する事が分かります つまり男が犯行を繰り返し行う盗癖には 「クレプトマニア」という心理学的な根拠があって ドラマ内でも これが皮の3枚目に当たる真相ですが この根拠がこの再会の場面に根付いている 「見えない真相」の存在を匂わせる 一つの「鍵」となるものでもあると言えます ▲目次へ▲ 『4枚目 真の理由は 秘密』 その「鍵」を頼りに更に4枚目の皮をむいて行きます 犯人が犯行を見つかった時になぜ殺人を犯したのかという 事件の重大さに全く見合わない 「見つかっちゃって」という理由の 極めて軽いセリフが持つ違和感を頼りに 「真相」へ迫ってみます この様な違和感を感じる時は 逆から捉えてみると分かる事があります つまりこれはセリフが軽いというだけの 犯人に取っては 極めて重要な要因 なのではないか そう捉えてみます すると 犯人の男が普通の社会人としての顔を持ち しっかりとした生活基盤を持ちながら 決して見つかってはならない「事情」がある つまりそれが「クレプトマニア」という 裏の顔を持っている事だと分かります その犯行を柏木雪乃の父親に「見つかっちゃった」わけです それは犯人に取ってどんな事をしてでも隠さなければならない それこそ 見た人間を衝動的に殺してしまうほどの 絶対誰にも知られたくない秘密だった訳です それが殺害の真の理由だという事が見えてきます そしてこれが階層構造の玉ねぎの芯となる 事件が起こった本当の「真実」となります これらの事があると考えるのは私の「妄想」というよりは セリフや行動を検証してこの様な真相が浮かび上がるのは 脚本の君塚良一が、或いは演出の本広克行が ドラマでは描かれなくてもこの様な「裏設定」をしっかりと考えて ドラマを作っている現れだと考えると 色々な事の辻褄があってくるので 故にその「構造」的特徴に 「玉ねぎの皮の様な階層構造」があると言える訳です そしてその「階層構造」を突き止める「鍵」となる要素は 様々な場面に散りばめられた何気ない 行動 セリフ などの 「断片的」なものでありながら 検証可能なレベルで仕込まなければならないものなので それらの要素を含めた本作の脚本、演出のクオリティーの高さは 相当なものだと分かります そしてそれがドラマ『踊る大捜査線』の 真の凄さだと言えるのです ■ 「踊る大捜査線」は何度も再放送され、レンタルもされ、配信もされた 今更語る事は無い様な誰もが知る国民的作品ですが 単に見ごたえのある面白いドラマというだけでは無く 一見「単なるお笑い」に見える場面に 「伏線」としての要素が巧妙に仕込まれていて それに気が付けば全く異なる景色が見えて来て 気が付かなくても面白く見ることが出来るという 全ての場面に知られざる「意味」があり「理由」があり 「真相」が隠された「階層構造」を持ち それが「奥行き」をもたらす所に 本当の良さがあるドラマだと言えます 『踊る大捜査線』は放送から30年近く経ちましたが 知る限り誰も このレイヤーで語っていない様なので この機会にウチが語ってみたいと思います ▲目次へ▲ ■10.犯人が薄っすら笑っていたのは安堵から■ 『何よりも大事だった”共感”』 ![]() ■ クライマックスの青島と犯人との再会の場面で犯人は青島に 「あんたに言いたいことがあって自首したんだ」と言ってから 「(柏木雪乃の父親を) 殺すつもりはなかった」と告げています。 しかしこれが本当に言いたい事で無いのは言う順番で分かります 一番言いたい事は最初に言うものですが、 往々にして「本音」とは言い切った最後に ポロッと出てくるものだからです 続けて 「(会社に) 忍び込むのが楽しかったのに見つかっちゃって」と言うのは 「殺害の理由」なので 「(取り調べの時) あんたの言った通りだ」の後 「本当は」と断っておいてから告げる 「僕も毎日刺激がなかったんだ」の 「毎日刺激がなかったんだ」が 一見 犯人の言いたいことの様に感じられます 実はそうではなくて 「僕も」という一言が 犯人が青島に本当に言いたい事だったと思います なぜなら 「毎日刺激がなかったんだ」は青島の言葉であって、 犯人の男はこの青島の言葉に 「共感」する気持ちを一番伝えたかった筈だからです そしてこのセリフを言い切った後 犯人の男は薄っすらと笑っていたのも 「青島に自分の気持ちを話せた事で安堵した」 からだと言えることからも それが分かります では 「僕も 毎日刺激がなかったんだ」と告げる事で なぜ犯人の男が安堵したのかですが この時この人物にとって青島に「共感」する気持ちを伝えるのが 何よりも重要な事だったからです 答えはそういう事なのですが これは最初に語った「玉ねぎの皮」の様に 何層も重なった剥いてみないと見えてこない 「真相」の中の1、2枚を剥いてみて分かった 表面的な事に過ぎません この人物に取ってなぜこれが重要な事だったのかを語るには これだけでは足りません この真相の「向こう側」に辿り着くには もう少し話を掘り下げる必要があります ▲目次へ▲ ■11.犯人が持っていた「鍵束」から分かる事■ 『目的は「鍵」収集』 ![]() まずは「大量の鍵」が何を意味するのかを考え 男に取ってこの鍵が窃盗の単なるアイテムなどではなく 殺人を犯した証拠となっても捨てられないくらいの 大切なものだった本当の理由を解説します ■ 『目的は「鍵」収集』 犯人は当初、警官に駅前で職務質問をされ バッグから大量の鍵が出てきて 不審者として湾岸署に連行されました これは何を意味するかと言いますと まず男は電車に乗って逃げようとしていた事が分かります そうして 逃げた所で行く所も無く どうすれば良いのかと動揺しながら 駅前を徘徊していた所を 不審に思った緒方巡査に職質をかけられ連行された という経緯が見えてきます 次に バッグから出てきた大量の鍵ですが ここからも色々見えてくるものがあります この犯人の男が 会社への不法侵入と備品を盗む窃盗行為は 「刺激」を得る為のもので 男はこの件で警察に何度も任意同行をかけられながら 「刺激」を求める衝動が抑えられず 懲りずに侵入行為を繰り返してきたのは 恩田すみれが言う「病気」であり それは先程指摘した「クレプトマニア(盗癖)」を患う 人物だからでした そうして刺激を求めようとする衝動に任せるまま 夜な夜な会社に忍び込んでは 備品とかつまらないものを盗んできた訳です その為には会社に忍び込む「鍵」が必要です だから会社に忍び込む「目的」で「鍵を盗んだ」 普通はそう考えます しかしこの男は 忍び込む事は「楽しかった」と言っていました 「忍び込む事は楽しかった」のは「結果」なので 目的を果たす為に「結果」鍵を盗んだ というのは 何か変です それでは鍵を盗む前から忍び込む事が楽しいと 既に分かっていたという事になり 辻褄が合いません つまりこの場合は 「目的」と「結果」は「逆」で 「忍び込むのは楽しいから鍵を盗んだ」 では無くて・・・ 