小説家わかつきひかるのブログ

2012/10/29(月)22:25

ファンレターは開封されてやってくる。

私はたいしたことのない作家ですが、それでもごくまれにファンレターを頂きます。 編集部からゲラ(著者校正原稿)や契約書、あるいは増刷のときの見本誌に同封されて送られてくるのですが、ファンレターはすべて開封済みです。 これは編集者が、おかしなものが入ってないか、悪意あるものではないか(カミソリ入りとか呪いの手紙とかチェーンメールとか)チェックしてから、作家に渡すからです。 いろんな社で仕事をしましたが、ファンレターの開封はどの社も同じでした。 正直、カミソリ入りの手紙なんか受け取ったら怖いので、編集者の手紙のチェックはほんとうにありがたいです。 唯一、例外があって、ファンレターが年賀はがきで来たのですが、それが悪口の手紙でした。 「荷物、ついた?」編集者が電話をかけてきました。私は抗議しました。 「こういうファンレターは、作家に送らないで、編集部で処分してください」 「うん。僕もどうしようか悩んだんだけど、この年賀はがき、当たってるんだよね」 「えぇぇー!?」末等の切手シートが当たっていました。 「やっぱりイヤだったかな? ゲラと一緒に送り返してくれたらこっち(編集部)でシュレッダーにかけるけど」 「いいえ、この年賀はがき、ありがたく頂きます」 作家には運も大事。まして年初から運が良いというのは、一年間いいことが起こりそうでうれしいのです。 当たりクジだと知ったとたんに、いやだったはがきが、ツンデレ美少女のラブレターに変身しました。 編集者ってあちこち気を遣うんだなぁ、と感心した出来事でした。 編集者って調整能力に長けていないとつとまらないんでしょうね。編集者のすごい仕事ぶりを垣間見るたび、ありがたいなぁと思います。

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