映画『スパイダーマン:ホームカミング』アベンジャーズに「帰ってきたスパイダーマン」
アベンジャーズシリーズに「帰ってきたスパイダーマン」 スパイダーマンホームカミング Spider-Man: Homecomingアメリカ(2017年8月11日公開)133分■ 監督 ジョン・ワッツ■ 出演者 トム・ホランド /マイケル・キートン /ジョン・ファヴロー /ゼンデイヤドナルド・グローヴァー /タイン・デイリー /マリサ・トメイ /ロバート・ダウニー・Jrマーベル作品中最も知名度が高く日本でも60年代後半に旧アニメシリーズが放送され70年代後半には日本版の特撮ドラマシリーズの製作や池上遼一作画によるコミックが発刊されるなどアノ、テーマ曲を合わせてよく知られる人気作でもあり今回、「アベンジャーズ・シリーズ」で知られるマーベルの映画部門「マーベル・スタジオ」の独立制作となった事で念願の「アベンジャーズ入り」を果たし本来のホームグラウンドへ帰ってきたカジュアルなティーンエイジャーのスパイダーマンを描いた『スパイダーマン:ホームカミング』をご紹介します☆---------------------------------------------------------------------------------------------------■■■もくじ■■■STORY1. 本作の内容2. 帰ってきたスパイダーマン3. 新旧ヒーロー豪華饗宴■ロバート・ダウニー・Jr(アイアンマン)■■マイケル・キートン(ディラン)■■社会性が反映される悪役作り■■絢爛豪華へ向かう消極性■4.意図的な物足りなさを脚色した舞台裏■社会的影響への考慮と社会に切り込む責任■■関心と要求との差異■■万人が共感できるヒーロー像■▲目次へ▲---------------------------------------------------------------------------------------------------- STORY ----------------------------------------------------------------------------------------------------キャプテン・アメリカ陣営とアイアンマン陣営が激突したライプツィヒ・ハレ空港での騒乱の後帰国したピーター・パーカー(トム・ホランド)はトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)に認められようと張り切ってお目付け役のハッピー(ジョン・ファブロー)へ街での自警の成果を毎日の様に報告を入れるが全く相手にされない無為の日々を過ごすそんな折、政府のダメージコントロール局によりニューヨーク決戦での災害廃棄物処理の仕事を奪われた産廃業者のエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)は手元に残ったチタウリの残留物を悪用しハイテク兵器を製造して闇市場で密売する商売を思い付く自警活動中、武器密売の現場を目撃したピータだったが・・・---------------------------------------------------------------------------------------------------- 解説 ----------------------------------------------------------------------------------------------------▲目次へ▲■1.本作の内容■本作はアメリカンコミックスの大手マーベルコミックの人気作品『スパイダーマン』の映像化で2002年に制作されたサム・ライミ監督版から始まった21世紀の「スパイダーマン」映画としては6作目に当たる作品となりリブート作となった『アメージング・スパイダーマン』に続いて3度目の再リブート作となった作品でマーベルスタジオが独自に制作して来た『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ』『マイティー・ソー』などが同じ世界で共演する「MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)」いわゆる「アベンジャーズ・シリーズ」として制作された世界中のマーベルファン待望の超話題作でもあります。