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小説家わかつきひかるのブログ

小説家わかつきひかるのブログ

2017.09.27
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今締め切り前(月末が納品日)で忙しいので手短に。

私は出版社倒産による印税の不払いを二回体験しています。
不払いが続き、少額訴訟をして原稿料を取り戻したあとで倒産したところも一社あります。

倒産した三社とも、倒産の兆候はありました。

A社は、いままで二ヶ月後振込だったのが、三ヶ月後振込になりました。
資金繰りに窮して、支払いを先送りしようとしたのでしょう。
私は本来なら印税が支払われるはずだったのに、一ヶ月延ばされたことで不払いをくらいました。

B社は、市場シェア率が小さい割には、初版数が多かった。
初版数が多いというのはいいことのように思えますが、出版社がたくさん本を作れば、たくさん儲かる(現金になる)からだと聞きました(もちろんその後返本がはじまるわけですが)。

少額訴訟をしたC社は、原稿料をそもそも払ってくれませんでした。何度電話をしても経理に請求書を送ってもファックスしても無視されて、逆ギレして怒鳴られるしまつ。資金繰りが悪いので払えませんと堂々と言われました。

倒産した場合、残ったお金は、まず従業員の給与にあてられます。
その後、債権者に分配されますが、お金がないから倒産したのですから、支払われる額はわずかです。

A社は70万の印税が99160円になりました。振り込み手数料840円(当時の消費税は5%でした)引かれていたのが悔しかったですね。

出版社が倒産すると、管財人(弁護士)に出版権が移行します。
出版権は財産権なので、譲渡ができるのです。

A社は、資産管理会社の弁護士が、出版権は作家に返す、という書類を送ってくれました。
B社は、出版権は主張しない、自由に他社から本を出してください、という文書を送ってくれました。

債権者集会とかもありますが、作家が第一にしなくてはならないことは、出版権の確保です。
契約書には、出版権は三年、その後自動継続とありますが、支払いが遅れるとか、なんかやばそう、と思ったら、私は自動継続させずに出版権を消滅させています。

なお、C社は、私が原稿料20万を取り戻した数年後、大型倒産したのですが、債権額は約10億。うち金融債権は約3億、一般債権約7億円でした。
金融債権は銀行から借りた借金、一般債権は家賃や私たちライターや漫画家さんへの支払いです。

このC社はあくどいところで、編プロへの支払いも、フリー編集者も作家もライターもモデルさんも、何年にも渡って踏み倒しまくっていました。そして倒産で7億の債権を消滅させたあと、まったく同じ名前で営業を継続しています。

一日でも支払いが遅れたら、すぐさま問い合わせましょうね。経理上の手続きの問題と言われても、絶対に引き下がってはダメですよ。

出版業界はお花畑ではありません。
成功と大金と夢がある一方で、闇と絶望も転がっています。

こういう日記を書くと、出版業界に夢を抱いている人たちが私を攻撃してくるのですが、闇と絶望があることをわかったうえで、絶望を上手に無視して、闇に呑まれることなく、成功をつかみ取ってほしいなと思っています。


C社とのいきさつは、この電子書籍に詳しく書いています。






最終更新日  2017.09.28 04:43:13



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