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ある偏狭な音楽的映画レビュー

2017年04月02日
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PART2
【完全ネタバレ解説篇】


※ご注意※

このページは 映画『プレステージ』
鑑賞済みの方向けの 解説記事となっております

映画未見の方は本記事を読まずに
前のページに更新された通常の映画レビュー

コチラ≫ PART1【映画解説編】
を御覧ください


PART2
【ネタバレ解説編】

「衝撃的ラストの意味と本作の種明かし」

プレステージ
THE PRESTIGE
2007年6月9日公開 アメリカ 128分
■監督 クリストファー・ノーラン
■出演 ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン
   スカーレット・ヨハンソン、アンディー・サーキス、デビッド・ボウイ

■ もくじ ■


[※前回の更新]

PART1
【映画解説編】


『巧みな布石と衝撃のラストが見物の怪奇幻想ミステリー』

- コラム -「日本の脱出マジックブーム」

 1. 日本のイリュージョンのパイオニア
 2. マジックの三段階
 3. 突然の種明かしと脱出ブームの終焉

- STORY -

- 解説 19世紀の奇術界を舞台にした怪奇幻想ミステリー

 1. はじめに
 2. 衝撃のラスト5分
 3. 19世紀世界を実現した芸術的映像
 4. 映画そのものが壮大な「マジック」

 デヴィッド・ボウイ演じる実在の発明家ニコラ・テスラ
 「レディオヘッド」トム・ヨークの主題曲



PART2
【ネタバレ解説篇】


『衝撃的ラストの意味と本作の種明かし』


 1. はじめに
 2. アンジャーの転送マジックの秘密と狂気の理由
 3. 二人のボーデンの違い

 4. 時系列で見るボーデンの入れ替わり

 ■今日はウソと言うサラの言葉の謎
 ■複製装置か転送装置か
 ■拉致されるファロンはどちらのボーデンか
 ■時代劇である事に秘められた巧妙なトリック
 ■「アイツの事は放っておこう」の真意
 ■アンジャーがボーデンの娘ジェスを引き取る理由
 ■永遠の別れと最後の瞬間移動

 5. ボーデンも複製か?
 6. どちらが本物でどちらが複製か

■ 衝撃的ラストの意味と本作の種あかし


▲目次へ▲

1. はじめに



前回冒頭で「種明かしなど無粋の極み」と一刀両断しておきながら
その舌の根も乾かぬうちに種明かし記事を更新し、

おそらく、
原作となったクリストファー・プリーストの1995年の小説『奇術師』
を読めば一発で分かる謎もあろうかと思われる所を

敢えて読まずに 映画の内容のみを頼りに解釈を試みたりと
傍若無人ぶりにも程がある更新となりましたがw


コレに付いては、
原作そのものが二人の奇術師の秘密を後の子孫が解明するという内容の関係上

解明を描いた小説を脚色した映画の解明をする為
小説で描かれた解明を解明して映画を解明するという・・・

メガ解明状態」となる為 と、


そもそも 「映画作品」として原作本を脚色して映像化した時点で
映画は原作本とは別モノになっている という理由と、


先の記事にも書いた様に、
映画の解明の為に原作本を紐解くという
手品の解明をする為に知的推理を試みるより前に
種明かしを知ろうという様なマネは

「戦略的攻略(ストラテジー)」と称して
林先生辺りの話を丸暗記して試験に挑む位に

無粋な行為という理由からという、


前回の「コラム」とは
正にこの事の 「布石」だったわけですが・・・w


ここからは 楽天ブログの文字数の限界まで使用し
本作を鑑賞した方のみを対象として
本作のカラクリを出来る限り細かく紐解き

映画全編に張り巡らされた布石と伏線を確認しながら

私個人の見解が多分に入りながらも
本作に隠された様々な謎を、紐解いて行きたいと思います☆


▲目次へ▲

2. アンジャーの転送マジックの秘密と狂気の理由


HughJackmanApr09b
Hugh Jackman (参照:Wikimediaより)
さて、

ここからは、映画本編をご覧になられて
衝撃的結末に対し 未だ納得出来なかったりモヤモヤされたままなどな方向けに

多少なりとも解消のお手伝いになればと

私なりに解析し一年以上かけて纏めたものを
楽天の文字数の限界まで使って解説した

完全ネタバレ記事となります

したがって「ボーデンは双子」「テスラの装置」などの
本作鑑賞者でなければ分からないプロットを

周知の事実として説明抜きで解説を進めて行きますので

『映画』『プレステージ』『ネタバレ』で検索して来られた方にとっては
クドい大量な文章に 更にモヤモヤし、

本ページの注意書きを無視してこの記事を読まれた方にとっては
クドい大量な文章に 思わず吐きそうになる、

かもしれませんが・・・w
暫しお付き合いください☆



さて、

本作のヒュー·ジャックマン演じる「偉大なるダントン」こと
ロバート·アンジャーの瞬間移動転送マジックの種とは

映画では稲妻発生装置の様に見えた「テスラの装置」が実は
スター·トレックの転送装置の様に人間を転送する
「物質転送装置」だった所にある訳なのですが

「複製」を残してしまう大きな問題を抱えていた装置でもありました

ラストのアンジャーの回想の中で
テスラの装置をテストする場面があるのですが

あそこで現れたのは「替え玉ルート」では無く
もう一人の自分だった というのが 本作の真相でした

これは、
本作に登場する実在する発明家ニコラ・テスラ

サイバーパンク系の作品でしばしば「マッド・サイエンティスト」
として登場する事でも有名な「実在する想像上のキャラクター」でもある所が

本作の伏線を解明する一つの「鍵」でもあったという訳です


つまりアンジャーの転送マジックとは、

転送マジックを行う度 自分を転送し
その場に残ったもう一人の自分を床下の水槽に落として水死させるという

おおよそ人間の行いとは言い難い
狂気に満ちた「闇」に本質があった訳です


ラストに出てくる沢山の水槽の中には
よく見るとそれぞれに人の死体が入っている事が分かりますが

ラストでは アンジャー一体の死体のみが映っただけでしたので

まるでアンジャーの替え玉「ルート」の死体の様に見える所に
映画が仕組んだ「騙しの仕掛け」があったのでした

この様に、

様々な場面に仕組まれた大量の「仕掛け」に引っかかりながら
観客は映画を見終わるという

まるで種の分からないマジックを観た後のモヤモヤする鑑賞感を味わう所に
本作の「隠された醍醐味」があった訳です。



この映画が、これほどダークで凄惨な内容になったのも
妻の死を乗り越えられず 私怨に固執した男の
深い闇を抱えた悪魔の様な執念を描いた所に
一つの理由があると思われます。