「鍵を盗んで忍び込んだら楽しかった」 が正しいのではないでしょうか そもそもこの男は元々 自分の盗癖の衝動を満たす「目的」で 警察沙汰にならない様なつまらないものを盗んできた という印象があります だからある時 備品とかつまらないものの一つとして 「会社の合鍵」を盗んだのではないでしょうか 始めは「いつものつまらないものの一つ」だったのかもしれません しかし盗んだものが「鍵」だけに 開けてみたくなったのかもしれません そうしてある日盗んだ鍵を使って会社に忍び込んだとしたら 不法侵入の罪で見つかったら捕まる 全てを失うという「危機感」が いつもの窃盗をこれまでにないドキドキさせる 「刺激的」なものになったなら それがこの男を病みつきにさせた という事だと思います ただドラマの中で恩田すみれが 『前にも何度か任意同行かけられている 会社に忍び込んで備品とかつまらないものを盗んで まあ、事件にはなっていないけれど・・・』 と言及している様に 実際には男は何度も逮捕されています しかし『鍵の束持っていただけでは逮捕できない』 とも言っていた事から 被害に遭った会社は警備上か管理上の問題があって 明るみになるのを嫌って被害届を出していない印象があるので 男は犯行を見つかって逮捕されてきた訳では無い 事が分かります 湾岸署に連行されてきた時の態度も 殺人犯としてでは無く 不審者としての任意同行だったから 青島との取り調べも 慣れた様子だった訳です つまり 任意同行で逮捕されても釈放される確信があるから それが男を調子に乗らせエスカレートさせた のかもしれません そうして次々と色んな会社の鍵を盗んでは 不法侵入を繰り返した結果が あの「鍵束」となったのでしょう そうなると男にとっての「鍵束」は戦利品というだけでなく ドキドキさせ刺激をもたらすアイテムでもあるので 男が不法侵入窃盗を繰り返す「目的」は 「鍵」の収集そのものにあるのではないかと考えられます だから普段から「鍵」を持ち歩いているのも 単に会社侵入の為だけでは無く それは退屈な日々から解放され刺激をもたらす 生きている実感を感じさせる「証」 だからなのかもしれません ▲目次へ▲ 『生きている実感をもたらした鍵束』 男にとって「会社に忍び込む」事は 想定外の「気まぐれ」だったのかもしれません しかしそれは想定外の「刺激」を得る機会となり それをもたらしたのは どこかの会社でたまたま窃盗した 「鍵」によるものだったのでしょう これまで男にとって つまらないものを盗んで収集する性癖は 理由が無いのになぜか止められない 本当に意味のない行為だったのだと思います そんな折に その「鍵」を使った事で 理由も目的もない窃盗行為に 「会社に忍び込む」という「理由」が出来て 「刺激を得る」という「目的」が付きました これはこの男にとって 理由もなく意味も無く繰り返すしか無かった盗癖に 初めて「意味」が出来た瞬間でもあったと言えます 男は青島に 「忍び込む事が楽しかった」と言っていました 実際には 無意味な行為に目的が出来た事で 自分の性癖がようやく腑に落ちて どうせ自分は犯罪者なんだと 全てを受け入れて納得して 善悪の概念の外側から眺めて初めて自分が何者かを理解して ありのままに生きている実感を感じられた事が嬉しかった というのが正しい様な気がします しっかりとした学歴と職を持った社会人でありながら 理由の分からない反社会的性癖を持つ事で 精神的にも社会から切り離され ずっと孤独に心の闇を抱えてきた男が クレプトマニアである事全てを受け入れたら 心の重荷が消えて救われた気持ちになった事が 男が犯行を繰り返してきた 本当の真相だったのかもしれません 殺人を犯した後も 証拠となる鍵束を捨てずに ずっと持っていたのもうなずけます しかしそれは決して明るみに出してはならない「秘密」であり 自分にとっての「正解」が 正しい行いでは無かった為に 待っている先は「破滅」しか無くて エスカレートした挙げ句殺人を犯す事になるまで 鍵の収集と侵入に明け暮れたという事なのでしょう あの男の鍵束には その様な意味があるのでした そうして殺人を犯して逃亡しようとして駅に来たものの 逃げ場など無い事に途方に暮れて徘徊していた所に 緒方巡査の目に留まり 不審者として職質されて 普通のサラリーマンが所持するには 分不相応な量の鍵を所持していたのが見つかり それは見た目にも普通に「異常」だったから 連行されたのだと思います ▲目次へ▲ 『男は鍵をどうやって手に入れたのか』 男が「鍵束をどの様に手に入れたのか」ですが 当然ドラマの中には言及はありません 小説版では 男の持っていた鍵は「マスターキー」だと書かれていました 結論から言えば、それはあり得ません 鍵に付いては最近 不当に鍵ナンバーと住所氏名を探り出し ネットで不正複製した鍵を使って 十代女性の住居に不法侵入して逮捕された 30代男の事件がニュースになりました つまり鍵は盗まなくても メーカーから出荷された純正キーであれば 鍵に刻印されている製造番号と鍵のメーカーが分かれば ほとんどの鍵は複製が可能だという事実を物語っています つまり男の持っていた鍵も 複製されたものだという可能性がある訳です 次に考えられるのは 「鍵屋に忍び込んで鍵を手に入れる」可能性です ドラマの中で恩田すみれが男に 「あなた鍵屋さん?」と尋ねると 男に少し間があってから「いいえ」と答えるという やり取りがありました 男のこの「間」からは 『一瞬「鍵屋」と答えようか、いや無理だ』 という「考えの流れ」が見て取れます つまり「鍵屋」がどういう所か知らないから なり済ませなかったという印象があります そもそも 企業の合鍵が「鍵屋」にあるとは思えません 鍵屋で鍵を手に入れるという案は 却下とします そこで 「会社のマスターキー」問題が浮上する訳ですw 90年代当時は 「会社の守衛室」にマスターキーがあり それをどうやって手に入れるかの前に どうやったらセキュリティー会社が出向する 厳重な守衛室に入れるのかが問題になります しかしこの男は「保険の営業マン」です 顧客は何も一般家庭の人達ばかりではありません 第二話に出て来た、爆弾が仕掛けられようとも警察署に営業をかける 保険の外交員の女性の様に 会社の守衛室にいる「警備員」に営業をかければ良いわけです そうして保険はどうですかと 休憩時間の警備室を狙って入室する事は可能です そしてここで 「鍵束はマスターキーなのか」問題が出てきます 「マスターキー」は 警備室で厳重に保管されているものです 誰でも持ち出せる様に引っ掛け金具に掛かっている 「合鍵」とは訳が違います また紛失したとなれば、出向元の警備会社の沽券に関わる一大事です 当然、警察に被害届が出ますし真っ先に疑われるのは 社員以外で 警備会社以外で警備室に入室した この男になるはずです そんな一般人が所有する事は無い 会社外に持ち出される事のない セキュリティー会社が管理する企業の「マスターキー」を