人形寺殺人事件~人形寺殺人事件~ 【目撃者ご一報ください】所収由加子は、平凡な主婦 夫はニューヨークに単身赴任中、一人息子は東京の大学に通っている ある日、近所の主婦に勧められ、由加子は株に興味を持ち、マイホームを購入するための資金を増やしたかった為に、株に手を出す はじめこそは買った株が値上がりして儲けが出ていたが、その後はうまくいかず、気づけば200万円の借金ができてしまっていた サラ金の取立てが厳しく、追い詰められる由加子 借金を返す当てもなく、ついにはサラ金業者に強引に勧められて売春婦に身を落とす そんなある日、避妊のために産婦人科を訪れた由加子は、一人の女性と出会う 野川藤子というその女性は、不妊治療に訪れていた 子供が欲しいのだが、どうしても身籠らないのだという 待合室で待っている間に、お互いの身の上話をしているうちに仲良くなると、藤子は、由加子にとんでもない頼みごとをしてきた 借金のお金を全額肩代わりする代わりに、夫の子供を産んでほしいというのだ つまりは代理出産である 突然の話に驚く由加子 しかも、無事に出産した際には、さらにお金を渡すと言う 借金を返す手段が無く追い詰められていた由加子は、夫と子供が家を空けていて一人で暮らしていることをいいことに、その話に乗ることにする 藤子の夫である野川晃一と肉体関係を持った由加子は、妊娠し、無事女の子を出産する ところが、赤ん坊の顔を見て由加子は絶句する なんと、顔半分が痣で覆われていたのだ 不安を覚える由加子 その思いは的中した 退院の日、藤子が赤ん坊を引き取りにくる段取りになっていたのだが、藤子が姿を現すことはなかった しかたなく赤ん坊を連れて帰宅した由加子 顔に痣のある赤ん坊を見て、きっと藤子は受け取りを拒否しているに違いない なんとか赤ん坊を引き取ってもらうために、野川藤子を探そうとする由加子 しかし名前は偽名だったことが判り、何ひとつ手がかりがない 追い詰められた由加子は… ~感想~ 物語はドラマティックで、短編作品ということもあってか、かなりスピーディーな展開 それゆえに、かなりあっさりと話が片付けられていってしまうので、物足りなさを感じる もうすこしじっくりと、落ち着いて読みたかった という事で私的評価は、星【★★★☆☆】3つです ◆この原作のドラマ化作品◆ 昭和60年1月7日放送 月曜ワイド劇場 『京都人形寺殺人事件・サラ金、売春、代理出産…・なぜ人妻は転落したか!?』 出演/大里由加子…松尾嘉代/石橋秋子…加賀まりこ/大里英一…新克利/石橋亮一…村井国夫/謎の女…藤田弓子/花山…菅井きん/小島…宮園純子/看護婦…山村紅葉 ほか …ドラマの内容 大里由加子の夫、英一が仕事の都合で海外に2年間単身赴任することになり、思い出づくりにと、一人息子とともに家族で京都旅行に訪れた その旅先で、由加子たちは、ひょんなことからある一組の夫婦と出会う その夫婦の身なりのいい格好を見て、由加子はただただ羨ましがるのだった 由加子たちは、東京の団地住まい 一戸建ての家を買うのが夢の由加子は、昼はパート勤め、夜は内職に精を出していた そんなある日、九州の有名進学校で寮生活を送っている一人息子が、バイク事故を起こしたという連絡が、由加子の元に入る 慌てて九州に飛んだ由加子 一人息子は、無免許でオートバイを運転し、相手に大怪我を負わせたという その示談金として用意した250万円は、由加子が必死になって長年貯めてきたお金だった 自暴自棄になった由加子は、クラスメートの小島が株で大儲けしていることを知り、財テクに手を出し始める はじめこそ順調に行き、多くの儲けが出ていたが、そのうち損をすることが多くなり、気づけば借金だけが残っていた… サラ金業者からは厳しい取立てが連日続き、追い詰められる由加子 ついには、売春を強要されるが、借金を返す当てもない由加子はその指示に従うしかなかった 約束のラブホテルへと向かう由加子 その時、見ず知らずの女性から、 「あなたに会わせたい人がいる」 と声を掛けられる 黙って従っていくと、案内されたホテルの一室で待っていたのは、京都旅行で知り合った女性だった その女性からいきなり、 「夫の子供を産んでほしい」 と頼まれる あまりにも失礼な話に憤慨する由加子 しかし、大金を目の前に詰まれた由加子は、借金返済のために承諾する こうして、代理出産をすることになった由加子だったが… …ドラマの感想 原作をうまく脚色していて、物語に厚みが加わり、主人公が転落していくさまが丁寧に描かれている ラストシーンの、騙した女を包丁を持って追いかけていく松尾嘉代氏の熱演ぶりが光る |