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aituに乾杯

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2019.04.05
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カテゴリ:おもひでぽろぽろ

                                                                              
近くの神社の神様

子供のころ
風の強い夜
庭の松の木の枝がときおり軒先をたたく
もくれんの葉が雨戸をさする
怖がって
弟とふとんにもぐり込むと
「風の神さまが来てなさる」
夜なべの縫ものの手を止めて母が言った
こんばんは とでも言いたげな母のやわらかな口調に
俺たちは安心して眠りについた

そうかと思うと
五右衛門風呂の風呂焚きをしながら
火遊びでもしようものなら
火の神さまが怒って 焼き殺さるっど!!
母は鬼のような顔をして怒鳴った

裏山で仲良しになった炭焼きのおじさんは
大きな窯のてっぺんからもくもくと立ち昇る白い煙を見ながら
山を大事にすれば山の神さまがご褒美をくれると言った
その頃の少年にはよくわからなかった
手伝ったお礼におじさんがくれた昼飯のおにぎりの方が
よっぽどのご褒美だった

その後の経済成長の時代
大人たちはみな都会に現金収入を求めて出稼ぎに出た
里山は荒れた
山の神さまもご褒美をくれなくなった
おじさんもいつの日か来なくなった
土の窯だけが草に覆われて残った

小さいころはあちこちにいたたくさんの神さまが
大人になるにつれどこかへ行ってしまった

どこに行きなさったのだろうと思っていたら
こんな所にゐなさった
 






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最終更新日  2019.04.05 18:02:59
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