この男が「鍵束」で持っていたとなれば「拾った」では通用せず それだけで重窃盗罪が立証されるはずです 「鍵を持っていただけでは逮捕できない」 という恩田すみれのセリフは おかしいという事になります ドラマの映像を見る限り 鍵束の鍵はどれも長く使われた感のある 「普通」の合鍵に見えますし 何個も複製され、色んな部署に配布され、 使い回された物という 傷んだ感じがあります 冒頭に書いた様に 「マスターキー」というワードは、 外部のライターが勝手に書いた「創作」 という可能性が大きい様に思われます なので 男が持っていた鍵束は 盗んだにせよ複製したにせよ 「合鍵」の可能性が高いと思われます 後は手口です 本作の様な階層構造になっているドラマの場合 ドラマ内にヒントが散りばめられている事が 往々にしてあります そこで ドラマを振り返ってみますと 先程書いた第二話の保険外交員の女性も 保険の営業なら、警察の刑事課オフィスでさえも 容易に入る事が出来るのなら 会社の警備室など なおさら であるという 回をまたいだ伏線でもあったとも 考える事も出来る訳です ▲目次へ▲ ■12.ゲーセンで補導された少年は犯人の少年時代?■ 少年がアンマンが嫌いと言った本当の理由 ![]() ここでは ゲームセンターで暴れていた小学生が 青島刑事の受難を描く ”お笑い担当” の様に描かれながら 実は犯人の男の少年時代を投影させたエピソードで この少年が本当は誰よりも賢く 理解者が無く道を誤ると犯人の男の様になる 「原型」を描いているという話をします ■ 『ゲーセンの少年に重ねられた犯人の原型』 第一話では ゲームセンターの盗難事件で連行される小学生が描かれます この少年はゲームセンターではコントロール不可能な程暴れて 補導に来た青島にも悪態をつくような子供でしたが すみれには素直な態度を取る一面を見せます しかし警察署では 物を盗む様な子では無いと言う母親をよそに 恩田すみれの机にあったボールペンをさり気なく持ち去ろうとして見つかり それはいつもの事という周知の事実の様に母親にひっぱたかれるという 非行常習犯な少年として描かれます この少年は青島とのやり取りでも アンマンを買ってきたら「アンマンは嫌いだ」と言い なぜ機械を壊したのかと聞かれると「遊ぶ金が欲しくてやった」と答えます 「まあ子供がやる様な事だから」と考え直した青島が 人のお金は盗ってはダメだと言うと 少年は「知ってるよ、子供扱いするな」 と悪びれる事も無く言い切ります 軽くキレた青島は今なら絶対コンプラ的に問題ありな 「怖い目」に遭わせるのですが w 泣き出した少年を慌ててあやしていた所で戻ってきたすみれに怒られ すみれの前では先程の態度を変えた少年が 青島が一人でアンマンを食べたと言った事で青島はさらにすみれに怒られます 少年はすみれに言い聞かされた事は素直に返事をするので 「素直な良い子」と言われました それを見ていた青島に「本来なら留置場送りだぞ」と言われた事には 「大人扱いするなまだ子供だろ」と神妙な顔つきで言い そんな少年のカメレオンのような態度に 青島は呆気に取られて すみれは笑顔で眺める ――という形で、この場面は終了します これは 強行犯係の捜査が出来ない青島の受難と 湾岸署の日常業務の多様さを描いた場面なのですが 一見理屈が通らない子供じみたことを言う この少年の盗癖とそれを止められない衝動には 今回の犯人とのいくつかの共通点が見られるものがありました それを念頭に置いて この場面の少年の行動を見てみます ▲目次へ▲ 『誰よりも賢い少年が選んだ楽な道』 この少年の「アンマンは嫌い」と言った理由ですが、 これは本当にアンマンが嫌いだからで言ったのでは無く 青島に「子供は甘いものが好き」という考えで子供扱いされた事に 腹を立てたと思われる事と どうしてこんな事をしたと聞かれた時に 「遊ぶ金が欲しかった」と しっかりした理由を告げている事から 実はこれはこの少年が 実年齢よりも成熟した物の捉え方をした 善悪の概念も理解している頭が良い子供である事が分かります 通常 子供の成長は 親 が導くものですが 後で出てくるこの少年の親の印象は 体裁を気にするだけの とても子供を正しく導けるとは言えない様な人物でした 子供は善悪の概念が分かっていても 合理的考えの元での行動を取る 人間的骨格が形成出来ていない内は その選択と行動が及ぼす影響が どの立場を起点とする行為だったのかという 境界線を理解するのは困難です この少年の場合は 情緒を形成するための大事な子供時代に それを導く大人が居なかった為に 善悪の境界が「表裏一体」の曖昧な印象で刷り込まれて 無理なものを手に入れる為の困難な道よりも 無理なら盗んででも手に入れるという 簡単で楽な道を選んでしまった事で せっかくの「賢さ」を持て余して もっとも楽な「ずる賢さ」への方向に利用して 非行少年と化して行ったのだと言えます つまり 善悪の概念は分かっていても 善悪の境界が理解出来ていないので 衝動が止められない所に この少年の大きな問題があると言えます だから青島との会話が論理的に噛み合わないのです これは先程指摘した 「クレプトマニア」の症状に合致するので この少年も 犯人の男も根本は同じ という事を描いていると 思われるわけです ▲目次へ▲ 『恩田刑事は少年に騙されている?』 ちなみに少年をいい子だと言う恩田すみれは 一見すると 少年に騙されている様に見えます しかし帰り際に少年がボールペンを着服しようとする所を 恩田すみれは 見事に阻止してもいました 警官になって7年 窃盗犯係を担当して3年になるすみれが 少年少女の窃盗の現状を知らない訳が無い ので つまりすみれが少年に「素直な良い子」と言ったのは 上っ面の見た目の事を言ったのでは無く この少年の 盗癖以外の本当の姿を理解した上で 告げた言葉だったと考えられます この時少年は すみれに取り入る様な態度を取っていましたが これは自分が「子供」である事を 大人にどう映るのかを理解した上で これまで大人を相手に少年が立ち回ってきた中で身につけた 処世術 だと分かります その点からも この少年の頭の良さが分かるのです また同時にこれは 理解者を求めている姿 であるとも取れる訳です それを含めてすみれは 「小学生は小学生らしく勉強でもしてな」とたしなめる形で お姉さんだけは味方だぞ というサインを出し 少年の問題に向き合おうとする姿勢 を描いた場面でもあった訳です その一方で この少年の母親の態度ですが 「盗みをする様な子では無い」と子供を庇うかと思えば 目の前で盗みをする子供をひっぱたく様な 保護者として額面通りの人物とは言い難い所がありました この事から この母親の少年を養護する態度は 人にどう見られるかを気にした 見え透いた上辺の行為である事が分かります 更には子供の行為を「恥」だと感じている事も 見て取れます