How High The Moon

久しぶりのデートのはずが、直前になって「今日は会えない」とのメールが来た。
半月以上前から約束をしていたし、旅行の後でもあったので逢って気持ちを確かめたかった。
「何でそんなこというの？お花見でもしようと思ったのに」
「私の気持ちなんか全然わかろうとしない」
こうなるとこっちの話はまるで聞かない。
例によって気まぐれかとあきれてしまったが、それでも何とか逢うことになった。

こんな気持ちでニコニコと逢えるわけがない。
逢うなり「そんな顔してるなら帰ってよ」
まったく…誰が原因を作ったのか。
「付き合うの面倒になったならもうやめようよ」
「私は誰も愛せない」
そんな言い合いを繰り返しながら、もうやめるだの帰るだの別れるだの…
「もう全部やめよう。今日は楽しく買い物して、これで別れよう。さようならだ」
この辺から急に話の流れが変わってきて、いつしか仲良しモードに（笑）
よくわからないまま渋滞の高速道路で話をしていた。

「今日は絶対に抱きたい」
「時間がないよー」
「そんなのだめ」
やっとの思いで一つになれた。
愛しくてずっと抱いていた…

「好きになるのが怖い。愛するのが怖い」
彼女はそういう。
「だから別れたいって思う時がある。わかってね」
「いつも愛してくれなくていい。逢っている時だけの一瞬でいい」
「一瞬が全部になったらどうすればいいの？迎えに来てくれる？」
「それはその時考えよう」
彼女の不安はここにあった。

次の日になってもなかなかメールが来ない。
やっと来たメールが
「すごく切ない」
そしてまた
「切ない。こういう気持ちになるのが怖かった」
「そんなこといわないで。一緒に頑張ろうよ」
としかいえなかった。
これから先、彼女の気持ちや不安を受け止められるのだろうか。彼女は不安に負けないだろうか
そんなことばかりを考えている。