洗面台の水を張った洗面器に顔を沈めた
ヒュー・ジャックマン演じるアンジャーが

息が続かなくなり洗面器から顔を上げ
部屋で泣き崩れるという場面がありますが


これは妻が溺れる映像がフラッシュバックで入る所からも
妻と同じ苦しみを味わおうとしたアンジャーが
水死した妻の苦しみが見えて 余りの無念と哀れさに泣き崩れた

という事を意味したものであれば、

この時が ボーデンにも同じ苦しみを味合わせ様とした
動機が生まれた瞬間だと言えます。

又は、

後追い自殺をしようとして
死にきれなかった様にも見える事からも

この時からアンジャーの「自殺願望」にも似た
死に対して不遜でいる性質が際立ち始めたと

捉える所でもある様にも思えます



ボーデンへの確執の核となったのは
出会って間もない頃、 まだ組んでやっていた時期に

マジックとは安全な舞台芸であるべきとするアンジャーに対して
マジックの真髄は「種」にあると豪語するボーデンとで

しばしば対立して マイケル・ケイン演じるカッターに
「若い」と たしなめられていた頃に

徐々に芽生え始めた対抗意識にあると考えられますが


階級社会だった当時の英国という社会背景も加わり
ある意味、コールドロウ卿として既に富も名誉も地位もあり

その気になれば どんなものでも手に入れられる
貴族階級出身のアンジャーが

名誉も金もない 労働階級のボーデンに
マジックの真髄において決定的な差を
見せ付けられるという現実が

ボーデンに固執する理由を生んだ様にも感じられました




さて、

アンジャーが「新・瞬間移動」マジックで
狂気に満ちたパフォーマンスを実行し続けたのは

一つは、毎回のマジックで生み出される
「自分の複製の処分の為」 と

もう一つは ボーデンのプライドに目を付け
種を知ろうと必ず舞台下に現れる事を見込んで
毎回人知れず複製した自分を水死させ

転送した自分はボーデンが現れたタイミングで雲隠れをし
水死した自分の複製の罪をなすり付けて死刑に追い込むという

「ボーデンへの罠」が理由だった訳ですが


もう一つの理由として、

まるで死ぬ意思があるかどうか確かめるかの様に
窒息寸前まで水の張った洗面器に顔を入れる様な

自殺願望に駆られ
妻の死を乗り越えられないアンジャーが

マジックを行う度
毎回妻と同じ死を迎える自分が居るという事実によって

ある種の心の救いを得ていた
とも捉える事が出来ます


しかし、この狂気のイリュージョンを
演じ続けて大喝采を浴びる度に

捉え様の無い程の犠牲を払い演じて得た代償として
例え様のない悦びの境地に達して

アンジャーの中の何かが弾けて

人生をマジックに捧げたボーデンの生き様にもリンクし
ボーデンへの恨みもいつの間にかどうでも良いものへと
心境が変化した所で

「ステージには演者が取り憑かれる魔物が居る」
という本作のテーマが浮かび上がって行きます


同じ「魔物」に取り憑かれた二者でしたが

二人のボーデンが
共にボーデンとしての人生を分かち合い
共に生きようとしていた事に対して


妻の死を乗り越えられずに、
「死」に向かい合う本当の意味を理解しなかったアンジャーは

死には死を持って償わせる発想しか無く

演目を重ね人跡未踏の偉業を成し遂げて
ボーデンへの恨みの念も とうに意味消失した後も

人間を複製しては水死させるという
人としての一線を何度も超える所業を繰り返しながら

いつしか心が麻痺し

「死」に対しての尊厳の念も
恐らく死んだ妻を愛していた事すら忘れて

欲と名声に取り憑かれる 「怪物」 と化した事で

複製した自分を、生み出しては捨てる様な非道な真似が
繰り返し出来たのだと言うことなのでしょう☆


▲目次へ▲

3. 二人のボーデンの違い



さて、

ラストでボーデンは二人居たという衝撃の展開を取った本作でしたが
ココで二人のボーデンを一旦この様に表示してみます


Christian Bale 2014 (cropped)
Christian Bale (参照:Wikimediaより)
A ボーデン1号(赤鬼)
Christian Bale 2009
Christian Bale (参照:Wikimediaより)
B ボーデン2号(青鬼)


人物を1号2号とか AとかBで分けてもピンと来ないですし
「ジキルとハイド」ではおかしいので

赤鬼 青鬼 と 日本昔話にちなんだ 日本人には馴染みの深い名称を使って
分かり安く分けて考証してみましょう。



所でこの 赤鬼 青鬼 をどこでどう判断するかについてですが
本編で人物にそれぞれ若干の性質の差異が付いている様に
確認出来ますので

これらを「個々のボーデン」を判断する「鍵」と前提して
意図的に脚色された演出上の「布石」として踏まえ

場面ごとに (赤鬼) (青鬼) にそれぞれ分離しながら
二人の性格性質を書き出してみますと、

以下の様に上げられると思います。


Christian Bale 2014 (cropped)
(参照:Wikimediaより)

ボーデン1号(赤鬼)

妻サラを愛する夫で、
娘ジェスの本当の父親の方

(青鬼)の所業に罪悪感を感じながら
自分の欲の顛末を噛みしめて
愛に生きる家庭人となり
慎み深く、温和な性格となる

危険の無い技術を求めて
研究に没頭したと思われ

おそらく ファロン として大半を過ごし
ファロンとして初登場したのはコッチ

ラストでアンジャーを射殺し
娘と共に街を去る



Christian Bale 2009
(参照:Wikimediaより)

ボーデン2号(青鬼)

スカヨハ演じるオリヴィアを愛した方

「水槽脱出」で事故を起こし
人を死なせた罪悪感に苛まれるが
「バットマン」のブルースの様に
罪悪感を怒りに変えて乗り越えたので

表面上は喜々として芸に打ち込むが
その分「ダークナイト」並に心に闇を抱え

やられたらやり返す
攻撃的性格となる

おそらくボーデンとして大半を過ごし
最後はアンジャーの罠にハマり
死刑になる



▲目次へ▲

4. 時系列で見るボーデンの入れ替わり



まず映画のオープニングシーンで見られる
テスラの研究施設の庭に散乱する山高帽は
テスラの装置で複製されたアンジャーの帽子だと分かります。


そして映画の最初の場面となる『アンジャーの瞬間移動マジックの場面』では

ステージで装置の確認をするボーデン。
ステージ裏で水槽のアンジャーを目撃するボーデン。
は状況的に

ボーデン2号(青鬼)

という事になります。


次に、アンジャーとボーデンが組んでいた頃に話が戻りますが、

この時点では二人のボーデンを振り分ける
はっきりとした要素が(※映画で見る限り)見当たらない為
後で検証するとして ココは一端スルーします・・・


そして時系列ではボーデンが二人いる事をはっきりと指し示す
最初の場面となるのが

『水槽マジックでの事故の場面』
という事になります。



----------------------【■Chapter6 ジュリアの死 - 23分16秒辺■]----------------------

『水槽マジックでの事故の場面』

アンジャーの妻を事故死させる原因となった
二重結び」をしたボーデン。

ボーデン2号(青鬼)
----------------------【■Chapter6 ジュリアの死 - 26分20秒辺■]----------------------

『水槽マジックでの事故の場面』

葬式に参列し、二重結びに付いてアンジャーに問いつめられた時
分からない」と答えたボーデン。

ボーデン1号(赤鬼)

(※Chapter記述は 販売用Blu-rayのものを使用しております。)



葬式で「分からない」と答えた (赤鬼)ボーデンの話は事実となり
最初の辻褄が合います。


という訳で、状況を踏まえながら
二人のボーデンをそれぞれの場面に割り当てて行きましょう


------------------------------------------------------------------------------------------------
■Chapter5 偉大なダントン - 18分25秒辺り■


『鳩殺しのマジックの助手の場面』

ステージから サラ をガン見するボーデン
(赤鬼)