つまりこの母親は 子供が盗みの常習犯である事を知ってはいても その問題に向き合おうとせず 世間にバレない様に 取り繕っているだけの 親としての自覚に欠ける人物である事が分かります そうした保護者の下で育つ少年の家庭環境も この少年が 自分の盗癖と向き合えない理由の一つと なっている事も見えてきます その後、この少年は成人した後は 『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放しろ』で、 一旦は青島の影響を受け、 医療刑務所のカウンセラーとなり 人のためになる仕事に就きます しかし 小泉今日子演じる日向真奈美の担当になった事で 彼女に操られ、心酔し 殺人を犯すまでに道を誤る末路を辿るのでした つまり 頼る人間、付き合う人間の選択を誤り 衝動が止められない自分の性癖に振り回される顛末は 今回の犯人の男と同様だったという訳です これらの事から、この少年は 犯人の男の少年時代の様に描かれていたと捉えると この場面が存在する合理的理由が高まる事からも そういう意味での布石の場面だったと考えられるのです ▲目次へ▲ ■13.会社のオフィスに侵入する歪んだ快楽の正体■ 犯人の男はなぜ会社に侵入し備品を盗む行為を続けたのか ![]() ここでは、窃盗をした物品は戦利品では無く 街のペイント行為同様の「自分はここにあり」を示す 見えないマーキング行為で 会社の不法侵入は他人のゴージャス空間を支配して悦に入る 居場所のない孤独を埋める行為で そうして「都会の幽霊」と化した事が 殺人を犯す巨大な衝動の苗床となったという話をします ■ 『窃盗 は マーキング』 犯人の男が「会社に忍び込むのが楽しかった」と言っていたのは それをしている時が一番生きている実感を感じるから という事でした では忍び込む場所が 店舗の様な所では無く なぜ会社のオフィスなのか ですが ひとつは 男の犯行目的が「不法侵入」そのものにあり 「窃盗」は目的では無いからです そもそも男は「会社に忍び込むのが楽しい」と言っているので 会社以外の場所では意味はないわけです 90年代の会社オフィスは現在と違って 入館する為のセキュリティゲートも無ければ 社員証を首にぶら下げる習慣も無く 現在のカードキーもまだ発明されていません 防犯意識も個人情報意識も極めて低かった時代で 会社には部外者が容易に出入りできる様な世の中でした 犯人の男は合鍵を持っているだけで 会社オフィスへの侵入が可能だったのです その鍵をいくつも持っていたのは 一箇所では刺激が足らず犯行場所が増えて行った事の他に 疑われる事を危惧して一箇所に犯行が集中しない様に 鍵の数だけ犯行現場を作った事に加えて 何よりも男が「鍵収集」へと向かわせる程に 意味無く振り回され続けた「盗癖」に 「愉しい」という「意味」が出来たという 鍵の数だけの「歪んだ喜びの現れ」がある言えます もう一つは 会社の他人のオフィスを自分の居場所にするためです それは男が日々生きるテリトリー内の 自分の世界の範囲内である事が理由だと言えます ドラマ序盤に出てくる犯行現場は被害者が専務という事もあり 見晴らしの良い個室で 机も役員らしい上等な木製で出来た 上質な革製のフカフカの椅子がセットになった様な造りで 一介のサラリーマンにとっては別世界の様な空間だと言えました 普通のサラリーマンが定年まで勤め上げたとして キャリア最高峰は「課長」という中 「専務」など言わば雲の上の様な存在と言えます そんな会社社会を生きて おそらくそれ以外の世界を知らないこの男にとって 役員がオフィスとして所有する「個室」は 「聖域」の様な特別な場所だったのかもしれません そんなオフィスに忍び込み 一生座る事の無いフカフカの椅子に座っては悦に浸り 引き出しや棚を開けては目に付いたものを手に取り 誰かに見つかりはしないだろうかというスリルを味わいながら 他人の居場所を占有する「王」になった様な気分に なっていたのでしょう そして自分がここに居た事を証明する様に 無くなっても気付かない様な小物を持ち去るという 男にしか見えないマーキング行為をしながら この社会に居場所の無い孤独を埋めていた と考えられます 言わば 都市の幽霊 の様に 居場所を求めて 深夜のオフィス街を徘徊して 自分が作った合鍵で侵入する その瞬間 社会の規範を超越した存在になった様な気分になり そのドキドキ感に病みつきになって 夜な夜な犯行を繰り返して来たのでしょうか ▲目次へ▲ 『衝動が殺人へ向かった悲劇』 そうしていつもと同じ様に忍び込んだ会社のオフィスでしたが その日だけは いつもと違っていました 書類作成で遅くまで残って仕事をしていた 柏木雪乃の父親と鉢合わせとなってしまいます 普段は普通の社会人として振る舞ってきたのも 絶対誰にも知られてはならない「侵入遊び」の為でしたが 警察に連行されても証拠不十分で逮捕を逃れてきた犯行を 遂に目撃されてしまうのでした こうして男は衝動的に殺人を犯してしまうのです 殺すつもりは無かったとは言っていましたが 動転していたとはいえ 人間の首を締めて殺害するのは かなりの凶暴性が無ければ出来ない事です これは男に 「侵入する盗癖」を抑えられない程の「衝動」があって 秘密にしていた「盗癖」を知られた事に対しても 命がけで隠さなければならないという考えに向かって その「衝動」の全てが開放されたのでしょうか 頭が回らない状態で衝動に任せてしまった事が 制御不能な凶暴な力が働くまま 凶行に走り殺害に至った事が 真相なのかもしれません ▲目次へ▲ ■14.男はなぜ駅で職質をかけられたのか■ 『本当は自首しようと思っていた』 ![]() ここでは 男が不審者として任意同行したのは 実は自首しようとしていた事と 取り調べ室での青島とのやり取りは 闇落ちしていた男の人生を救っていた という話をします ■ 衝動的に殺人を犯してしまったこの男は 動転し殺人現場から逃走した後 帰宅したのか どうすれば良いのか分からず動揺しながら彷徨う様に 夜通し街を徘徊したのか分かりませんが 不審者として警官に職質をかけられた時の時間ですが 青島が取調室で犯人の男と語らいコーヒーを煎れに席を立った時 ニュースを告げるキャスターが事件発生から 30時間経過したと言っていた事から逆算すると 事件発生時間 は通報を受理して警官が到着した時刻を言うので 青島が8時30分の定時に出勤したとして 恩田すみれがおでん泥棒の取り調べをしていて その少し後に警視庁から事件発生の入電があった事から 事件発生は朝8時30過ぎと仮定すると その30時間後は午後2時半になるので 男は午後2時前後に 駅前で職質された事になります 様々な人間が行き交う駅前で 警官に不審者として扱われる位目立っていたという事は 余程 動揺してオタオタしていたのか 出社せずに朝からずっと駅でうろついて居たのか 出社はしたけれど その後駅に行ってうろついていたのか 