■物語は『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』の後日談に当たる飛行場での騒乱からピーター・パーカー(トム・ホランド)が帰国する所から始まりトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)の庇護の元で、目立つ活躍の自粛を促され自主的に細かな自警を続ける無為の日々を過ごす中でトニーが後援する政府機関「ダメージコントロール」局の都合でニューヨーク決戦後の復興事業の瓦礫撤去の職を奪われた事で瓦礫の中に残留していたチタウリの地球外技術を悪用しハイテク兵器を製造して闇市場で密売する商売を思い付き飛行スーツを操り怪人「バルチャー」となって悪事を重ねるエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)との対決を通して若者にありがちな 自分の力を過信する余り増長して周りに認められようと無茶な行動に走り大きな危機を招いてしまう様な失敗を起こしながらもヒーローとして何が出来なくて何が出来るのかを学んで行く若きスパイダーマン ピーターの成長と試練と活躍を描いた作品で若くなったメイ叔母さん(マリサ・トメイ)や、体育会系では無くなり今時のいじめっ子となったフラッシュ(トニー・レヴォロリ)などのリニューアルされたキャラクター達とのおなじみのやり取りに加えて「アイアンマン」ことトニー・スタークとの師弟関係となる豪華共演や『アイアンマン3』以来の出演となるハッピー(ジョン・ファヴロー)や「アノ人」の再登場などの他、コミックスを知る人にとってはニヤニヤしながらの鑑賞となる「隠れイベント」満載な 脇役を飾る登場人物達の他唯一ピーターの秘密を知る気の良い親友ネッド(ジェイコブ・バタロン)との凸凹コンビぶりや学校一の美女で才女のリズ(ローラ・ハリアー)との恋の行くへなどよりティーンエイジャーとなったピーターの学園生活にスポットを当てた「青春映画」としてもこれまでにない瑞々しいタッチで描かれたスパイダーマン映画になっています。▲目次へ▲■2. 帰ってきたスパイダーマン■本作のタイトル『ホームカミング』とは、作中でも描かれる 卒業生を招いて行われるアメリカの高校特有の学内イベントダンスパーティーの事を指すのですが元々コミックスでは「アベンジャーズ」の一員として描かれながら大人の都合で共演が叶わなかったスパイダーマンがようやく「アベンジャーズシリーズ」となるホームグランドへ戻ってきた事を意味するタイトルでもあり『スパイダーマン:ホームカミング』を日本流に訳せば『帰ってきたスパイダーマン』とでも言うべき「アベンジャーズシリーズへ帰ってきたスパイダーマン」となった2002年の登場から実に15年かかっての邂逅という意味合いを含めたファン待望の映画化となった事にふさわしいタイトルでもありますさて、本作のスパイダーマンはイケメン美女共演が原作と違うイメージになったという理由でファンの不評を買った事が一つの要因となって3作目の制作が無くなった『アメージング・スパイダーマン』とは異なりどこにでも居る様なあどけない少年の面持ちの普通の高校生をイメージしたキャスティングが行われ2005年に『リトルダンサー』というタイトルで映画化もされたミュージカル『ビリー・エリオット~リトルダンサー~』の舞台の主演で話題になった俊英トム・ホランドが新たなスパイダーマンに選ばれましたTom Holland (画像参照:wikimedia)『リトルダンサー』は物語の柱となるバレエだけではなくアクロバティックな演目で知られるミュージカルで約10年前 子役時代のトム・ホランドが大抜擢された舞台なのですが子供が演じるには非常に特殊な訓練が必要な過酷な舞台としても知られ言ってみればトム・ホランドはこの大役を演じた事で10年後「スパイダーマン」になる土台を整えたとも取れ正に運命的な舞台でもあったと捉える事が出来ますつまり、空前の経済危機と深刻な人種問題に加え未曾有のテロの危機に晒されている現在国内が揺れに揺れている米国に於いて過酷な運命を背負いながら逆境に負けない芯の強さを持ち聡明で、何よりも高校生らしい明るさ持った主人公ピーターを演じるにはトム・ホランドは正に適役だったというわけでした▲目次へ▲【3.新旧ヒーロー豪華饗宴】■ロバート・ダウニー・Jr.(アイアンマン)■本作では出番は少ないながらも「アイアンマン」トニー・スタークを演じたロバート・ダウニー・jr の出演が実現し意見、指南し時には叱咤するピーターの後見人の様な役割を演じ師弟関係として描かれた事で大きな話題を呼びました。