サラと初めて会ったステージで、
サラの甥が言った「鳥を殺した」というセリフは
何気に アンジャーの「狂気の瞬間移動」の事を暗示し

この鳥の兄弟は?
という言葉は、何気に ボーデンが二人居る事を暗示したセリフだったと
捉える事が出来ます。


------------------------------------------------------------------------------------------------
■Chapter5 偉大なダントン - 20分40秒辺り■


『サラの部屋の前での場面』

サラに「大家さんに見つかるとうるさいから」と言われ帰るボーデン

(青鬼)


サラが部屋に入ると「お茶に砂糖は?」と言い
シレッと部屋に居たボーデン

(赤鬼)


この時 何気に行った「瞬間移動」は
ボーデンコンビのチームワークだった事が分かります。

今にしてみれば、赤鬼の恋路を青鬼が協力した
ホッコリするシーンでした・・・w


------------------------------------------------------------------------------------------------
■Chapter7 今日はウソ - 29分50秒辺り■


『銃弾掴みの種明かしの場面』

ファロン初登場の場面で「赤ちゃんが出来た」と告げるサラに
「ファロンに言おう」と言ってから 言い直す様に
「やった 赤ちゃんだ」と喜んで見せるボーデン

(青鬼)

銃弾掴みの種を教えた後「君を心から愛してる」と言った事に対して
妻サラが「今日はウソ」と答えている事からも

この時点でサラの本当の夫は現在ファロンを演じている
(赤鬼)である事が分かりますので

これはその時々で (赤鬼)(青鬼)
ボーデンファロン で入れ替わって演じていた事を示す
重要な「布石」の一つであった事が分かります。

又、
「ずっと考えていた大仕掛なマジック?」
「ソレはまだだ」という会話は

「瞬間移動マジック」の事を言っている事が分かります

▲目次へ▲
■今日はウソと言うサラの言葉の謎

Rebecca Hall Berlinale 2010 cropped
Rebecca Hall (参照:Wikimediaより)

『アイアンマン3』で植物学者マヤ・ハンセンを演じ、
ノーラン監督制作『トランセンデンス』で
ジョニー・デップの妻を演じた事でも知られる

レベッカ・ホール
演じる ボーデンの妻 サラ

二人で一人を演じるボーデンとの結婚生活で精神を破綻し
マジックに全てを捧げたボーデンの犠牲になった人物です



特に「今日はウソ」というセリフは
マジックに没頭したまま上の空でいる夫に対して
「女の勘」を働かせつつ

普通の愛情を求める女性の悲哀を表現した脚色としても
悲劇に繋がるきっかけとしても

印象に残るものがありましたが

これは女性の悲哀とは何の関係もない
知らない間に夫である (赤鬼) の他に夫では無い (青鬼) とも夫婦生活をさせられ
二人のボーデンの「芸」の為の犠牲になっていたという

自殺の本当の理由が浮かび上がり

一見本筋と関係が無いと思われたこれらの私生活の場面が
ラストシーンで一本の線となって繋がるという

全てが覆される衝撃の事実が明らかとなる仕掛けが
集約されていて居たセリフだった訳です。


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■Chapter8 銃弾つかみ - 30分30秒辺り■


『ボーデンの銃弾掴みの場面』

銃弾つかみ」マジックに乱入したアンジャーに指を撃たれたのは
分からない」と答えた事で (赤鬼) の方だったと分かります


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■Chapter8 銃弾つかみ - 33分19秒辺り■


『部屋で再び出血するボーデン』

怪我をした指から再び出血したのは
(赤鬼) と同様に指を詰めた (青鬼) だったと分かります。


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■Chapter10 鳥殺し - 38分40秒辺り■

『アンジャーの鳩のマジックの場面』

アンジャーの「世界初ハトが死なないマジック
を妨害したのは

(赤鬼) の指を撃ったアンジャーへの
(青鬼)
の意趣返しだった事が分かります


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■Chapter12 二つの矛盾した心 - 46分30秒辺り■


『通りでボーデン夫婦を目撃するアンジャーの場面』

「サラ愛してる」「今日は本当の日」という会話から
この場面のボーデンは

(赤鬼)

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■Chapter12 二つの矛盾した心 - 47分20秒辺り■


『娘ジェスが刑務所へ面会に来た場面』

ファロンが娘ジェスを連れて ボーデンの面会に来た時の場面で

ボーデンは娘が持っている人形を見て「人形の名は?」と聞くと
「サラかな」と母親の名前を答えるので

この時ボーデンは一瞬ファロンを見ます。


死の意味が良く分からない娘の幼気さに感極まり
父親が思わず身内に目をやってしまう・・・という様な

観ている者の胸を締め付ける場面だった のですが、


(赤鬼) の妻を死に追いやった (青鬼)
母親を亡くした娘の姿に打ちのめされ
深い罪の意識におののきながら娘の本当の父親を見上げた
加害者としての反応だったという

全く真逆の景色が見えて来ます。


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■Chapter14 二人のボーデン - 47分00秒辺り■


『買った家を家族に見せるボーデンの場面』


家を買った時「でも先週は 家は要らないって」と尋ねるサラに
「機嫌が悪かった 気が変わった」と答えるボーデン

(赤鬼)

ここで先週機嫌が悪かったというのは
おそらく前のシーンで演じていた「瞬間移動」の舞台が
思う様にウケなかった事に対して

(青鬼) が苛ついていたという事だと思われます


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■Chapter16 テスラの実験 - 1時間04分16秒辺り■


『ボーデンの仕事部屋に訪れるオリビアの場面』

アンジャーの言い付けでスパイとなって
ボーデンの部屋に訪れたスカヨハ扮するオリビアが
言い付け通りに寝返る振りをする芝居を 半笑いで看破するボーデン。

(青鬼)


この時 疑いの眼を向ける策士に見えた表情には、

オリビアに一目惚れした (青鬼)
鼻の下を伸ばした締りのない顔が含まれていた事になるわけですw


Goldene Kamera 2012 - Scarlett Johansson 4
Scarlett Johansson (参照:Wikimediaより)

▲目次へ▲
■転送装置なのか複製装置なのか

このチャプターの冒頭の テスラの装置の最初の実験が行われる場面で

放電の後 デビッド・ボウイ演じるテスラが
放電を浴びた帽子を見つめて立ち尽くすのですが

単に実験が失敗して固まっているにしては
深刻度が高く 違和感があるので、

これは、後の場面で たくさんの帽子が林の中で見つかる事からも
既に実験は何度も行われ、帽子は転送される事は分かっていて

尚且つここにも残る結果となった事の

意味する所を考えて 戦慄を覚えていた と
言うことなのだと思います。


因みにこの装置ですが
映画を見る限りでは アンジャーがテスラに何を発注したのか分からないので

これは「複製装置」なのか「転送装置」の副産物なのかで
意見が別れる所ですが


常識的に考えれば 「瞬間移動」の舞台で使うのであれば
「転送装置」を依頼する所でしょう


又、「複製」を目的にしていたのであれば

実験後、複製されたものは何処にある と、
アチコチ見回して 探し回るのが普通の反応なので

この場合は、実験後全員が
「転送される筈のものがまだここにある」とばかりに
装置に置いた帽子を 只見つめていた所からも

「転送装置」の実験だったと
捉えるのが自然であり

実験の前からテスラの表情がやたら深刻過ぎで
・・・デビッド・ボウイの演技が思いの外 大き過ぎた・・・
わけでないのであれば...w

実験後に テスラがあれ程固まっていたのは


やはり、「転送」目的で作った装置が
「複製」を作る副作用を起こした事に 愕然としたという

場面だった様に感じました


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■Chapter16 テスラの実験 - 1時間06分40秒辺り■