分かりませんが もし何かを決めかねている様が不審に映ったのだとしたら 「逃亡」をしようかどうか考えあぐねていたという 可能性が考えられます 今後どうすれば良いのか どこに行けば良いのか 何も思い浮かばず 何時間も右往左往していた所 不審に思った甲本雅裕演じる緒方巡査に職質され 連行されたのではという「経緯」が見えてきます そして不審者として緒方巡査に連行された後 警察署まで素直に同行しているので 逃亡しようかどうか混乱しながらも どこにも逃げる所は無いと思いながら 駅前を右往左往していたのであれば 気持ちは自首する方向へと傾きつつあった現れと いう事だったのかもしれません だから緒方巡査が職質をかけて来た時には それが運命のお告げだったかの様に感じて 委ねようとしたのかもしれません ▲目次へ▲ 『湾岸署の喧騒が告白の決心を鈍らせる』 男が連行される直前の場面での恩田すみれが パチンコ店の張り込みで逮捕した 暴れながら連行される被疑者の懲りない態度とは対象的に この男は警官に連れられて来た時には割と神妙にしていたので 鍵を持っているだけの任意同行なら釈放は確実と 思っていた表れだったのかもしれませんが このまま普通に取調べを受けていたら 罪を告白する様な印象も見受けられました しかしこの後 担当するはずの恩田すみれは 急遽 別件で出かけなければならなくなった為に 周りもドタバタする中で たらい回しの様に青島に押し付けられる顛末や 取調室に入った時に あからさまに いやいや取り調べをする青島の態度など この犯人の男は割としっかりとずっと眼で追って見ていたので この署で働く警官たちは皆仕事に追われ 仕事の処理も「流れ作業」になって 暴れる被疑者の扱いも随分と「雑」で まるで自分の務める会社と同じだと感じて ここで罪の告白をしてこのまま取り調べを受けた所で まともな扱いを受けそうにも無いと思い 一旦は「自首する気を失った」のかもしれません しかし逆に警察も会社も本質は同じだという事が見えたからなのか 仕事に張り合いが無いと愚痴る青島の話を聞く内に 「シンパシー」を感じ こんな所にも自分と「同類」が居たんだと分かった事の「安堵」から 殺人を犯して動揺していた気持ちも和らぎ まるで旧知の仲の友人に会った様な気持ちで 青島の話を聞こうとしたのだと思います そうしてこの犯人の男は青島との短い時間の中で 青島になら 仕事に追われながら雑な扱いをしそうな他の警官達とは違い 自分と「同類」で 気心が知れた仲間の様な印象があり 尚且つその「同類」が警察官をやっているという ある種の矜持を抱き 殺人を告白しても 凶悪犯でも無ければ人殺しをするつもりも無かった事や 全ては刺激が欲しい余りに歯車が狂ってしまっただけな事を 誰よりも分かってくれると感じたのかもしれません 何よりも 自分の様な人間は もう犯罪者にしかなれないと思っていたら 実は全く真逆の他の道があった事が 闇落ちしたこの男の心を 救ったのかもしれません しかし青島は室井の運転手に駆り出された為 機会を逸し 代わりに取り調べをする気の無い真下に交代され その後ようやく 担当の恩田すみれが帰って来ても 受けた仕事を次々とこなすキャリアウーマンの様な すみれの事務的な取り調べを受けている内に 告白の決心が鈍り 釈放に応じてしまったのかもしれません ▲目次へ▲ 【第5章:クライマックスの深層を解く】 ■15.犯人再会の場面で本当は何が起こっていたのか■ 青島と犯人の男との会話とは何だったのか本当の理由 ![]() さて というわけで本題ですw 犯人の男は 殺人の告白をした後の空気でなぜ微笑んだのか それは闇落ちしていた犯人の男の人生が 青島との出逢いで 救われたという話と そのやり取りを高飛車な捜査一課の刑事達が止めずに黙認していたのは ドラマの進行上の都合などでは無い真の理由があったという話を これまで解説してきた まとめとして 異なるレイヤーから見た話をします ■ 『なぜ犯人の男は薄っすら笑っていたのか』 ニュースでは凶悪犯として報道されていた犯人の男は 会社に忍び込み殺人を犯すという大それた事をしていますが 緒方巡査の任意同行に応じたのは 大量の合鍵を隠し持った不審者というだけでは 逮捕できない という事を承知の上で同行した事になるので 自首をする方向に気持ちが傾いていたからだと言えます この犯人が人を嬉々として殺害する様な凶悪犯では無い事は 青島に言いたい事があって自首している事からもそれは分かります 湾岸署で釈放に応じたのは 逃げるためというよりは 事務的に取り調べをする恩田すみれ にではなく 青島に直接 伝えたいことがあったから ここから一旦解放されたいと思ったからなのかもしれません そんな犯人の男が何を青島に言いたかったのかと言えば 「僕も毎日刺激が無かった」という事でした それを伝えた後深刻な顔になる青島とは対象的に この犯人の男の顔は 薄っすらと笑って見えました。 捜査一課の刑事達が列をなして連行された物々しさと 事件の凶悪性を考えたら 極めて異質な場面だったと言えます これは「僕も刺激が無かった」というセリフが この時の青島にどう聞こえたかを考えると見えてきます ■ まず犯人が口にした「僕も」という「ワード」ですが 取調室での青島のボヤキに同意する意味に加えて 「君も」という意味を含んでいるので 「君も僕も同じ」という意味がある事が分かります その後犯人は「刺激が無かった」と言葉を続けているので つまりその結果「刺激を求めて侵入を続けた」という 犯行の「動機」を話している事も分かります それは同時に「君も僕も刺激を求めたよね」と 青島に同意を求めた意味もある事になります その事を言った後 この男が「薄っすら笑って」いたのは その事を青島に伝える事で 「同類」が居て孤独では無いという救われた思いから このタイミングでもなりふり構わず 「安堵」出来たからだと言えます と同時に、世の中を脅かす凶悪殺人事件を引き起こし 逮捕され連行されて騒然とする警察署内で とてもそんな空気では無い中でも微笑む事が出来る程 犯人の男の心の闇が尋常では無い位の深さがある 「恐ろしさ」の表れと言えます 一方、その事を告げられた青島の方はと言えば この時の犯人の言葉を青島がどういう気持で聞いていたのかと言うと おそらく自分は犯人と同類だと思ったのではないでしょうか 退屈を持て余す同士で互いにシンパシーを感じもしたが 誤った刺激を求めた末に 衝動的に殺人を犯す末路を迎えたこの男に 「僕も刺激が無かった」と告げられた青島の耳には 「僕らの様な人間が行き着く先は犯罪者だ」 と聞こえたのだと思います だから男の言葉を真正面から受け止めた青島は 「俺もアイツになっていたかもしれない」 と言う訳です ▲目次へ▲ 『男の重荷を背負った青島』 しかしこの場面には更に向こう側があります いわゆる玉ねぎの皮の様な層で重なって見えない 一枚一枚 皮を剥ぐ様に調べて行くと見えてくる 