Robert Downey, Jr. (画像参照:wikimedia)一方、本編のトニーは師というよりはピーターが勝手な行動を取らない様ハッピー(ジョン・ファブロー)にお目付け役を命じながら釘を刺す様な対応をして、失敗したら叱りつけるというほとんどピーターを子供扱いする話を聞かない大人という感じなので二人の関係はどちらかと言うと「頭ごなしに叱り付ける怖い父親と息子」と言った方が近い印象がありますトニー自身も、嫌っていた父親と奇しくも同じ行動を取っていた事に自分自身に驚きを禁じ得ない状態だった位なのでましてトニーに認められたいピーターを余計に刺激するばかりで4分の1の模型を真っ二つにして撮影したと言われるフェリーでの攻防の場面では勝手な単独行動から一般市民を危機に陥れたとして成す術も無く只々謝り続けるピーターをよそにハイテクスパイダースーツを没収し社員をクビにする様にピーターとの関係を白紙に戻す厳しい処分を下してしまいますこれはトニーがピータに対してヒーローとしての資質を問わせた事や若者にありがちな 周りに認められたい余りに行き過ぎる自分を過信する余りに学業も止めて我が道を行こうとする自信過剰な若者に雷を落とすという事とは別に「社員」を処分する「社長」としては成り立っていてもSWのオビワンとルークの関係の様な「弟子」を持つ「師」としては程遠い子供扱いを続けて釘を差した後は放任し、失敗したら急に大人扱いで処分するという「親」としてまるで子供のしつけが出来ない米国の典型的な権威的大人の男の姿を垣間見る様な極めて人間臭い描写で終始しておりキービジュアルにあった様な共に飛行する場面も無ければ師弟関係と言う程の「ベストキッド」的指南の場面も無ければ「SW」的修行を行うわけでも無い、この「師弟関係」という振れ込みもほぼ肩透かしなこの様な内容を補完する為の多分に配給のイメージ戦略に依る面が大きい印象がある様に感じられました。□【Blu-ray】アイアンマン3 MovieNEX価格:3918円(税込、送料無料) (2017/9/19時点)【フィギュア】S.H. フィギュアーツ アイアンマン マーク42[バンダイ]価格:5637円(税込、送料別) (2017/9/19時点)■本作のスパイダーマンがこれまでのシリーズとは異なりティーンエイジャーとして描かれるだけでは無くハイテクスパイダースーツを没収される場面も今時のネット世代を象徴するスマホに頼り切りの高校生の少年が試験の点を落とした罰に親に携帯を没収された様な印象が重なる様なトニーを含めて回りの大人が必要以上にピーターを「子供扱い」するのは思うに、ほぼ放任主義でも捻くれる事無く、早い時期から自立する事を覚え、親は無くても駄目な親でも子は育つ、というクラスメート達との交流や学園生活を通してティーンエイジャーとして真っ直ぐ育ってきたピーターがトニーからハイテクスーツを支給された後は「アベンジャーズ」入を確信して得意になりスパイダーマンとしての活躍に没頭し持ち前の明晰な頭脳から学校すら不要に感じて高校を辞めようとし一人でも街を守れるつもりになって我が道を行こうと増長した挙句、勝手な独りよがりな行動から市民を危険に晒す失敗を犯しトニーにスパイダーマンのハイテクスーツを没収される事となってもハイテクスーツに頼る事無く一人で何が出来るのかそして「ディラン」との対決の行くへは如何にというクライマックスへと繋がる流れを作り本物のヒーローへと成長を遂げる少年ピーター・パーカーの青春を描く重要な布石の意味を含めた脚色と思われこれらは新たな観客層獲得として、主人公と同年齢の若者層の支持を集める事の他に主人公と同年齢の子供を持つ大人達の共感を得る狙いがあった様な印象を受けました▲目次へ▲■マイケル・キートン(バルチャー)■又、本作のヴィラン(悪役)となる「バルチャー」を演じるティム・バートン版バットマンシリーズのマイケル・キートンの出演は「元バットマン」と「現スパイダーマン」による新旧ヒーロ対決で世代交代を意味する出演でもある事の他、奇しくもマーベルコミックスとはライバル関係に当たるDCコミックスの人気ヒーロとの「代理対決」の様相も加わりある意味、元「バットマン」がヴィランになるという要素で占められる非常に興味深い共演でもありましたMichael Keaton (画像参照:wikimedia)本作のヴィランとなる「バルチャー」は元々は『アベンジャーズ』のニューヨーク決戦で発生した大量の災害廃棄物処理を担う大勢の従業員を抱える廃棄物処理会社を経営する犯罪歴の無い普通の一般市民だった人物で瓦礫の中に「チタウリ軍」の地球外のテクノロジーを使った様々な残留物が混入している事を危惧したトニー・スタークが後援する政府機関「ダメージコントロール」局の方針により瓦礫撤去の職を奪われ社員共々 