782460 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

良さんの読書日記

良さんの読書日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

2018.09.14
XML
テーマ:お勧めの本(7211)
カテゴリ:ミステリー小説
戦場のコックたち深緑野分 、東京創元社、初版2015年8月28日、2016年「このミステリーがすごい!」第2位、ミステリマガジン2016年版「ミステリが読みたい」第2位、『週刊文春』2015年ミステリーベスト10第3位。

 時は1944年、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線。アメリカ軍に所属するティムは、パラシュート歩兵連隊として、フランスのノルマンディー上陸作戦に参加した。ただし、コックとして料理をすることが優先される任務だ。

 本書の特徴は、まず第一にミステリー小説である。ティムたちが行く先々で奇妙な事件が発生する。第一章ではバラシュートを集めている兵が二人いた。第二章では約3tの粉末卵、箱数にすれば600箱が盗まれた。第3章ではオランダの民家で待機している時、家の持ち主の夫妻が地下室で自殺をはかった。第4章ではベルギーでドイツ兵と対峙していた時、ディエゴが不気味な音を聞いた――ここまでのなぞ解きは、ティムのコック仲間のエドがおこなう。第4章では、「あっ」というようなことをティムが暴く。

 第二に、戦争の悲惨さを描いている。学校では、第二次大戦は日独伊と連合国との戦いとして習う。しかし、実際には日本で生まれ育った人には、日本はアジア諸国を侵略したということは切り落とされ、アメリカと戦争をし負けたという、イメージが強い。本書はヨーロッパが舞台になっているため、主にドイツ軍と連合軍との戦いが描かれている。
 特に、ユダヤ人収容所の描写では、毒ガス以外の方法での殺戮がリアルに描かれている。
 また、黒人差別の問題がところどころで顔をのぞかせている。

 戦争が終わり、ティムは故郷に帰ってきた。駅を降りると平和だった。僕らはこのために戦ったと思った。それなのに、この虚しさは何だ? と最後に、読者に問題を提起している。
 本書は、ミステリーであるとともに戦争とは何か、を考えさせてくれる名作である。



ホーム・ぺージ『これがミステリーの名作だ』も御覧ください。

http://bestbook.ife.coocan.jp









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2018.09.14 16:19:25
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.