山茶花寺殺人事件~山茶花寺殺人事件~ 【京都紅葉寺殺人事件】所収大学生の沢田夕美は、恋人である歌舞伎役者の片岡秀三郎と一緒に、西賀茂にある“山茶花寺”と呼ばれている神光院を訪れていた そこで二人は、山茶花の樹の根元で死んでいる男女を見つける 山茶花寺での事件は、翌日の新聞で報じられていた 亡くなっていたのは、多田俊之と、同じ会社に勤めるOLの三沢雪子 多田は一年前に東京から単身赴任で京都に来ていて、雪子とは親密の仲だったという 不倫の果ての心中だろうか? しかし、男の死体の下には山茶花の花びらが1枚も無かったのに対して、女性の死体の下には山茶花の花びらがたくさんあったことに気づいた夕美は、死体は別々に運んできたと推理し、心中に見せかけた殺人事件と睨む 事件の第一発見者ということで、持ち前の好奇心から事件に興味を持った夕美は、独自に推理を展開 事件の容疑者として、多田夫人の和子、雪子の夫である三沢芦夫、多田の同僚で、課長の座をめぐって争っていたという夏目利彦の3人が浮上した なかでも、事件から行方がわからなくなっている和子は有力な容疑者となっていた が、数日後、和子の墜落死体が伏見のマンションで発見される 犯行を自供する自筆の遺書も残しており、夫と不倫相手を殺害しての覚悟の自殺かと思われた しかしながら不審な点がいくつかあり、和子の死も殺人と断定される 和子は、なぜ自分がやってもいない犯行を自供するような遺書を遺したのだろうか? すると、夕美は、遺書のなかに、あるメッセージが込められていることに気づく 和子が死の直前に書いた遺書に託した、最後のメッセージとは? ~感想~ 遺書のメッセージ、電話、そして写真のアリバイトリックと、短編作品にしては謎解きがいくつもあり、面白かった なかでも芙蓉の花の写真トリックは、山村作品が映像化される際、たびたび引用されるほど華やかさと意外性が同居している 次から次へとトリックが浮かぶことに感心せざるを得ない という事で、私的評価は星3つ【★★★☆☆】です ◆この原作のドラマ化作品・1◆ 平成3年9月30日放送 月曜・女のサスペンス 『京都さざんか寺殺人事件』 出演/片岡秀子…沢田亜矢子/三沢芦夫…鶴見辰吾/多田和子…金沢碧/多田俊之…大和田伸也/三沢雪子…竹井みどり/片岡由美…山村紅葉/中川梢…立原美穂/山本刑事…きたろう/夏目和男…石山律雄/木村徹…ひかる一平 ほか …ドラマの内容 京都で小料理屋を営む秀子の元に、東京に住んでいる高校時代の友人の和子が訪ねてきた 夫の俊之は京都に単身赴任しているのだが、どうやら愛人がいるらしく、そのことで和子は秀子のことを疑っている様子だった というのも、俊之は高校の先輩で、秀子と和子は俊之を取り合った過去があったからである 否定する秀子だったが、夫の影に見え隠れする愛人の存在に和子はだいぶ神経が参っている様子 そんな和子の姿を見て心配する秀子だった 数日後、今は亡き夫の墓参りを済ませた秀子は、境内での騒ぎに気づく なんでも男女の心中死体が発見されたという その男は、和子の夫である多田俊之であった その後の調べで、俊之と一緒に亡くなっていたのは、俊之の会社の部下である三沢雪子という女性で、不倫の果ての心中というのが、警察の見解だった しかし、その後の調べで不審な点がいくつか見つかり、殺人と断定 心中事件以降姿をくらましている多田の妻・和子に容疑がかかる 和子が犯人だとは信じられない秀子だったが、和子の墜落死体が京都で発見されたことをニュースで知る 犯行を自白する自筆の遺書も残しており、和子が夫と不倫相手の女性を殺した犯人ということで事件は収まりを見せようとしていた しかし、どこか腑に落ちない秀子は、多田と一緒に亡くなった雪子の夫である三沢芦夫について調べてみる 雪子の死に嘆き悲しむ芦夫であったが、心中に見せかけた事件では、知人から掛かってきた電話を自宅で受けていて、和子の死亡推定時刻には、現場から離れた宇治の橋寺で花の写真を撮っていたという完璧なアリバイがあることが判明 やはり和子が犯人で、自殺したのだろうか? そんなとき、秀子は、和子が書いた遺書にある異変を感じる そこには、驚くべきメッセージが込められていたのだった …ドラマの感想 ストーリー、トリックとほぼ小説どおりの展開 小説では、それぞれの人物像は掘り下げられていなかったが、短編小説を2時間ドラマとして話を膨らませたせいか、事件の裏側が描かれていて、原作より作品が厚みを増していた ◆この原作のドラマ化作品・2◆ 平成14年11月23日放送 土曜ワイド劇場 山村美紗サスペンス 『京都紅葉寺殺人事件・不倫偽装心中に秘められた殺意…失踪した妻に容疑!神戸六甲山、赤白の花のトリック』 出演/狩谷和美…藤谷美紀/狩矢警部…田村亮/夏目利彦…原田龍二/須本芦夫…佐戸井けん太/小田房江…根岸季衣/狩矢澄江…中野良子/須本雪子…渡辺典子/山野美野里…山村紅葉/多田翔子…西尾まり ほか …ドラマの感想 原作は『山茶花寺殺人事件』なのに、なぜか同作品が収録されている小説の主題タイトル『京都紅葉寺殺人事件』という別作品のタイトルに変更されている ドラマの登場人物の名前も変更になっているし、犯行の動機も安っぽいものに替えられてしまった 原作をいじくり放題の作品 ジャンル別一覧
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