頑張れ!「お父さん」応援SHOP!

2012/11/18(日)12:03

今ドラフトは“右投右打”が大人気!!統一球が変えつつある強打者の条件。

プロ野球(メジャー)(1064)

 今年のドラフトは多くの見どころがあった。  藤浪晋太郎、東浜巨らの交渉権争奪戦、菅野智之の巨人入りの成否、そしてメジャー挑戦を表明した大谷翔平――。  これらは、すでに様々な形で報道されているが、実はもう一つ大きな見どころがあったことが意外と知られていない。  それは、右投右打の野手が大幅に増え、右投左打の野手が大幅に減ったことだ。過去5年間の推移を見ていこう。 ■2012年ドラフト 右投右打の野手 ⇒ 23人 右投左打 〃   ⇒  5人 右投両打 〃   ⇒  2人 左投左打 〃   ⇒  0人 ■2011年ドラフト 右投右打の野手 ⇒ 18人 右投左打 〃   ⇒ 13人 右投両打 〃   ⇒  0人 左投左打 〃   ⇒  2人 ■2010年ドラフト 右投右打の野手 ⇒ 18人 右投左打 〃   ⇒ 10人 右投両打 〃   ⇒  0人 左投左打 〃   ⇒  1人 ■2009年ドラフト 右投右打の野手 ⇒ 18人 右投左打 〃   ⇒  9人 右投両打 〃   ⇒  0人 左投左打 〃   ⇒  1人 ■2008年ドラフト 右投右打の野手 ⇒ 15人 右投左打 〃   ⇒  5人 右投両打 〃   ⇒  1人 左投左打 〃   ⇒  4人  これまで右投左打の野手がいかに多く指名されていたかわかる。当然、そういう傾向が生まれたのは右投左打の有効性をプロ野球界が信じたからである。  '08年以降、打撃10傑に占める右投左打の割合を次に紹介する。 ●セ・リーグ '08年 5人 '09年 4人 '10年 4人 '11年 5人 '12年 2人 ●パ・リーグ '08年 2人 '09年 5人 '10年 3人 '11年 7人 '12年 5人  右投左打のヒット量産ぶりがうかがえる。左打ちは一塁ベースに近い利点があるので、内野安打を稼げる。さらに先発投手は左腕より右腕のほうが多いので、左打ちの有効性が発揮しやすい。これらのことが右投左打の有効性の根拠になったわけだが、昨年球界に革命がもたらされ、右投左打の神話は崩壊した。その革命とは統一球の導入である。 飛びづらい統一球の導入で“右投左打の神話”が崩壊。 ●セ・リーグ '10年 863本 '11年 485本 '12年 454本 ●パ・リーグ '10年 742本 '11年 454本 '12年 427本  '11年から本塁打数がどんどん減っていくさまが手に取るようにわかる。  そして、本塁打数の多寡は、現在のところ、見事にチーム成績に反映されているようなのだ。統一球が導入された'11年以降のチーム成績と本塁打数を紹介する。 ――'11年―― ●セ・リーグ 1位 中日 82本 2位 ヤクルト 85本 3位 巨人 108本 4位 阪神 80本 5位 広島 52本 6位 横浜 78本 ●パ・リーグ 1位 ソフトバンク 90本 2位 日本ハム 86本 3位 西武 103本 4位 オリックス 76本 5位 楽天 53本 6位 ロッテ 46本 ――'12年―― ●セ・リーグ 1位 巨人 94本 2位 中日 70本 3位 ヤクルト 90本 4位 広島 76本 5位 阪神 58本 6位 DeNA 66本 ●パ・リーグ 1位 日本ハム 90本 2位 西武 78本 3位 ソフトバンク 70本 4位 楽天 52本 5位 ロッテ 64本 6位 オリックス 73本  大まかに本塁打の多い球団がAクラス、少ない球団がBクラスという傾向になって表れている。そして今年は、本塁打を10本以上打っている選手がパ・リーグ10人、セ・リーグ17人いて、このうち右投左打はセの阿部慎之助(巨人)、ブラゼル(阪神)、筒香嘉智(DeNA)の3人しかいない。あとの21人は右投右打で、3人が左投左打である。こういう結果が出るとドラフトで右投左打は指名しづらい。  毎年のように本塁打不足に悩まされている広島が1位で超高校級スラッガー、高橋大樹(外野手・龍谷大平安)を指名したのを筆頭に5位まで野手を指名し、その全員が右投右打だったことは象徴的である。同じようにDeNAも3人の野手を指名し、全員が右投右打だった。 WBCのチーム編成でも右投左打の偏重は慎むべき。  WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が近くなると野球ファンならオールジャパンの編成が気になる。'09年は野手15人中、右投左打が8人もいて、左投左打の稲葉篤紀を入れれば左打ちが9人になり明らかにバランスを欠いていた。優勝したからそれでいいだろう、という意見もありそうだが、韓国戦では左腕・奉重根(ボン・ジュングン)と3回対戦し、3回とも抑えられた。 3/9 韓国1-0日本 5.1回、3安打、2三振、0失点 3/17 韓国4-1日本 5.1回、3安打、1三振、1失点 3/23 日本5-3韓国 4.0回、6安打、1三振、1失点  奉の2勝0敗、防御率0.61という成績を見れば、左打者偏重の日本チームに対して左腕がいかに有効だったかわかる。とくに奉のように縦の変化球を交えた緩急を得意とする左腕に日本は弱い。1球団のアンバランスなチーム編成がジャパン全体のアンバランスにつながっているので、過度な右投左打の増殖は抑えるべきという意見はもっともである。 左右打者のバランスの取れた選手構成が重要である。  そう言う一方で、持ち味はなくしてはならないという意見にも納得できる。  結局、要はバランスなのである。  本塁打数が毎年上位で、野手陣の左右バランスも取れている巨人、中日、ソフトバンクが今ドラフトで辻東倫(菰野→巨人3位)、古本武尊(龍谷大→中日3位)、溝脇隼人(九州学院→中日5位)、高田知季(亜大→ソフトバンク3位)という右投左打を指名しているのはまったく気にならない。  何度も言うようだが、大切なのはバランスである。左右打者のバランスの取れた選手構成、という問題を改めて提示してくれた今年のドラフトは、私にとって藤浪の去就や大谷の去就よりはるかに興味深かった。

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る