『酒場でアンジャーの替え玉に入れ知恵する場面』

アンジャーの替え玉 ジェラルド・ルート に支配権云々を入れ知恵し
アンジャーの「新瞬間移動」を台無しにして足に大怪我を与えるボーデン

(青鬼)


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■Chapter17 オリビアが見たもの - 1時間12分40秒辺り■


『ボーデンの部屋が荒らされた場面』

ボーデンのノートを持ち出したオリビアに疑いの目が行かない様に
ボーデンの部屋を荒らしに行き

自分がやった様に見せかけたアンジャーに対して
「奴め遂に」と挑戦的に語るボーデン

(青鬼)


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■Chapter17 オリビアが見たもの - 1時間13分30秒辺り■


『ファロンが拉致される場面』

パルテノン劇場で華やかな「瞬間移動」マジックを行い
スカヨハ扮する助手オリビアの手にキスしたボーデンは

アンジャーを打ち負かした大成功に良い気分になり
「今日は歩いて帰る奴が来てもいい」とファロンに告げている事で
(青鬼) (※多分)だと思われます

その後ボーデンを尾行するアンジャーを追って
マイケル・ケイン演じるカッターに拉致され
銃で応戦するファロン は

(赤鬼) (※多分)

▲目次へ▲
■拉致されるファロンはどちらのボーデンか

このセクションは
オリビアの手にキスをしているという理由から、
このボーデンは (青鬼) であろうという程度の

しっかり仕分けが出来る様なハッキリとした布石がされて無い為
作品中最も (赤鬼)(青鬼) の判断が付きにくい場面だったりします。


この場面でボーデンが「奴(アンジャー)が来てもいい」と言ったのは
もはやアンジャーを打ち負かしただけで無く
自分達が事実上英国マジック界の頂点に立った事で

もういつ死んでも悔いは無いと考えた
完全勝利に酔う (青鬼) のセリフの様でもありますが


拉致に銃で応戦するファロンの方が
好戦的性格の (青鬼) の様な印象もありますし、


或いは自分を撃ち殺そうとした時のアンジャーの殺気を警戒した (赤鬼)
いざという時の (青鬼) の援護の為
護身用 に銃を携帯していた様でもあり と

仕分けしづらい所です・・・

最も、ラストでアンジャーを撃ち殺すのは (赤鬼)
だと言う事から

むしろ (青鬼) は「銃弾掴み」マジックの舞台に
アンジャーの乱入を許し
(赤鬼) の指を失わせた負い目から
拳銃を持つ事に抵抗 を感じている可能性があり

それらを考慮すると
やはり拉致されたのは (赤鬼) の方だと考えるのが
自然の様な感じがあります


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■Chapter18 キーワード - 1時間15分00秒辺り■


『墓地に呼び出される場面』

人質になって生き埋めになった ファロン を助ける為
アンジャーの呼び出しに応じて

「テスラ」というキーワードを教えるボーデンは
上記の理由が正しいなら

(青鬼)


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■Chapter19 秘密が人生 - 1時間17分40秒辺り■


『サラとのディナーで荒れる場面』

ファロンを助け出した後のディナーのボーデンは
明らかにサラの夫らしからぬ (青鬼) の様な
行動を取ります。

ここでのボーデンが (青鬼) である証拠と言えば、

ボーデンが「自分を生き埋めにして・・・」と言った後
「・・・誰かに掘り出してもらう」の所で
ワインを指差す直前、自分自身を指差しているという
見落としてしまう様な一瞬の動き と


夫婦水入らずのディナーの席に
なぜファロンを同席させたのかという理由も

ファロンが本当の夫の (赤鬼) だったから
という事であれば納得出来るという、

位のものしかありません。


或いは「今日はひどい目に遭った」
とも語っている事から今のボーデンは
(赤鬼) という可能性もありますし

ココで荒れているのも、
(青鬼) の煽りを喰らい続けて来たストレスが
今回の一連の事件によって爆発した
と捉えれば納得ができるものはあります


ただ、「とても大事なものを失いかけた」とも言っている事と

今日が夫婦水入らずのディナーの日なのにも関わらず
今のボーデンが (赤鬼) で無い理由とは何かを考えると

さっきまで生き埋めに遭い弱っていた (赤鬼)
周りや妻に怪しまれない様 (青鬼) へ代役を頼んだ

と捉える事も出来ますし、

逆に、
生き埋めにあっていたファロンが(青鬼)だったとしても、

ひどい目にあった労いの意味からボーデンとしてディナーに出てもらった
と 捉えると辻褄が合いますので、

状況的にも この場面のボーデンは (青鬼)であろうかと
思われます


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■Chapter21 実験の成果 - 1時間23分15秒辺り■


『黒猫での実験』

▲目次へ▲
■時代劇である事に秘められた巧妙なトリック

テスラの資金難の解消に良いように利用され
金を騙し取られたと思ったアンジャーが
テスラの研究施設に怒鳴り込む場面で

テスラは黒猫を使った実験を行います

結局成果は無く
失念して立ち去ろうとしたアンジャーは
林の中に放された黒猫の鳴き声が2匹に変わった事で
異変に気付き

林の中に大量の帽子が散乱しているのを見ると
態度が一変します



この時のアンジャーの「成功していたのか」という台詞は
装置の転送が成功していた事を意味し
同時に複製を生み出す致命的な欠陥がある事がここで判明します

放電実験の後 装置に残った黒猫は
助手のアリーに首輪を外されてから林に向かったので

林の中の2匹の黒猫の内、首輪をしている黒猫が
テスラの装置で転送された方だと言う事が分かります


■■
この場面は 本作のキービジュアルとも言える
「林の中の大量の帽子」が登場する重要なシーンで

この「大量の帽子」が後に

アンジャーの瞬間移動マジックは
この帽子同様に人間を複製する所に種があったと判明した時

不気味な鍵となる存在となり

観る者を言い様の無い深い闇の中へ叩き込まれた様に戦慄させる
本作のダークな側面を担う衝撃のラストへと繋がる

重要な布石となっていきます。


同時に、この「テスラの装置」が

全身に稲妻を浴びても平気という
19世紀当時の最先端の技術を使った
単なるド派手な演出を行う舞台装置を作っている様に見せかけ

林の中の「大量の帽子」は
黒猫達がイタズラでくわえて持って行ったものだろうと
思わせて

鑑賞者にそのままラストまで正体を悟られない様演出する
本作最大の「見せ場と悟られてはならない見せ場」

となる場面でもあります


テスラ初登場のシーンや
ボーデンの瞬間移動マジックのシーンで
稲妻発生装置が使われたのも

「テスラの装置」が単なる舞台装置に見える様に

「種」を悟られ無い様に意図的に別の方へ気をそらせる
「誘導」だった訳です

これは、

「あの大量の帽子は一体何だったのか」
という謎に対して
モヤモヤした違和感のみを残させる様に

作品の時代を「19世紀のロンドン」に設定して
その時代の空気感すら伝わってくる様な
時代考証を細かい所に至るまで精密に行った
リアルな時代劇作品にする事で

ロバート・ダウニー・Jr主演の『シャーロック・ホームズ』の様な
SF時代劇サイバーパンク系ファンタジー作品と呼ばれる
CG全盛の何でもアリなハリウッド作品と混同され無い様にして