路頭に迷う状況に追い込まれた絶望感から手元に残った瓦礫の中に残っていた「チタウリ」の地球外テクノロジーを悪用し強力な武器を製造し密売する闇家業に手を染めて行く様になり自身も「チタウリ」のテクノロジーを使った空飛ぶ翼を持った武器スーツを操り怪人「バルチャー」へと変貌していったという経緯を持ちその後も「バルチャー」となってチタウリの瓦礫を密かに入手してはそれを元に武器を製造し密売を重ねるのですが「アベンジャーズ」の目に止まらない程度の小さい取引に留めていましたしかし末端の組織員のしくじりから「スパイダーマン」に組織の存在を知られた後は組織が立ち行かなくなるまでに取引を阻止される事となり遂には一線を超えて政府の施設に侵入せざる負えない程追い詰められる事でスパイダーマンに殺意を抱くまでになり根が悪人では無い企業主が、追い詰められた絶望から一線を越え家族と従業員を養う為、悪事に手を染め引き返せなくなり遂には本物の「怪物」へと変貌してしまうという単なる「悪党」では無いヴィランである所に本作の特徴があります【Blu-ray】バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)価格:1000円(税込、送料無料) (2017/9/19時点)【Blu-ray】バットマン/バットマン リターンズワーナー・スペシャル・パック [ マイケル・キートン版 ]価格:2261円(税込、送料無料) (2017/9/19時点)▲目次へ▲■社会性が反映される悪役作り■今回この様な経緯のヴィランを描いたのは、日本とは理念の異なる徹底した個人主義に根ざした資本主義における競争社会としての自由の国米国が生み出す自由であるが故の「闇」を描こうとした所に理由がある様に思われます過去、『スパイダーマン2』や『アメージング・スパイダーマン2』でも悪人ではない人物がヴィランになる前例がありましたがコミックから飛び出した様な、キレッキレの「サイコパス」でも無ければカリスマ性を帯びた生まれ付いた悪党ですらない、日本の様に国が社会保障を行い民主主義下における社会主義的要素が理想的な形で共存している様な事情とは異なり分かりやすい程に極端な位の資本主義至上社会であり金持ちが尊敬され貧困になるのは全て自己責任とし国営を徹底して否定し国が行う社会保障の様な社会主義的行為を忌み嫌う全てに於いて個人の自由によって行われる事が理念の民主主義国家米国ならではの社会問題に根ざし生み出される食べる為に悪事に手を染める犯罪者という社会問題としても非常に根の深い誰もの身の上にも起きないとも限らない現在の米国の風潮と関心を投影した絵空事とは違うこれまでに無いタイプの「悪人」がヴィランとなる社会派という側面を持った問題作的なスパイダーマン映画になった印象がありました。▲目次へ▲■絢爛豪華へ向かう消極性■さて、これらの共演が実現した背景には、一つに『アメイジング:スパイダーマン』の興行的失敗によるスパイダーマン単独映画化に対しての制作サイドの懸念から確実なヒットを得る為の「テコ入れ」が理由として考えられ前作に当たる『シビルウォー』でのアイアンマンがスパイダーマンをスカウトするという展開はアイアンマンとの共演が唐突に見えない様にする為の満を持しての共演という流れを作る布石とも捉えられ「アイアンマン」に加えて元「バットマン」マイケル・キートンとの共演はヒットを確実にする豪華なダメ押しの起用というマーベル流の見え透いた程の算盤ずくな印象が強い映画化の様に感じられましたが近年、ハリウッド・クロスオーバー作品が目立つ絢爛豪華な饗宴とは裏腹な強気が売りのハリウッドにして単独映画化に踏み込めない安全策を取り続ける弱腰にすら感じる業界の風潮が気になる所ではありました。一方で、実際の本編を観ても、アイアンマン事トニー・スタークとピータとの絡みの場面は数える程しか無く悪役「バルチャー」が「バットマン」に於ける「ジョーカー」の様なサイコで分かり安いハリウッド・エンタテイメント的悪漢では無かったり前作『アメイジング~』までは描かれた、祖父と祖母の様な歳の叔父と叔母とのシークエンスはもう十分と判断されたのか 一切無くトランプ政権下の米国で、人種の多様性を意識したのかそれとも白人至上主義層を刺激しない為の考慮なのか本編に出て来る悪漢はほぼ、分かりやすい程移民系米国人で占められている様だったり傲慢で乱暴者の体育会系白人を絵に描いた様なイジメッ子「フラッシュ」も「現代のネット世代を反映させた」と言う製作側の説明を鵜呑みには出来ない様なイタリア系(恐らく)俳優をキャスティングしたり と一方ではファンの期待に応えて他方では必要範囲内に留めたり一方では一般の声を反映させ他方ではその他一般の反感を買わない配慮が見られたり共に現在の米国の風潮を牽制しながら、不用意に切り込んではいないという本作はハリウッド映画らしからぬ消極的な姿勢が顕著に現れている所に現在の「ファミリー向け作品」リリースにおける表面上は整然とした業界の混沌 を見る思いがしそれらが示す先には米国の悩みが浮かんで見えて来る様な興味深い側面を持った作品であるとも言えます▲目次へ▲【4.