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雨がしずかに降る日には

主な治療法と薬物治療

【主な治療法】


・心身の休養

 うつ病の場合、心身のエネルギーの不足が大きな原因ですから、ゆっくり休養して、エネルギーを十分に補充することが特に大切です。
しかし、うつ病の人は、もともと責任感が強いので、その休息もむしろ大きなストレスになります。また、うつ病の場合には、検査などの数値で表れる症状が少なく、周囲の人には理解されにくいものです。


・薬物療法

 こころの病気の多くは、脳の伝達物質の異常で、多くの場合、量が多かったり、少なかったりします。乱れた神経伝達物質のバランスを薬によって人工的に整えます。うつ病の治療には、多くの種類の薬物が使われています。人によって効果や副作用の表れ方が違います。医師は少しずつ服用量を調整して、どの薬をどれだけ服用するか決めています。


・心理療法
 心理療法にも、沢山あります。中でも「認知療法」と「対人療法」は確実な効果があることが証明されています。



 《薬物治療について》


・抗うつ剤

 抗うつ剤には、三環形抗うつ剤、四環形抗うつ剤、SSRI、SNRIなど、いくつかの種類があります。それぞれに特徴があり、それなりの副作用があります。医師はそれぞれの患者さんに合わせて、期待できる効果、起こるかもしれない副作用、無理なく飲み続けられるかどうかなどを考えながら、薬を処方しています。

〈三環形抗うつ剤、四環形抗うつ剤〉
 以前から長く使用されている抗うつ剤です。セロトニン系とノルアドレナリン系の両方の脳神経に作用して、情報伝達を元の状態に戻し、うつ症状を改善します。しかし、それ以外の脳神経系統にも作用するために、人によっては様々な副作用が現れることがあります。

〈SSRI〉※  
 SSRI(選択的セロトニン再取り込み口阻害薬)は、セロトニン系統だけに作用して、脳神経と脳神経の間のセロトニン濃度を高めて、うつ症状を改善しようとする薬です。ですから、三環形抗うつ剤よりも副作用が出にくく、安全性も高いといわれています。吐き気、下痢などの副作用が出ることがありますが、1~2週間程度で軽くなっていくのがふつうです。

〈SNRI〉
 SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み口阻害薬)は、セロトニン系とノルアドレナリン系の両方の脳細胞に作用し、その他の脳神経には作用しないように工夫されています。そうすることによって副作用を抑えながら、より高い効果を得ようという考えで開発された薬です。

※[SSRIの作用]
経口投与され、脳の血液関門を通ったSSRIはシナプス間隙を漂います。
通常、脳内では、セロトニンは神経細胞の末端からシナプス間隙に放出されて、次の神経細胞に結合し、刺激を伝えます。このときシナプス小胞から放出されたすべてのセロトニンがシナプス間隙の先にある受容体に結合するわけではなく、かなりの割合で元の神経細胞に再び吸収されます。

 SSRIは、シナプス前部にあるセロトニンが戻るべき入り口(再取り込み口)をブロックします。受容体にたどりつけなかったセロトニンは、元の神経細胞にも戻れなくなり、シナプス間隙をさまよい、やがて受容体に結合されます。

 うつ病の人は、セロトニンの量が正常値より少なくなっていますが全く放出されていないわけではないので、SSRIのブロックが続く間はシナプス間隙を漂うセロトニン量はどんどん増えて、結果として多くのセロトニンが放出されているのと同じ効果が得られるわけです。


・その他の向精神薬
 患者さんの症状によっては、抗うつ剤のほかに、抗精神病薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬などの薬を使うこともあります。これらの薬は、うつ病だけでなく多くの精神医学的な治療に使われます。


《服薬のポイント》

 抗うつ剤は効果が出るまでにある程度時間がかかります。途中で分量や種類を変えることもあります。自分の考えだけで飲むのをやめたり量を減らしたりすると、かえってうつ病が慢性化することがわかっています。あせらずに、ペースを守って飲み続けることが大切です。


・服薬の流れ
 抗うつ剤による治療は、3つの段階を追って行われます。まず、まだ症状が続いている「急性期」には、薬の効果と副作用を見ながら徐々に抗うつ剤の量を増やしていきます。そして、薬の最大限の効果が得られて、症状が消え、気分が安定して「維持期」に入ってきたら、そのときの量のままで服薬を続けます。その後の「予防期」では、最終的に再発を予防するための治療を行います。

 維持期に入り症状が安定しても、脳神経のアンバランスはまだ続いていますから、原則として半年から一年は同じ量の薬を飲み続けることが大切です。
 うつ病は、慢性化しやすく、再発しやすい病気です。慢性化や再発を防ぐためにはそれだけの期間薬を飲み続けることが大切です。


・生涯服薬を検討した場合
 これまでにうつ病に3回以上かかっている人。
 これまでにうつ病に2回以上かかっている人で、
 双極性障害や反復性のうつ病にかかったことがある人が家族にいる場合。
 最初のうつ病が二十歳前に起きている場合。
 薬をやめてから1年以内に再発している場合。
 過去3年以内に重いうつ病を起こしている場合。

 このようなときには、生涯にわたって抗うつ剤を飲み続けた方が良いと考えられています。


・抗うつ薬使用中の躁状態
 抗うつ薬を飲んでいる患者さんに一時的な躁状態(非常に気分が高ぶるとともに、活動性も増して「今の自分は何でも出来る」と思ってしまう状態)が現れることがあるので、注意が必要です。この状態が続くと、普段はしないような行動や言動により、トラブルを起こしてしまう場合があります。


  ⇒心理療法~こころの見方~


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