異なる真相があるわけです ■ 犯人の男と青島は 同じ様に退屈して刺激を求める「同類」ではあっても 二人の間には「犯罪を行う側」と「犯罪を取り締まる側」 という 相容れない絶対的な「境界線」があります その境界線の向こう側の住人となり その先には破滅が待っている犯罪者を選んだ犯人の男とは違い 青島は会社を辞める時も警察官になる時も 正しい事をやる気持ちを何よりも強く持ち続けた人物でした そんな青島が、眼の前で安堵して微笑む男を 深刻な顔をして何を考えていたのかは 想像しますと…というか妄想しますと…w 青島は刑事になって湾岸署の配属が決まり 希望に胸を膨らませて初出勤をしますが 警察にも縛りがあるのは会社時代と何も変わらない事を 新米刑事が最初に受ける通過儀礼の様に思い知ります そうして自分の正義感を発揮させる 理想の仕事が回って来る事はほぼ無い事を悟り 所轄の警察官の現実に失望していました しかしこの少し前 和久に言われた通り被疑者に手錠を掛けるのは 本庁の捜査一課の刑事がやれば良いのであり 青島は事件を追う兵隊の1人として 捜査一課管理官の車の運転手として関わった 自分の事件でもある事を悟るのでした そしてこの今の状況は軍隊の様な警察組織の中で 多忙な所轄の一つ一つの仕事に従事し他部署の手伝いで取り調べをした事が廻り廻って 思いも寄らない形で被疑者の自首を促した結果で その奇跡の様な因果律に関わったのも 兵隊の役割を自覚して自分らしく振る舞った 青島の隠れた功績によるものでした そんな細い線で繋がった事件解決に 驚きで湧き上がる色んな感情にかき乱されながら 青島は刑事の仕事の醍醐味を実感して 毎日に刺激が無かった事で警察官に転職した その選択に間違いはなかった事を確信した筈です そうして互いに境界線の向こうに居て 普通なら決して自分と人生が重なるはずが無い 犯罪に刺激を求める男と出会った意味を考えた青島は 深刻な表情を浮かべて複雑な気持ちで男を見つめながら 彼は誤った選択をしただけなんだと納得をして 「君も刑事になれば良かったのに」 と言う訳です 青島のこの一言は男の意表を突いたのか 自分の様な人間の行き着く先は犯罪者しか無いと ずっとそう思っていたら 逆に犯罪者の真理が分かる事を良い方に使えば 自分には 捕まえる側になる道もあった のかと そんな事思いも付かなかったという表情で 青島に言われた言葉の意味を考えます そして取り調べの時の青島の態度を思い出して 「でも、そっちも刺激が無いんでしょ?」と尋ねます すると青島は 「あるよ、毎日ドキドキしているw」 と 湾岸署での雑務で焦心した一つ一つの全ての出来事が 実は一本の線で繋がる大事な事だったと確信して答えます そして男は無意識に 「そっち(側)」という言葉を使った意味が 今も二人が境界線の上に立って居て 自分は刺激を求める為に平気で犯罪に手を染めて 境界の向こう側の行き着く所まで行ってしまったのは 青島の様な強い正義感を持って無かったからだと とうに分かっていたので 「刑事になれば」という青島の問いかけも 刑事にならなかったのでは無くて なれなかったのだと悟った様に 「そう」と短く答えるのでした 犯罪行為の刺激には見つかったら人生が終わる 全てかゼロかしかないスリルにのめり込んでしまう魔力があり そこから遂に逃れられなかった犯人の男は 刺激と引き換えにいつか沈む事が定められた泥舟に乗る様な 破滅するまで綱渡りのつまらない人生だったと 思い返して暗い顔をするのですが 自分の同類で境界線の反対側に居る青島が 脱サラをして刑事になり毎日ドキドキして 街の治安を守る仕事に着いているという事実に 誇りに思う様な救われた気持ちになりながら どんな状況にもそこから抜け出す正しい方法があった事を知り 救われる思いと心の闇と霧が晴れて行く様な気持ちで 「いいな」と言って笑顔になります 青島はそんな男を 残念でならないという気持ちで見るのでした ここで男が青島の顔は見ずに視線がどこを見ている訳でも無く 満面の笑顔になっていた理由ですが それは 青島と会えて会話が出来て 自分と同類だと分かった青島が刑事をやっている事が 羨ましくも誇りに思って刺激を受け 自分だってもうこれまでの自分じゃ無い この先どんな目に遭おうとも強い気持ちを持って 犯した罪に真摯に向き合って行こう 頑張ろうという様な この先の事を考えはじめていた からだと思います 一方の青島は 男がそんな事を考えている事を全て理解したのか その刺激を受け合える信頼できる友人が居たら その強い気持ちと頑張りと 新たな自分になれた充実感を 犯罪を犯す前に持てていれば と 改めて残念でならないという表情をするのでした この場面での青島と男との「表情の対比」には 犯罪を犯す側と追う側との対比の他に 出会いによって重荷を降ろして救われた人間と 出会いによってそれを見届けて背負う人間との 異なる道を歩む者の対比という この様な「向こう側の真相」があったのでした だから男は青島に「頑張ってね」と言って去り それを見届ける青島は笑顔で返したものの いたたまれなくてどうしても返事の声が出せなくなる訳です ■ これらの解説は 私の妄想 で片付けるにしては この様な心理的な流れがあると想定して場面を眺めると ここでの織田裕二と近藤芳正が 物凄く繊細で細かい演技をしている合点がいくので おそらくこの様な脚色上の演出がなされていたと 考えられるわけです ▲目次へ▲ 『捜査一課の刑事達が黙って見ていた本当の理由』 ここでこれまで オーラを消してきた捜査一課の刑事が 図ったようなタイミングで「行くぞ」と言って出てきて 男の手を取ると 一瞬チラっと青島を見てから男を連行して行きます 一見 脚本の都合で作られた良くある演出かの様に見える場面ですが 普通に考えれば あの高飛車な捜査一課の刑事達がなぜこれまで口を出さずに だまって青島と男を二人きりで話をさせたのか あまりにも不自然で疑問が残ります 実はここにも「見えない向こう側」があって 当然 そうする理由があり 刑事達は黙って見ていた訳です それが分かると 何度も観たはずの再放送のドラマから 全く違う景色が見えてきます 理由はこうです 男は自首した後 捜査一課の刑事達が来た時に 湾岸署の青島という刑事と話をさせてくれと 間違いなく頼んだはずです そして素直に全てを自供するのは青島と話をさせてくれるのが条件だとも 言ったのかもしれません それは青島と話をした時に 「あんたに言いたい事があって自首した」 と言っている事からも間違いはないでしょう しかし男が連行される時に 青島は管轄内で起きた事件の捜査に向かってしまうので 「被疑者が青島に話がある」などという連絡は 湾岸署には届いていない 事が分かります これはつまり一刻も早い起訴が望みの捜査一課の刑事達が 男には空返事だけして 全て無視して何もしなかった と 想像できます だから男が湾岸署に連行されてきた時に 