映画の中で人が転送されれば「物質転送装置が使われた」と思い付く
発想そのものを観客に微塵も起こさせない様にした所に


本作の最大級の巧妙な「トリック」があった訳です




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■Chapter22 ウソの日 本当の日 - 1時間26分20秒辺り■


『ボーデン家での家族との場面』

娘ジェスに動物園へ連れて行くと約束し、
昼間から酒を飲むサラに「今日は本当の日」
と言われ 遊園地のメリーゴーランドで ファロンと密会し

「サラが気付いている」と告げた後
スカヨハ扮するオリビアに逢い
気乗りしないボーデンにシラケるオリビアに
「ファロンを信じろ」と言うボーデン

(赤鬼)


メリーゴーランドでの密談はボーデンの謎に繋がる
映画の柱となる最重要場面だった事が分かりますし

オリビアが気の無いボーデンにシラケる事でここでのボーデンが
(赤鬼) だと分かりますが


これらの重要な布石を
浮気が原因に見せかけている脚色が巧妙です。


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■Chapter24 秘密を持たないで - 1時間32分40秒辺り■


『ボーデンとサラの激しい言い争い』

サラに「もう隠していられない」と激しく言い寄られ
愛していない、今日は」と答えるボーデン

(青鬼)


この場面で 娘ジェスをソッと廊下から連れ出す ファロン

(赤鬼)

このファロンはジェスの本当の父親だったから
夫婦の言い争いを聞かせない様に連れ出したという事なのですが

結局この時のボーデンのセリフが決定打となり
この後サラはボーデンの仕事部屋で首を吊って自殺をしてしまいます

このボーデンのセリフの意味を
サラがどう取ったのかは

次のシーンが 鍵となります

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■Chapter25 ダントンの復活 - 1時間38分11秒辺り■


『ボーデン、オリビアとの別れ』

スカヨハ 演じるオリビアが 去る場面で
「サラを一度も愛したことは無い」と告げるボーデン

(青鬼)



この場面で、サラが自殺の前日にオリビアに会って
ボーデンの秘密を打ち明けようとしたという

非常に重要な事実が サラリ と語られ
状況的に 不倫 の話にしか見えない所が
脚色の妙なのですが

これはボーデンが双子であるというカラクリに
サラが気付いていた事と

自分でも知らないうちに
夫婦生活の半分を夫で無い人間と暮らし
二人で一人を演じるという
ボーデンの芸の犠牲になったという

サラの自殺の真相が浮かび上がる
重要な布石となる場面でもあります


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■Chapter26 人間は想像を超えた - 1時間43分20秒辺り■


『種が分からず動揺する場面』

▲目次へ▲
■「アイツの事は放っておこう」の真意

テスラの装置を使った「新・瞬間移動」マジックの種が分からずに
ボーデンに 怒鳴りつけられるファロン

(赤鬼)


その後ファロンは廃墟の劇場に何かを運んでいる事を突き止め

アンジャーの「瞬間移動」マジックに感服して
アイツの事は放っておこう」と語るボーデン

(赤鬼)


死刑執行前に「お前は放っておこうと言ったのに」
という (青鬼) のセリフから

この場面のボーデンは (赤鬼) で間違いないのですが

廃墟の劇場を突き止めたファロンは流れから
(赤鬼) かな? という感じで

そのままファロンは廃墟の劇場に侵入して
アンジャーの水死体が入った大量の水槽を見た

であろうと 匂わせるものはあるのですが

映画では描いていない為 不明です


この場面での ボーデンのセリフは
テスラの装置の事を知っているのかどうかを判断する上でも

かなり重要なのですが


字幕で「舞台の下には何がある」と訳されたセリフは
原語は「What is going on under that stage ?」なので

どちらかと言うと「舞台の下で何が起こっている」という感じで
「種」よりも 何が起こっているのかを気にしている様にも取れる
セリフに思います

又、

字幕で「公演のあと、あれを運んでいる」と意訳された様なセリフも
原語は「they do this every night, after each Performance.」 と

「公演後、連中は毎晩 (仕事を)やる・・・」という程度の意味で

それに対して肩をすくめるのも

何も分からず
お手上げの様でもあり、

全てのカラクリを分かっていて
そこまでやるかと戦慄して震えた様でもあり、

どちらにでも取れる、
かなりモヤモヤしたセリフになっている様です

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■Chapter27 見てはいけない真実 - 1時間45分00秒辺り■


『変装して舞台に上がる場面』

アンジャーの「瞬間移動」マジックの舞台に上がって装置を眺めて
舞台下まで行き 水槽に落ちるアンジャーを目撃する ボーデン

(青鬼)



これで、刑務所に入り死刑になるのは
(赤鬼) が制したのにアンジャーのマジックを観に行った
(青鬼) の方だと分かります

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■Chapter27 見てはいけない真実 - 1時間49分10秒辺り■


