京都化野殺人事件~京都化野殺人事件~「お宅のお子様を預かっています」 京都化野の自宅から、生まれたばかりの娘を誘拐され、絶望の日々を送っていた高尾加代子に、名古屋の保育所から思いもかけぬ朗報が舞い込んだ 一年ぶりに戻ってきた愛児・舞子は、検査の結果、加代子の夫である陽一郎の実子であることに間違いないことが判る 久しぶりに笑顔が戻った高尾家 姑のまき子や、古くから仕えているお手伝いのミチから、よそ者扱いを受けていると感じている加代子にとって、わが子が戻ってきたことは願ってもいないことだった が、やっと取り戻した幸せな生活も長くは続かなかった ある日、女の声で、 「帰ってきた子はあなたの子供ではない」 と、衝撃的な事実を伝えられたからだ 本来なら、いたずら電話と一笑してしまえばいいところだが、加代子には思い当たる節があった それは、加代子は陽一郎と結婚する前、会社の同僚だった三沢と付き合っていて、どちらの子供か、ハッキリしないということだった 謎の女が掛けてきた電話のことが気になった加代子は、事の真相を探るべく、舞子が預けられていたという名古屋の保育所を訪ねたが、園長である吉川和美からは、たいした情報を得ることはできなかった それどころか、翌日、和美が絞殺死体で発見されたことを知る しかも、その首には、加代子が着ていたワンピースの共布でこしらえたスカーフが巻きついていた! さらには、どこから情報を得たのか、「生んだのは自分との間の子では?」と、昔の恋人であった三沢が訪ねてきた 話の決着をしようと、加代子は三沢が指定したホテルを訪れると、そこには変わり果てた三沢の姿が… 誘拐事件、そして加代子に関係する人たちが次々と死んでいく そのどの事件にもアリバイの無い加代子は真っ先に疑われることだろう 謎の女からは、 「本当の我が子を返してほしければ、お金を用意しろ」 と、脅迫まで受けるようになっていた 窮地に追い込まれる加代子だったが、事が事だけに誰にも相談することができない 謎の女は本当に、我が子と一緒にいるのだろうか? だとしたら、今高尾家で育てている舞子は、誰の子なのだろうか? 自分の過ちを悔い、呪う加代子 それでも、母性からなのか、どうしても本当の我が子をこの手で抱きしめたい!と願う そんな加代子に、二転三転と、まるで弄ばれているかのように過酷な運命が待ち受けているのだった… ~感想~ 単なる誘拐事件ではなく、その事件の背景には複雑に絡みあった謎があり、つよく惹きつけられるものを感じた ただ、物語中盤になると、疑心暗鬼に陥った主人公が妄想と倒錯を繰り返し、読んでいて疲れてしまった このままダラダラ続くのか?と思いきや、話は後半になると急展開を見せて、俄然盛り上がってくる 二転、三転と話の展開は目まぐるしく変わり、事件の真相が暴かれていく あまりにも都合よすぎるところもあったが、まあそれはそれで、意外な事件の結末と、余韻の残る終幕に暫し酔うのであった で、読み終えての率直な感想は、 女って怖いなぁ… 男ってヤツは… という事で、私的評価は星【★★★☆☆】3つです ◆この原作のドラマ化作品・1◆ 昭和62年3月7日放送 土曜ワイド劇場 『京都化野殺人事件・嵯峨念佛寺のめぐり逢い・名門夫人の危険な秘密』 出演/高尾加代子…山口果林/高尾陽一郎…山城新伍/古畑秋子…友里千賀子/三沢健治…中山仁/狩矢警部…坂上二郎/磯志摩ミチ…蜷川有紀/高尾まき子…荒木道子/吉川和美…中村晃子/橋口警部補…小野進也 ほか ◆この原作のドラマ化作品・2◆ 平成19年3月19日放送 水曜ミステリー9 山村美紗サスペンス 『不倫調査員片山由美10・京都化野梅若絵巻殺人事件・ダブル不倫に暴かれた鬼子母19年の略奪愛』 出演/片山由美…池上季実子/片山俊介…神田正輝/森崎佳子…左時枝/森崎博信…森本レオ/伊藤加奈子…沢田亜矢子/岡島乃梨子…山村紅葉/伊藤剛司…石橋保 ほか |