青島とすれ違って出て行く所を見た時 捜査一課の刑事たちが 約束を守ってなかった事に気付いて 驚いて立ち止まる訳です 高飛車な捜査一課の刑事たちは青島が誰なのか 所轄のヒラの刑事の事など頭に無いので 知るはずもありません だから男が立ち止まった理由が分からずに 「何してる来いっつ」と言うのですが 男は青島を凝視したまま 嘘をつきやがってと捜査員の手を強く振りほどく訳です つまり男は捜査一課の刑事たちが約束を破っていた事に 怒っていたのです なぜそれが分かるのかというと 男が立ち止まった時 捜査一課の刑事が「何してる来いっつ」と 男の腕を掴んで連れて行こうとしたにもかかわらず その手を男が強く振りほどいても なぜか手を出さず何もしなかった事 そしてその直後 「あの刑事が青島だったか…しまった」という様な 何人かの刑事の目が泳いで浮足立っていた事でそれが分かります だから捜査一課の刑事たちは 約束を破っていた事が男にバレた事に気付きバツが悪くなり そのまま男には約束通り 青島と話をさせたという事だと思います だから捜査員達はその間 一応礼儀として「よそ見」をし 「話は聞いていないぞ」オーラを出して 話が終わった空気を察知すると バツが悪そうに「…行くぞ」と言う訳です その時捜査員がチラッと青島を見たのも これまで解説して来た 青島との会話の「向こう側」の存在を 全く知る由もない一課の刑事が 「こんな話に何の意味があるんだ 時間を取らせやがって」 という眼をしたと言う訳でした そして連行された男は 青島の方を笑顔で見ながら 「こんな信用出来ない刑事達が相手だけれども あんたみたいな刑事も居るって分かったから ちゃんと自供して頑張って罪を償うから ありがとう」 という感じで署の奥へと歩いて行くのですが それは殺人を犯して逮捕されるという 普通なら人生が終わったと感じる様なタイミングだとしても 自分を見つめ直して新たな自分を見つける事が出来て それがあるだけでこの先やっていけるという事を 青島に伝えたかったのでしょう そしてそれを見届けた和久は出口に歩いて行きますが ひょっとしたら和久は 何が起こっていたのか全部分かっていたのかもしれません 対して恩田すみれは 自分が取り調べた鍵男が殺人犯と分かっても それ以上の事は分からない様で 青島に「あの男が?」とだけ言うのですが 真面目な青島は男の言葉の全てを受け止めて 自分は刑事になったから ああならずに済んだということなのかと考えながら 「俺はあいつになっていたかもしれない…」 と答えて出口に向かって行くのでした そして和久は遅れてやって来た青島に 男と何があったのか「どうした」と尋ねると 青島はニヤニヤしながら 「和久さん…俺…チョットやる気出てきちゃいましたw」 と変なスイッチが入った顔で答えるので この時の青島はもうこの一件を乗り越えていた事が分かります この時の青島は既に 「あいつになっていたかもしれない」という考えを逆に捉えて 「逆に考えると刑事を選んだ自分の選択は間違いなかった という事は転職は天職だったW」 とでも考えていたのでしょうか 対して和久は青島に 犯罪者に言われた事になど感化されるな と 若い刑事が最初に陥る危うい勘違いを看破して 「出すな!そんなもん」と一喝し 青島は警察の仕事の醍醐味を感じつつ 湧き上がる期待感にドキドキしながら 「はい~w」と答えて現場に向かうのでした 和久は最終回で 6年間追い続けた刑事殺しの被疑者の取り調べの時 青島について「あいつには自分の正義がある」 と語っていましたが この時の青島が 罪を犯した被疑者に対しても人としての全てを受け止める 普通なら出来ない「度量」がある所を見て 自分もそれに倣ってそんな事を言ったのかもしれませんが…と… ココから先の事は「最終回」の解説の時にお話しますので 今はこれ位で…w ▲目次へ▲ 『捜査一課で孤立していた室井』 さてこの後、記者会見で室井が 記者会見の席に座らず変な顔をして立って見ていたのですが これは自分の指揮で被疑者逮捕に繋がった訳でも何でも無かった事と この事件担当の実質上のボスは 浜田晃演じる島津捜査一課課長で 功績も捜査員を仕切った島津一課課長にあったからです 名目上の指揮官は管理官の室井でも 室井の捜査方針は捜査会議で課長に お好きにどうぞ と跳ねられ 捜査員達は 課長の元で捜査をして 室井を無視していた事からもそれは分かります 青島が運転する車の中でも 自分の元で捜査をする捜査員からの報告がまともに上がって来ない事に憤り 秋田弁丸出しで憤慨していましたが 実は捜査が出来なくて 蚊帳の外 にあったのは 運転する青島だけでは無くて 室井も 同じで そんな二人は事件から離れた場所で 車に同乗していた という訳でした つまり自分が見立てた捜査が空振りに終わった「肩透かし」という意味と 若輩で管理官に成り上がった自分とは違って 長年捜査一課をまとめて来た島津課長の見事で揺るぎのない手腕に 「役者が違う」と圧倒されていたという意味と 事件解決で肩の荷が下り 若き管理官が抱えて来た巨大なプレッシャーから開放された 「安堵」もあったと言えます この場面は一見、刑事ドラマでは良く見られる 事件解決を伝えるというドラマ的には「締め」にあたる 単なる形式的な あってもなくても良い場面の様にも見えますが 今はまだ名前だけの管理官に過ぎない室井の立場を 良く表していた場面でもあったのです 事件解決の報が流れる中 島津一課課長と室井の見送りにスリーアミーゴスが続き 袴田課長が島津一課課長に「ごくろうさまでした」と声をかけ 島津一課課長が振り向くと 「今度、事件解決のお祝いに一つ〜」 袴田課長も「私が一席設けますから〜」と コチラは取り入るような態度で声をかけるので 島津一課課長は俺の話じゃないなとすぐ前を向き 室井はこの様な癒着が煩わしい顔をするという 叩き上げとキャリアとのあからさまな態度の差が描かれます 実はこの場面も この事件の実質の指揮官は 島津一課課長 であった事を 呼ばれて振り向く事で表現していたのでした ▲目次へ▲ 『話が通じない相手だと青島に思われ不本意な室井』 署の入口前で室井と島津が車に乗ろうとする時 被疑者を逮捕して連行してくる青島とすれ違うのですが 島津一課課長は青島の方を向いて立ち止まります よく見ると島津一課課長は青島の方を向きながら 首をウンウンと縦に動かしますので これは今回の逮捕劇のきっかけが青島にある事を知っていて 「君が例の刑事か」という感じの良くあるやりとりですが この課長が高飛車で横柄な捜査員達とは違って 割と公平な人物である事も分かります その後 室井は青島に「運転ありがとう」と言います これまで青島にあまりに尊大な態度で接していた室井にしては 随分と素直な態度になった事に違和感を覚えますが ひとつは室井は本当はこういう人だという事です それは今後の話の中で室井が 「本庁と所轄の枠を取って開かれた捜査をするべき」 