『コールドロウ卿と対面する場面』

▲目次へ▲

■アンジャーがボーデンの娘ジェスを引き取る理由

「瞬間移動」の種を教える代わりに娘に会わせる条件を呑み
面会にやって来た 富豪の収集家 コールドロウ卿は
水槽で水死したはずのアンジャーだった事で

事態は急変します

そもそも映画は当初から水槽に落ちたのが
替え玉を演じた ルート の可能性を故意にチラつかせながら

こうして肩すかしな程に コールドロウ卿 として
生還 させる展開を迎えるので

これらが鑑賞者にも想像が付く様な
不自然な程に「想定の範囲内」程度の展開だったのも


とどのつまりは驚愕の真相をラストで明らかにする為の、
伏線だった事が分かります。



所で、

一部ネットでもこの場面のやりとりが、

ボーデンが『娘は巻き込むな』と言った事に対し
『大事な者を奪われる辛さは知っている、君が連れて行けまい』
と言ったアンジャーに ボーデンが顔色を変えた事に付いて

アンジャーがボーデンの娘ジェスを殺すつもりでいる

という多くの意見が見られ物議を醸しましたが
それが原作の内容に起因した論議であればともあれ

本記事の冒頭でも書いた通り

当サイトでは本作に関して
「原作本」を脚色した独立した別作品として
原作とは切り離して検証しているという記事の性質を

まずはご理解いただきたく、

これは2つの意味で まず無い と思われます。


理由の一つとして、

これは正に娘が殺されようとしている様に
見える様にして

ボーデンが双子で父親はもう一人の方という事実から
観客の注意をそらせる演出の一環である 事と、


もう一つは、

「ガラパゴス化」と揶揄される程
諸外国とは全く異なる文化的背景を持ち

大ヒットアニメや漫画で当たり前の様に見られる
「少年少女」の「ある種」の描写にも
世界的にも寛容な 日本とは事情が全く異なり

児童虐待が深刻な社会問題化している欧米諸国の場合は

必然性のある社会派作品や
敢えて社会に切り込む大家作品
或いは、敵国に当たる人種の所業という設定

であればともかくとして

アンジャーを演じたヒュー・ジャックマンの出世作でもある
『X-MEN』の シリーズ6作目の様に

ロシア人に子供が殺される一方で、
米国の学園の生徒は全員爆破から逃れるという
分かりやすい極端な例もある位に

近年「児童虐待」をイメージするプロットは
社会性を考慮し極力避けるハリウッドの傾向からも

いくらダークな作品とはいえ
この様な大金をかけた大作で

あっても無くても、セリフ上で終わる程度な事だとしても
「子供を殺す」という様な

集客に確実に影響を与える様なマイナス因子のプロットを
敢えて入れるという事はとても考えにくいという

米国内の社会通念上の配慮が、理由として上げられます


問題となる場面でも
マイケル・ケイン演じるカッターが
アンジャーと思わぬ再会を果たし

罠にかかり死刑になるボーデンの件で激怒しながら
娘までもどうするつもりかと問い詰めた事に対して

アンジャーは心外だという眼をして
「面倒を見ている」とハッキリと答えております


又、
本当に娘を殺す気であれば
激怒するカッターに何を言っても仕方がないので
話をそらせる筈ですし

何よりも、娘が生きているという事は
ボーデンへの復讐はまだ終わっていない事になるので

この時点で全てが終わったかの様に
カッターにテスラの装置を封印する様に持ちかけるのは不自然であり

演出上ぼやける事にも繋がるので



これは、
ボーデンに、全てを奪われる事の辛さを味合わせて
これまでの確執を終わらせようと考えたアンジャーが

名誉を奪う為にマジックで打ち勝ち、
命を奪う為に罠に陥れ、
最後は家族を奪う為、娘を養女にしたという


金と権力にモノを言わせて
ボーデンから全てを奪い取り

完全勝利を確信して前に進もうとしている場面と
捉えるのが自然なので


ここは単に
(赤鬼) が実の娘を引き取れなくなる事に
(青鬼) が焦った場面と取るのが自然なのでしょう


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■Chapter28 永遠の別れ - 1時間53分30秒辺り■


『ボーデンとファロンの別れの場面』

▲目次へ▲
■永遠の別れと最後の瞬間移動

死刑の直前に面会に来た ファロン に向かって

「お前はアイツに構うなと言ったのに、サラの事は傷つけるつもりはなかった」
と語ったボーデンは 間違いなく (青鬼)

「色々済まなかった」と語った真意は



二人で一人を演じる 事を提案したのが
(赤鬼) で(※コレに付いては後ほど・・・)
その真意を汲むことが出来なかった事と

アンジャーの妻を事故死させた罪や
アンジャーとの確執で 煽りを喰わせた事や
愛する妻を自殺に追い込んだ事などの
それら全てが含まれた

(赤鬼)
への 謝罪の念 の現れであり、


看守の挑発に乗って 足かせを外してみせる場面を見る限り
その気になれば 脱走も不可能では無かった中で
刑に甘んじたのも、納得の上での事の様にも取れ、

ここで「瞬間移動」マジックの初演で用いたボールを
ファロンに渡したのも、仇を取ってもらう事の意味と言うよりは

もう半分のボーデンを委ねたという
最後の「瞬間移動」を意味し



そんな (青鬼) の本意に 泣いた(赤鬼) という訳でした。




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■Chapter28 永遠の別れ - 1時間57分50秒辺り■


『刑が執行される場面』


この場面では
アンジャー達がテスラの装置を封印する映像をリンクさせながら
ボーデンの刑が執行されますが


刑が執行される直前に(青鬼)が呟いた「アブダカダブラ」で
(赤鬼) がボーデンとして現れるという

奇しくもここでも、
アンジャー同様の命がけの「瞬間移動」マジックが行われた事を
暗示したものだという事が分かります


又、二人で一人のボーデンを演じながら
「ボクがサラを愛し・・・」と言っている事から

サラの夫も娘の父親も (赤鬼) で間違いない
という事になります



ここでアンジャーが
自業自得で自滅するのであればともかく

主人公が銃殺した後 何事も無く娘と共に新生活を迎える展開に
違和感を感じる方もおられるかもしれません。



アンジャーがこの様な顛末を迎えるのもひとえに

途中から私怨を大きく逸脱した悪行に対しての
代償であると捉える事が出来ますが


それ以前に、映画を見る限りでも

アンジャーの妻ジュリアは危険な「二重結び」に前向きで、
マジシャンとして極め様という気概がありましたし

「二重結び」をした後のボーデンの相槌にも応えていた様でしたので
納得尽くの事の様にも捉えられ

ジュリアの事故死の責任の一端がボーデンにあったとしても
マイケル・ケイン演じるカッターの言う所の

若さ故の過ちから起こった 不幸な事故だったのであり

その後のアンジャーの犯した一連の報復行為には
正当性も正義も存在し無い

単なる私怨に過ぎない事が見て取れます。


まして悪辣な罠で人の命を奪い、
それで幕引きしたつもりでいる所業に

天網恢恢疎にして漏らさずとばかりに
制裁が下ったという事になるのでしょう。



結局アンジャーは、自分が撃たれた事よりも
ボーデンのマジックを看破できなかった事に無念さを抱き

複製に複製を重ねて今居る自分は何者なんだと
神をも恐れぬ所業を繰り返した罪に苛まれながら

誰よりも手を汚し尽くした末、
喝采を浴びる事の歓喜の充実感を知り

お前なら分かる筈だと ボーデンに訴えながら
巨大な闇を抱えて死んでいくのでした。





あるいは、アンジャーの「瞬間移動」のからくりを
気付いていたかもしれない (赤鬼) が、アンジャーを射殺をしたのは


アンジャーの自己満足の為に生み出されては
狂気のマジックの犠牲となって水死させられた
知られざる哀れな100人もの「複製されたアンジャー達」へ向けての

手向けの意味も、あったのかもしれません・・・


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■Chapter30 約束 - 2時間04分40秒辺り■


