巻き込まれない
「おんな三人寄れば,かしましい」ってよく言いますよね。二人だって三人だって、「明るくにぎやかなのは良いんじゃないですか」って思うんですが。先日ちょっとした用事があり、新快速電車に乗って大阪まで行ってきました。私の乗った次の駅で、三人の女性が乗ってこられ目の前に座られたのです。何かのお稽古事のお仲間かサークルのお友達のようでした。おば様が三人寄ってもにぎやかなものです。そのうち真ん中の方が、そこにはいない三人の共通の知り合いの人の悪口を言い始めました。初めはたわいない、「あの方って、気が利かないところがあるわね」みたいなことだったのですが、だんだん悪意のある言葉になっていき。一人の方は、「そうね、そうね」と話を合わせるという感じで聞いてらっしゃいましたが、本気でそう思っているというふうではありませんでした。反対側に座っているもう一人の方は、何とか違う話に持って行こうと苦戦されておりましたが、真ん中の方がすぐに悪口のほうに話をもどしてしまうので、会話をニュートラルに戻すことが出来ませんでした。この三人のお話を、他の人たちはどんな風に聞いていたでしょうか。この頃の電車の中は、昔のように人の話し声でざわざわしているということはありません。みんな静かに本を読んでいるかウォークマンを聞いているか携帯をいじっているかです(ほとんどの人はこれですが)。ですから、イヤでも三人の方達の会話はみんなに聞こえてきます。人の悪口や悪意のある言葉というものは、自分には関係なくてもイヤな気分にさせられるものですし、聞くまいと思っても耳に入ってくるものです。大阪駅に着いたときは、悪口のおば様のお連れの方は勿論のこと、居合わせた私達もなぜかほっとしました。やっと、気まずい雰囲気から開放されたのですから無理もありません。この気まずさに気が付かないのは、悪口を言っている本人だけのようです。電車は両側に二列の電車でしたので、前に座っている人たちには三人のお顔がよく見えたのです。悪口を言っておられる方の顔はやはり意地悪そうに見えました。意地の悪い言葉を言っているときの人間の表情がきれいなはずがありません。相槌の方は気が弱そうに見えましたが消極的な悪口の参加者という感じです。もう一人の方は温厚そうな方でしたが、この会話に参加している自分を嘆いておられるように見えました。私はわが身に置き換えて、ひとの悪口の会話には巻き込まれないように気をつけようと今更ながら肝に銘じたのでした。それにしても、「明るい会話のほうが、自分達も楽しいだろうに」と思いますがいかがでしょうか。せっかくの人生、明るく楽しい会話で過ごしたいものです。