という正論を語る人物である事が分かって行く事からも 上下の分け隔てをしない本来の本分に立ち返って 声をかけた事が分かります では捜査中は色々とあって余裕がなく 若くして管理官となり実績もなく手柄を立てる事にあせり苛立ち 運転する青島に尊大となり 事件解決後は青島に声をかける心のゆとりが出来たから という理由もありますが 捜査員でありながら自由な捜査ができなかったのは 所轄の刑事も同じだったので 自分と境遇が同じ青島を「気をかけた」 という事だと思います そして青島は室井の余りに素直な「ありがとう」に意表を付かれますが その素直さに押される形で柏木雪乃 の件を話そうとします すると室井は「犯人は逮捕された」と言うので 青島は異なる角度の話である事を伝えようと 「ですがあの娘、今もショックで…」と言う中 お忙しい管理官を引き止めるのは止めなさいとばかりに 袴田が「寒いので」と割って入り 話を強制終了させようとして室井も従うのですが 青島は「待ってください」と引き下がらないので 室井はまだ話があるのかという眼をして青島を振り返ります 室井的には充分真摯な態度を取ったつもりだったのかもしれませんが 青島はその室井の態度から 所轄のヒラの刑事の話を聞こうとする「度量」は感じても 被害者の娘の心配まで出来そうもない「狭量」を感じ取り サラリーマン時代の接客を思い出した様に 「・・・また何かあったら呼んで下さい」と話を切り上げます そんな青島の笑みが自分への失望に映り不本意に思ったからなのか 室井は言葉を選ぼうとしばらく考えてから 「君の名前は」と言います 青島は少し距離が縮まったと感じて笑顔で 「青島俊作。都知事と同じ名前の青島です」 と答えますが 室井は「青島くん」と名前で呼び 意見は受け止めた点を強調する様に前置きしてから 「事件は解決したんだ」と 被害者の心労を「考えられない」のでは無くて 立場上「考えない」のだと 立場を強調する短い答えだけ残して 他の本音は見せないまま去って行きます 何も言い返せなかった青島は 袴田課長に本部の片付けを命じられますが しばらくの間、室井が去って行った方を向いたまま立ち尽くし 和久はそんな青島を見て 「あの管理官にその話をぶつけるとは大したヤツだな」と思ったのか 何も声をかけずに被疑者を連れて行き 青島もモヤモヤしながら後につづくのでした 警視庁へ戻る車中で携帯で連絡する室井は 「参考人の事情聴取は私がするから」と いくつもの事件を抱える管理官の本分に立ち返り 早くも次の事件に取り掛かろうとする姿がありました 一方、捜査本部の後片付けをするのが今の仕事となる青島は 初心を忘れそうになる気持ちを一喝する様に 以前、泥棒に入られた後怖くて眠れず困っていた老人に しばらく自宅を警邏して世話したお礼に貰ったお守りを手にし 「困っている人がいたら助ける」「正しいことをする」 という、自分がするべき本分に立ち返ろうと 柏木雪乃 が入院する病院へ向かうのでした 立場は違えど 同じ思いを抱いた 二人の初めての出会いは 「衝突」で幕を閉じます ▲目次へ▲ 『柏木雪乃が雪を眺めて涙を流す理由』 柏木雪乃の病室に入室して青島は 振り向いた雪乃に犯人逮捕を告げるのですが それで雪乃の父親の死は変わる事は無く 依然雪乃は悲しみの中にある事を感じて 「お父さんの事は…」と残念ですと言いかける青島の言葉を遮るように 雪乃は涙を流しながら窓に眼を向けます いたたまれない気持ちのまま青島は 雪乃が見ている窓の外へ眼を向けると 外は雪が降っているのが見えました 青島はこの時の雪乃が 窓の外に降る雪を見て何を思っていたのか 同じ様に雪を見ながら考えます ひとひらの雪が美しく舞い降りる様は 故人を偲ぶなごり雪の様でした でもたった一人の肉親だった父親を失い 悲しみのどん底に居る雪乃にとって 外で何が起ころうと 雪がどんなに綺麗に降っていようと 関係ないはずです こういう時 人は・・・ 大事な人が亡くなったというのに 何かに心を奪われるなど 不誠実な事だと感じるのかもしれません・・・ この時の雪乃は たった一人の肉親だった父が亡くなってこんなに悲しい時に どうして私は降る雪を綺麗だと思って見ているのだろうか と、そんな風に感じながら窓の外に目を向けていたのかもしれません しかしそれでも そんな不幸な状況にあっても 美しいものには自然と眼を奪われてしまうのなら 美しいもの、素敵なものへと気持ちが向く様にと 世の中が自然とそう仕向ける流れがあるのなら その流れに命の「息吹」を感じさせるものがあるのなら それに逆らう事は無いのかもしれません 今は気持ちが暗闇の中にあっても それを拒絶しないで自然と受け入れる雪乃には 生きようとする「強さ」があると分かります だから柏木雪乃は父親の死を乗り越えて きっと立ち直れると青島はそう感じ取ったのでしょうか 立ち直ったあなたを待っていますよと 敢えて気を使わずに明るい声で 「寒くないですか?」と 雪乃を 心に大きな傷を抱える病人としてでは無く 普通の人に話しかける様に問いかけて 少しでも心を開いて貰えればと笑顔で自分の事を話し始め 事件が解決したらそれで終わりという刑事にはなりたくないと 心の内を話すと また尋ねる事を約束して病室を後にします ここで 力になりたいという「本題」を話さないで また来る事を伝えて「挨拶」だけして帰った青島は 第6話の中でヘリで訪ねて来た室井に語った サラリーマン時代に営業で行った「道慣らし」を思わせる 営業マンの基本ノウハウを使った様にも見えました が、そういう事では無く 青島はサラリーマン時代も刑事になった今も 「正しいことをしたい」という本分は サラリーマンを辞めて刑事になっても 変わりなく持ち続けようとしている事が分かります そしてセールスマンの仕事で培ったノウハウは 人との繋がりを支える姿勢として 自分の中に活き続けている事も分かります だから帰り際の室井には表情を汲んで本題を話すのを止めて 挨拶だけして 雪乃には無理をさせずに 次に来る事だけを約束して帰ったのです それは「ノウハウ」というシステムナイズされた 社会人の世渡り術などでは無くて 青島の持つ強い「正義感」に加えて「誠実」さという 自分の中に既にあるものでも あるのでした ここで「Love Somebody」がかかり 殺人を犯し被疑者となった男は 世間に晒されない様にコートで自分の姿が覆われていたのとは 対象的に 雪が降る寒い中をコートのフードで自分を覆う青島は 世間に見せても恥じる事の無い 熱い正義を心に秘めながら 自分の仕事に戻って行くのでした☆ ■ という訳で今回はここまで 次回をお楽しみに〜☆
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最終更新日
2026年01月25日 14時30分32秒
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