『水槽の中のアンジャーの場面』

林に転がるたくさんの山高帽子は それぞれが複製されたものだという事を指し
エンドロール直前の水槽の中のアンジャーは

ボーデンが撃ち殺した遺体では無く、まして 替え玉のルートでも無く

舞台下に置かれた大量の水槽の中の
複製されたアンジャーの水死体の 一つ だと言う お話でした。


ココで、
全部の水槽にアンジャーの水死体が入った映像を入れなかったのは

観客の曲解を意図的に招いて思考の迷宮に落とし込む
「誘導」だったと言う 訳なのでした。




さて、

人は良く「人生が二度あれば、あの時ああだったら、」と考えるものですが


本作のボーデンの描写は、その時取った決断が人格に影響し
同じ人生を歩みながら、全く別人として生きる事になるという

そんな「人生の分岐点」を、分離した別人格で表現した
演出の一環だったと捉えますと


本作は2つの人の人生を描いた妙を見る様な
非常に興味深い側面を持った作品と言えるのかも

しれません。



▲目次へ▲

5. ボーデンも複製か




さて、

本作は、観客に気付かれない様に 様々な布石を配置しながら
巧妙に話を逸らせる脚色が施されており

観客はラストまで真相を知ること無く

「ボーデンは双子」「アンジャーは複製」と言う展開に衝撃を受ける様
構成されております。


ラストでは これまで見過ごしていた
尋常じゃない数の伏線と布石の所在が

思い当たる様 浮かび上がるので

この「ボーデンは双子」という展開も額面通りに受け取るのは
まだ早計 という事が言えるかもしれません



映画を思い返してみますと、

「双子か」と言及したのは ラストで
ヒュー・ジャックマン演じるロバート・アンジャー
セリフのみであり

それに対して
クリスチャン・ベール演じるアルフレッド・ボーデン
否定しませんでしたが 肯定もしておりません。



そもそも瞬間移動の鍵として

デヴィッド・ボウイ演じる「テスラ」
の存在をアンジャーに告げたのはボーデンであり

物語の中でもテスラは以前にアンジャーの同業者に
装置を作ったという様な言及もありました。


又、テスラが語った 「特異な人間に特異な装置を作る」というのが
ボーデンの事を指している様でもあり


これらは全て
ボーデンが以前に「瞬間移動装置」を使い
自分自身を複製をした事があるという事への伏線とも

捉える事が出来る疑惑でもあります。


完成品が渡された時の手紙の文章にも
「この装置は悲劇をもたらす」と記載されていた事から察すると

それがボーデンの事かどうかは さて置いても
過去にもテスラが人を複製した事実匂わせる事の様にも
感じられるものがあります。



そこで、

ボーデンは双子という事で特に支障のない本作のプロットに

最終的に白黒ハッキリさせない様な
果たして伏線だったのかどうかも定かでない
モヤモヤした脚色で

「ボーデンも複製 かも」という可能性を匂わせて
整合性が崩れかねない伏線をなぜ張る必要があるのか
と いう理由を汲みながら

考えてみますと、



これに付いては近年『シン・ゴジラ』でもそうでしたが

鑑賞後も観客を思考の迷宮に突き落とすという、
独特の世界観を印象付ける演出の一環という理由が

まず思い付きます。


ボーデンが複製人間だったとして


★ ボーデンがテスラ製の装置を使っているアンジャーを見て
「瞬間移動」の種が分からずに
劇場の舞台裏まで忍び込む理由が成立しなくなる



事と


★ 本作の柱となる「アンジャーが仕掛けたボーデンへの罠」が
成立しなくなる


という映画の整合性に関わる問題が発生し


そして、双子だった場合


ボーデンとテスラの接点が時系列通り本編45分過ぎのシーン
アルバート・ホールでの実演を観ていたのが最初という事になり
(※Blu-ray - Chapter11「テクノロジー」)


放電装置を見たボーデンが
スカーレット・ヨハンソンを助手にして演じる
「瞬間移動」マジックをより良く見せる演出に使えると考えて


テスラにマジック用の「放電装置」の制作を依頼した
という一連の流れが生まれ


ボーデンは「瞬間移動装置」とは何の関係もない
という整合性が成り立つのですが


◯現実問題「双子」では速攻で身内にバレるだろう。
◯「今日はウソの日」程度の違和感では済まされない。
◯そもそも「双子」ではトリックがお粗末過ぎる。
●昔、デビッド・カッパーフィールドもそんな噂が立ったが
これはそのオマージュか?w


などの苦言が発生する事になり


どちらも論理的着地点を見出だせ無いないまま有耶無耶に終わる
という事が言えると思います


他にも、

ボーデンが「テスラ」の名前を
暗号日記を解読するキーワードとして使っていた件では、

「テスラ」というキーワードを使った暗号日記の記入が
アンジャーと出会う前後辺りから行われている
事から

ボーデンは少なくとも日記を付ける直前には
どういう形であれ「テスラ」を知っていた事になり

「テスラ」と会って 装置を使い自分を複製したという
可能性は消えていない事になります


一方で、

この暗号日記がアンジャーを嵌める為だけの目的で
書かれたものと捉えますと
これは単に文章が日記仕立てに書かれたダケの

偽日記となり

テスラとの関係性の証明には使えず
複製説の証拠では無くなる と言った


取り様によってどの様にも取る事が出来る
様々な布石が配置されている事が

曖昧な伏線を曖昧なりに成立させている
一番の理由という印象があります



では、仮に、


ボーデンも複製だったとしたら どういう事になるのか、
ここで・・・妄想も少し入ってますが・・・
敢えて想像してみますと・・・


特別な人間に特別な装置を作るとの噂を聞いた
か どうか分かりませんがw

とにかくボーデンは自分が実験台になり
テスラの装置を試します。

しかしアンジャーの時と同様の結果となり
実験は失敗したと思い込んだボーデンは失望して帰宅します

一方、人知れず離れた場所に転送されたもう一人のボーデンは
実験が成功したと思いきや、

実験室に自分がもう一人居る事を知り
装置が生み出す恐ろしい弊害と 自分の置かれた状況を理解して
実験は失敗した事にした方が良いと判断し

誰かに気付かれる前に雲隠れします


後日、
自分は双子の兄弟の隠し子とか、
家は貧乏だったから里子に出されていたとか
自分も最近その事実を知って
お前がマジシャンで活躍している事に驚いて会う事にした
とか何とか・・・もっともらしい理由を付けて
もう一人のボーデンの前に現れ

テスラの装置の真相は墓場まで持って行く事にした・・・


・・・という事であるならば、
少なくとも二人の内一人は装置の真価は知らない事となり


テスラの装置は失敗作だと思い込んでいる方のボーデンが
良い散財になると睨んでテスラのキーワードをアンジャーに教えて
装置を作らせる様に仕向けたり

アンジャーの瞬間移動の種が分からずファロンを責め立てて荒れ
好奇心に勝てず自らアンジャーの罠にはまるという

本作の柱となるプロットの整合性は保たれます。


更には、二人のボーデンの仕分けも、

元々のボーデンが、
転送装置の様な得体の知れないものに自ら実験台になる様な
恐れ知らずの好奇心旺盛な人物だと考えられる所から


装置の真価を知らないのであれば
その性格にも影響は現れないであろう という事で

コチラは (青鬼) という事になり


転送された方は、
人間が複製されるという事の重大さに恐れを抱き

これまでの好戦的な態度を改めて思慮深くなり
恐らくファロンとして大半を過ごしたと想像できる事から
コチラは (赤鬼) という風に分けられます




そうして、本作を改めて観直してみますと



ラストのボーデンのセリフの
「難しかった 2人で一つの人生を生きるなんて」
という言葉の真意が見て取れたり、


カッター達に拉致されたファロンも、
どんなに脅されても頑なに口を閉ざし「種」を明さなかったのは、
明かさなかったのでは無くて
人間を複製するという恐ろしい事実を
明かせなかった と分かりますし、



