危険な遊び~危険な遊び~ 【乳房のない死体】所収ドライブの最中、恋人の岡田昭夫と喧嘩してしまった瀬川和美は、山中でひとり置き去りにされてしまう 山道を一人淋しく歩く和美だったが、運よく通りかかった1台の車に乗せてもらう 好意に甘える和美だったが、車中にいた3人の男たちの態度が豹変し、それぞれの男たちに襲われてしまう 和美が襲われた噂が岡田の耳に入り、二人は別れてしまう それを機に和美は短大を辞め、生まれ育った京都の街を捨て、東京へ出てきた 風俗の世界に身を落とし、その稼いだお金で美容整形をして顔を変えると、銀座の一流クラブでホステスとして勤め始める さすがは一流クラブなだけあって、訪れる客はお金持ちばかり そのなかで、商事会社に勤める石本に、和美は気に入られる 和美は、普段は平静を装ってはいるものの、胸の奥では、自分を襲った3人の男たちの復讐の炎を燃え上がらせていた あの日、車のなかで男たちが話していた会話をヒントに、情報通でもある石本の協力を得て、男たちが勤務している会社、そしてそれぞれの正体を突き止めていく 一人、また一人と、復讐のために男たちを殺害していく和美 そのことに無情さを感じつつも、復讐の念が揺らぐことはなかった そして、その荒んだ日々のなかでも、和美は、石本の一途な愛を感じ取っていた 復讐か、愛か… 明日の自分の身もわからない女が辿り着いた哀れな末路とは… ~感想~ ドラマを見てから原作を読んだ ドラマが、暗い過去を背負いながら、愛と復讐に燃える女というドラマティックな展開だっただけに、原作も期待していたのだが、かなりの期待外れ 復讐に至るまでの主人公の心情は理解できるものの、手がかりを掴むまでの経緯にかなり無理があるし、肝心の復讐劇も無謀ともいえるような展開 関東と関西の風習の違いが、犯行が暴かれるキッカケとなるのだが、それも唐突過ぎて、イマイチ活かされていないように思えた 最初の部分でグッと世界に引き込まれたのに、その後の展開がいただけなかったのは、至極残念 という事で、私的評価は星【★☆☆☆☆】1つです ◆この原作のドラマ化作品◆ 昭和61年5月23日放送 金曜女のドラマスペシャル 『整形~二つの顔を持つ女・危険な遊び』 出演/瀬川和美…沢田亜矢子/石本隆史…若林豪/岡島昭夫…中島久之/アケミ…池波志乃/瀬川荘吉…織本順吉/鬼口修…加納竜 ほか …ドラマの内容 恋人の岡島昭夫とドライブを楽しんでいた瀬川和美だったが、些細なことで口論となり、和美は山中で車から降ろされてしまう 一人山道を歩いている和美に、1台の車が止まる 親切に乗せてくれたのだが、車に乗っていた2人の男は態度を豹変させ、和美を襲い、事が済むと和美を車外に放り出して、走り去ってしまった 急いで車のナンバーを見ようとした和美だったが、ガムテープが張られていて数字が読めない どうやら、親切心に和美を車に乗せたのは、初めから女の身体が目当てだったらしい 揉み合った拍子に地面に落ちた社員章を、和美はしっかりと握りしめるのであった 和美が襲われたことは瞬く間のうちに町中に知れ渡り、厳格な父の荘吉からは叱責され、結婚を約束していた岡島からも別れを切り出されてしまう 自暴自棄になり、自殺を試みる和美だったが、通りすがりのアケミという女性に救われる 風俗嬢のアケミの誘いもあり、風俗の世界に身を落とす和美 しかしその生活も、瀬川家の身内の者に知られてしまい、和美は勘当同然で、生まれ育った町を後にし、東京に上京する 風俗で勤めた金で、顔の整形手術を受けた和美は、銀座の一流クラブのホステスとして勤めていた そのクラブに客として来た石本隆史を見た和美は、驚く というのも、和美が上京する為に乗った新幹線の隣の座席に座っていたのが石本だったのだ 一言二言、話はしたが、石本が覚えている筈がないことに気づいた 和美は美容整形のおかげで、昔の頃の面影は残っていないからだ しかし、石本は、和美を見るなり、「どこかで会ったかな?」と話かける 動揺する和美だったが、否定すると、石本はそれ以上は深追いしてこなかった 和美は、自分を襲った二人の男に復讐する決意を胸に抱いていた クラブに何度も足を運んでくれる石本は新聞社に勤めているので、唯一の手がかりである、男がつけていた社員章から会社名を調べてもらう 襲われている最中、相手の顔は勿論のこと、男たちが互いに呼び合う名前は覚えていたので、そこから、和美はターゲットの男を見つける はじめは、自分を酷い目に遭わせておきながら、ぬくぬくと幸せそうに暮らしている男たちを破滅に追い込めればそれでよかった和美だったが、揉みあううちに、最初にターゲットに選んだ男を殺害してしまう そのことで吹っ切れた和美は、もう一人の男である鬼口修も殺害する しかし、死ぬ間際に、鬼口の口から意外な事実を告げられた和美は驚愕する 和美が襲われた事件の裏側には、意外な真実が隠されていたのだった… 一方、和美が調べてほしいと見せた社員章の会社に勤める会社員が相次いで変死したことに疑問を感じた石本は、和美が事件に関わりがあるのでは?と疑問を抱く 和美を愛しているからこそ、彼女の過去を調べようと、故郷である滋賀へと向かう石本 そこで待ち受けていたのは、和美の暗い過去であった 和美の過去と連続殺人とが結びついた石本は、和美に復讐を止めるよう説得する そんな石本の愛と優しさが痛いほど伝わって感じていた和美だったが、見ず知らずの男に抱かれ、整形手術で顔を変え、二人の男を殺害した自分に、その愛を受け入れる資格が無いことは判っている 石本を振り切り、本当の黒幕である人物に一人立ち向かう和美であった… …ドラマの感想 話の展開がうまく行き過ぎているし、ちょっと無理しているところもあるが、愛と復讐の狭間で揺れ動く女の生き様が丁寧に描かれている 原作には無い意外な展開といい、悲劇的な結末を迎える本作品は、原作以上の出来栄えと言っても過言ではないと思う |