意図的な物足りなさを脚色した舞台裏】■社会的影響への考慮と社会に切り込む責任■過去、2002年よりサム・ライミ監督により映像化されたスパイダーマン3部作を経て再び高校生として描かれリブートされた『アメイジング・スパイダーマン』2作を含めてこれまで5作が制作されてきた「スパイダーマン」映画でしたが、本作の前作に当たるのはアイアンマンとキャプテン・アメリカが対立しアベンジャーズが真っ二つに分かれて激突する衝撃作『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』になりスパイダーマン映画としては6回目の映像化に当たる『アメイジング・スパイダーマン2』に続く映像化でサム・ライミ版から数えて実に3度目の仕切り直しの再映画化という事になり「スパイダーマン」人気の高さを物語るものがあります更には、これまではマーベルス・タジオ制作でありながら配給元となる「ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント」との独占契約という契約上の縛りからマーベルの独立制作部門の一連の作品となる『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ』を始めとするMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に属するいわゆる「アベンジャーズシリーズ」としての映画化が出来ない状態をクリアしソニー・ピクチャーズの配給はそのままで「アベンジャーズ・シリーズ」に属する映画化が晴れて可能になっての制作という事もあり「契約上の問題」という巨大な壁がようやく取り払われ紆余曲折を経てのファン念願の映画化でもあったという特別なスパイダーマン映画でもありましたその様にファンの巨大な期待がかかった作品に良く見られる批判的な評価も数多く見られ主に「(サム・ライミ版に比べ)物足りない」という意見で占められた様でしたその評価の正当性を論じる事とは別に、本作が主人公の年齢層の観客が鑑賞出来なくなる「R15指定」作品とならない様犯罪者達の犯行を意図的に詳細に描かなかったり人が血を流して死に至る様な派手で残酷な殺傷場面を無くすなどあくまで家族映画の範囲内で青少年が鑑賞できる枠組みで脚色された全年齢層向けの夏休み公開娯楽映画として制作された印象が強く、この様な造りが、大掛かりで刺激的なハリウッドアクション映画を期待した大人の洋画ファンに取って物足りなさを感じる意見に繋がったのかもしれません。これらは 家族層を取り込む目的として青少年に与える影響を考慮した制作側の意図的な脚色と思われますがそれらによって物足りなさを感じるのもひとえに米国を代表するコンテンツの一つの社会的影響の大きい作品で「クライムアクション」映画を制作する関係上米国国内の事情を肌で知らなければ実感できない様なニュース解説だけでは語り切れない非常にデリケートな社会問題を多分に盛り込む必要性に駆られる「映画人」としての立場から先程も記述した様に、今、アメリカ国内で社会問題になっている、人種差別問題や雇用問題を柱として発生する犯罪を作品内に盛り込みながら青少年への影響を考慮した造りになっている所に大きな理由がある様に思われ従って、青少年が鑑賞する事を念頭に置いて様々な描写に考慮が含まれた、過度なまでの自主規制の元に作られた感が否めない仕上がりという鑑賞後感もありその辺りに、物足りなさを感じる真の理由があったのかもしれません▲目次へ▲■関心と要求との差異■一方で、ど派手が特徴のクライムアクション映画の造りで描かれるサイコパスな悪人による過激な犯行と言ったほとんどファンタジーに近いエンタテイメント要素が大きいゲームや犯罪小説の中でしか出てこない日本人好みの非現実な犯罪の描写は様々な問題が複雑に絡んだ社会性を反映した深刻な犯罪が多発する現在の米国に於いて日々その中で生活を続けている一般市民の目から見れば全くナンセンスで現実味を感じられない事からもはや関心は無く下火になっている印象があり米国の様な危険に晒されない、平穏な日本の風潮下で「シン・ゴジラ」を始めとするリアルなタッチで描かれたファンタジーが主流の人気犯罪小説や人気漫画コミックスなどの過激で異常性が際立つ、いわゆる「闇過ぎる」内容が好まれる日本の事情とはまったく真逆の所に本作に対してのマイナス評価には目の前で起こる現実より心の奥に棲む心象をという国民性と関心の方向性が絡んだ極めて「日本的」なものを感じたという点に於いて本作の評価の差異からその様に感じられるものがありました。