復活したアンジャーのステージを密かに観覧し
脱出マジックの水槽を見て 心を痛めながら
テスラの装置を使った転送マジックを観て席を立ったボーデンも

その後、アンジャーの転送マジックの種がなぜ分からないと
ボーデンに責められ
落とし戸のカラクリを描いた所で固まっているファロンも

「ステージの後毎晩あれを運んでいる」の「あれ」とは
複製されたアンジャーの水死体が入った水槽だと
看破した様に身震いしたボーデンも


これらはテスラの装置の恐ろしさを唯一知り
更にはアンジャーの転送マジックの狂気のカラクリを知っていた

(赤鬼) の方だったと考える事が出来ます



又、
何かに確信を得たかの様な表情で
ガッツポーズを決める様に柱に向けてゲンコツを立てた事も

これは、自分達のどちらかが
テスラの装置によって意図せず造られた
複製人間であるという境遇を考慮して

双子の事実は 世間には伏せた方が良いと考えて

(青鬼) にはいつか演じる瞬間移動マジックの為と称して
「二人で一人」を日々演じ様と提案した (赤鬼) のアイデアに対して

手応えを感じた (青鬼) という場面に取る事も出来、


テスラの放電の実演を眺めていたボーデンも
マジックの演出に使えないかと考えながら観ているというよりは

自分達の運命の始まりを回顧する様な眼で眺めていた所から

この場面のボーデンは、
テスラの創る装置の真価を知っている
(赤鬼) の方で

おそらくこの後、放電装置の発注をする為に再びテスラに会い
自分達が複製された事実を話したとも考えられ

それが、アンジャーに対してテスラが取った
一連の態度の理由だったとすれば 筋が通ります


更に、

アンジャーの転送マジックの後運ばれる水槽を追って廃墟の劇場に辿り付き、
恐らく中で水死体が入った大量の水槽を目撃したであろうファロンも

「アイツの事は放おっておこう」と言ったボーデンも

装置のカラクリを知っていた (赤鬼)
と捉えますと、全ての謎が繋がり



双子だった真相を (赤鬼) から知らされていなかった (青鬼)
留置場でアンジャーと再開した後 全てを察知し、

或いは脱走も可能だったかもしれない状況で
もう半分のボーデンの人生を (赤鬼) に全てを託して刑に準じたという
(青鬼) の真意も見えて来て


辻褄も合う事になります。



次に、ボーデンが複製された時期の特定ですが、
これは特定が難しいながらも

カッターの下でアンジャーと組み始めた時

マジシャンの小道具係をやっていたボーデンが
カッターの所にやって来た理由が

二人になって食い扶持が増えた為であれば
納得できますし

又、中国人マジシャンの金魚鉢マジックを看破した時
日々を犠牲にする精神に対して
何かの手応えを感じて 静かにガッツポーズを取ったのも

この後 もう一人がファロンとして共に入れ替わり演じる事に
手応えを感じている様な印象があるので


おそらく、アンジャーと組む前から
複製だったと捉えるのが

自然だと思われます。



これらは演出上「双子」でも「複製」でもどちらでも取れる様 に
観客の判断に委ねた作りとも取れますが

70年代のおおらかな時代の映画であれば ともかくとして
目の越えた観客が多い現代において、

あちらを立てればこちらが立たずという様な

伏線と言うには曖昧な「怪しい」脚色が盛り込まれた
まるで人を喰ったような「解けないミステリー」が残ったままの
モヤモヤした幕切れをする作品は

全ての伏線が一本の線で繋がり謎が解き明かされるカタルシスに
ミステリーの醍醐味を感じる映画ファンにとっては
受け入れがたい造りであり

このあたりに本作がノーラン作品でありながら
地味な評価に繋がった理由があるように感じられました。


一方で、この様な「怪しい」伏線を張った真意は

まるで超能力の様にも、単純な仕掛けがある様にも幾重にも取れる
何が本当で何が嘘なのか観ていて混乱する
全く種が分からない「マジック」を観た後の

外連味ある人を喰った様な後味を再現するという

映画をひとつのマジックの演目に見立てた
演出上の狙いからかと、

思われるものがありました。



或いは、

娘と共に新たな人生を送る悦びを噛みしめながら
笑顔で去って行くラストのボーデンを印象付ける為

何かに取り憑かれた様にマジックに没頭してきた
これまでの人生との訣別を意味する様に

「種の分からないマジック」の様な
深い闇の中にあった人生を象徴する「仕事部屋」を
新たな人生の旅立ちを意味する様に立ち去る事で

明るい未来が待っている事を印象付ける為に

解けないミステリーを残して行く様に映画を終わらせた
という製作者の意図があったのかもしれません☆




▲目次へ▲

6. どちらが本物でどちらが複製か



アンジャーはラストで
今の自分は本物なのか複製なのかと ボーデンに問いかけましたが

「非道を重ねてもはや人間では無くなった」という
脚色上の比喩とは別に


テスラの装置で複製された方は
転送された方なのか、その場に残った方なのか

そして、オリジナルはどちらなのか


という疑問が残ります



これに付いては、黒猫を使った実験の場面で

装置の稲妻を浴びている間 威嚇する様に鳴いていた黒猫が
装置が停止した途端、嘘の様に静まった事に対して
林の中に転送された方は相変わらず威嚇する様に鳴いていた事から

転送された方は転送前と同じ動作をしていたという事を理由として



転送された方オリジナル
残った方複製


と 仮定する事が出来ます



アンジャーの場合は
ラストの回想で、転送された自分を銃で撃つ場面があるので

「複製」が「オリジナル」を殺した事になり

それ以降のアンジャーは全て
「複製人間」だったという事になります



つまり愛する妻を失い喪失感にくれ
ボーデンに固執し続けたオリジナルのアンジャーは

既にこの世に無く、


奇しくも「複製」の方が、妻の死を乗り越え私念を捨て
「複製」の自分を更に複製して水死させ続けながら

狂気のイリュージョンを続ける「怪物」と化して行った
という衝撃の結末に

ダークな本作の言い様のない
「深い闇」を感じる所でもあります


これは、


演目の為に人も自分も自分の妻さえも犠牲にして来たボーデンと
「同類」となり

もはや妻の死の責任を責められない程 犠牲を重ね

演目の為に演目の数だけ人間を複製しては殺し続ける非道を行い
芸に取り憑かれた「魔物」と化したと悟ったアンジャーが

オリジナルを撃ち殺した「複製」の方だったというのが
実に興味深く、


心の底で 自分は実は「複製」の方だと薄々気付いている様な

演目で毎回水死しているのは、
自分の更なる「複製」だと 分かっている様な

映画から、そんな匂いを感じさせるものがある所からも


故に、自分は何者で、何者でもない何も無い
「空」だと ラストでボーデンに指摘される様な

自殺願望に駆られた自分を何度も水死させ
それを外から眺めるかの狂気のイリュージョンを続けて

その度 人としての何かを失い、
人の姿をした「怪物」と化した所から


全てが終わった後は、人の子供を育てる事に没頭し
「空」の自分を埋めようとして、

ボーデンの娘を養女にしようと
したのかもしれません



一方、
ボーデンも複製だったと仮定すると


転送された (赤鬼) の方がオリジナル のボーデンとなり

或いは脱走できたかも知れない状況で
(青鬼) が刑に甘んじたのも
(赤鬼) への謝意の念の他に

赤鬼がこれまで通りボーデンとして生きて行ける様
自分は消える事を選んだ青鬼が

どこかの時点で自分は複製だと気付いたからかも知れず

そんな (赤鬼)(青鬼) の 性格の差が生まれたのは

自分 複製(青鬼) が取ってきた行動に対して
過激で挑戦的だったこれまでの自分を見る様に改める、といった

一歩引いて自分自身を外から眺める事が出来た
「視点」の違いからの様に感じられます


ラストでボーデンが、娘と共に第二の人生を歩む
ハッピーエンドを迎える事が出来たのも

自分自身を常に見つめて
自分を変えて来たからであり


数多くの布石と伏線が巧妙に張られた
ダークで凄惨なサスペンスミステリー系作品として語られる作品ですが

本作は、
舞台となった19世紀の世の中においても
常識もルールも常に変化し、混沌とした現代社会においても

誰もが理解できる ごくごく当たり前な
人の生き方の道理を説いた

ヒューマニズムを描いた所に
真のテーマがある作品だと

思うのでした☆










最終更新日  2017年09月15日 00時06分32秒
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