▲目次へ▲■万人が共感できるヒーロー像■サム・ライミ監督版『スパイダーマン2』ではヒーローとしての華々しい活躍の影で勉学に身が入らず、生活はままならない経済的にも困窮する無力な若者という今時の等身大な青年像に重ねたこれまでに無かった新たな切り口のスーパーヒーローが描かれましたが本作では、いわゆる前世紀の「スポ根」世代にありがちだった挫折と失敗を通して自らの非力さと弱さを思い知り強くなる為恩師に鍛えられレベルアップすると言った「泥臭い」手垢の付いた描かれ方は一切排除され初めから最強の能力を所有しトニー・スタークという最強のスポンサーが付き挫折を通して元々持っている自分の力に気付くという現代のネット&ゲーム世代を意識した全く手垢の付いていないカジュアルな少年としての若いスパイダーマンを描く一方で主人公ピーターが「今時の少年」では無く「いつの時代にも居る少年」として描かれている事で誰もが主人公に共感できる造りになっている事からもハイテクスーツのガイドナビに頼り切る主人公の姿がスマホに依存するネット世代の現れであったとしても現実的でありながらネットの影響に弱い今時の若者でも無く恩師に手取り足取り指南を受けてようやく開眼する様な「ベスト・キッド」的ベビーブーム世代の過保護な少年でも無く類まれな才能と聡明さを両親から受け継いだ非凡な学生ではあっても叔母との二人暮らしの両親の居ない境遇に負けない持ち前の明るさと現在の混沌とした米国の現実に向かい合い自分の運命は自分で切り開く内なる揉ましさを持った快活でカジュアルな装いの等身大の高校生として誰もが共感できるピーター・パーカーを描き今、ティーンエイジャーの世代達も今、ティーンエイジャーの子供を持つ親達もそしてかつて、ティーンエイジャーだった大人達も世代を越えて支持され愛される世界で最も知られる作品の一つとしてもアメリカンコミックスを代表する作品の一つとしても今の世の中にふさわしいスパイダーマン映画として仕上がった作品だと思いました☆---------------------------------------------------------------------------------------------------【Blu-ray】スパイダーマン:ホームカミングブルーレイ & DVDセット価格:3841円(税込、送料無料) (2017/11/4時点)スパイダーマン:ホームカミングSpider-Man: Homecoming■監督:ジョン・ワッツ■脚本:ジョナサン・ゴールドスタイン/ ジョン・フランシス・デイリージョン・ワッツ/ クリストファー・フォードクリス・マッケナ/ エリック・ソマーズ■原案:ジョナサン・ゴールドスタインジョン・フランシス・デイリー■原作:スタン・リー/ スティーヴ・ディッコ■製作 ケヴィン・ファイギ/ エイミー・パスカル■製作総指揮:ルイス・デスポジート/ ヴィクトリア・アロンソパトリシア・ウィッチャー/ ジェレミー・ラーチャム/ アヴィ・アラッドマット・トルマック/ スタン・リー■出演者:トム・ホランド/ マイケル・キートンジョン・ファヴロー/ ゼンデイヤ/ ドナルド・グローヴァータイン・デイリー/ マリサ・トメイロバート・ダウニー・Jr■音楽:マイケル・ジアッチーノ■主題歌:関ジャニ∞「Never Say Never」(日本語吹替版)ラモーンズ BlitzkriegBop■撮影:サルヴァトーレ・トチノ■編集:ダン・レーベンタール/ デビー・バーマン■制作会社:マーベル・スタジオ/ コロンビア映画■配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントS『今年のハロウィンに間違いなく登場しそうなコスプレだけれどこういう衣装もネットで安く購入出来る時代だからトイザラスみたいな所でも傾くんだろうなあ・・・(複雑)』【コスプレ】Marvel(マーベル) Spider-Man(スパイダーマン)ラバー製 なりきりマスク (日本製)価格:3900円(税込、送料別) (2017/9/10時点)【コスプレ】公式 コスプレ スパイダーマン ウェブ・シューター手袋価格:2500円(税込、送料別) (2017/9/10時点)【コスプレ】スパイダーマン:ホームカミング スウェット 衣装エドロン Spider-man homecoming 全世界200個限定価格:4000円(税込、送料無料) (2017/9/10時点)【コスプレ】ハロウィン スパイダーマン ホームカミングコスチューム (子供用) パーカー スエット セットMARVEL アメコミ ヒーロー価格:12800円(税込、送料別) (2017/9/19時点)【コスプレ】ハロウィン 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