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aituに乾杯

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枯れるまでの時間

2019.08.31
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カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
深い森の
樹齢を問う者もいない檜の大木の下に
ぽつんと緑の記憶が立っていた
どこからか童たちの笑う声がする
楽しそうな声だ
追いかけようとしたけれど
そこを決して動いてはならないと言われた
童たちの誘うような笑みが遠のいてゆく
上空で
ざわざわっと葉のこすれる音がしたかと思うと
それっきり静謐な森の闇が残った
すると今度は
かすかに僕の名を呼ぶ声がする
後ろの方だ
あれは年老いた母の声だ
すすり泣いている
泣きながら僕の名を呼んでいる
鍾乳洞の中の反響音のようにそれは
この世にないほどの暗い悲嘆の声だ
思わずふり返ろうとする
でも 決してふり返ってはならぬと言われた
母の声には苦痛が滲んできた
助けを求める母の声に踵を返してふり向いた

深い森の中で
僕は名もない一個の小石になっていた
 






最終更新日  2019.08.31 09:10:40


2019.07.26
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
「人間には、悲しみから回復する力が備わっている」

我が家のトイレには昔から
ちょっとした薄めの本を差して置ける 状差しのようなものが設えてある
大きな本などは置けないけれど
文庫本や小雑誌のようなものを数冊 家族が好き好きに置いている
用足しの間に それこそ気が向けば好き好きに読んでいるようである

先日 
何気なく開いたPHP8月号(娘が置いたのだろう)の
とあるページに目が止まった
ノンフィクション作家の柳田邦男さんが 
いい言葉、いい人生 のコーナーで特集されていた
目に止まったのは冒頭の言葉

二年前に妻を亡くしてから悲しみは時が解決してくれると
ここでも書いてきた 時という薬に勝るものはないと
けれども そうではなかった
ぺしゃんこになっていた自分の胸のどこかに
もがきながらも
そういう力が潜んでいたのだ
自分のどんな力だったのか どこの器官がどう歯をくいしばったのか
破裂しそうな思いの心臓の弁をどう調整したのか
まったく自分ではわからない
けれども 
そうやって世間の同じような人々と同様に
少しずつ笑みを取り戻せてこれたのは何も無機質な時のおかげではなかった
自分のがんばりもあったのだ

今日は
この冒頭の言葉にはっとした自分を褒めてやろう
 

   PHP令和元年8月号 柳田邦男「人間、死んだら終わり」ではない より







最終更新日  2019.07.26 16:30:06
2019.07.21
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
昔々のモノクロの刑事ドラマの取調室
小さな机に容疑者と対峙する刑事の額には大粒の汗
その後ろでは古い扇風機がブンブン音を立てて回っている
おもむろに芦田伸介は扇子を広げ
それをゆっくり扇ぎながら
「で、どうなんだ?」
独特のしわがれたような低い声で問う
ムッとする熱気が画面のこちらまで入ってくるような気がした

扇は中国の団扇に対して
平安時代初頭に日本で創案された
と手持ちの歳時記に

今年の誕生日には
娘らからこの扇子を贈られた
ああ 俺もこういうものを贈られる年になったかと
少々 寂しい気持ちもあったけれど
なかなかどうして 使えば使うほど便利なものだ
エアコンの効いた部屋でも
暑い外から汗だくで入って来た時など
室温になじむまでの扇子の風は心地よい

かの芦田伸介きどりで煽っている自分がいる
 






最終更新日  2019.07.21 12:53:18
2019.07.02
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
四や九を不吉な・・・ 

と言ったらバチがあたるかも

もう一度 子供に戻りたくなってきた
 
 
 
       2019年7月1日 読売新聞朝刊より
 ​






最終更新日  2019.07.02 06:00:07
2019.06.18
カテゴリ:枯れるまでの時間



                                                                              
避難訓練 というよりも
避難所に避難してきてからの訓練
避難所訓練
と言った方がいいかもしれない

昨年の大阪北部地震(6/18)の教訓を踏まえて
市全体で行なわれた第1回目の訓練

小学校のグラウンドに避難してきた所から始まる

体育館の避難所に入る優先順位や避難所での受付での対応
市や各避難所に備蓄している
ダンボールベッドや簡易間地切りの組み立て方
避難所での過ごし方 ルール 衛生面での注意事項等々

市の職員に帯同して
地元の中学校の生徒約30人もボランティアとして参加して
きびきびと準備や片づけをこなす姿は
見ていて気持ちよかった

何もないことを祈るばかりだけれど
この地球の歴史を見る限り
何もないことの方が
めずらしい
 






最終更新日  2019.06.18 06:00:06
2019.06.10
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
阪神の原口選手サヨナラ打

「野球の神様は見ているんだな」
どこかの監督がふともらした言葉
本当に神様がお膳立てをしたとしか思えないような場面
スタンドには涙を浮かべてバンザイをするファンもたくさんいた


誰も足を踏み入れたことのないような山奥で
人知れず咲き 人知れず枯れ 人知れず散る
美しい花もある


人知れずコツコツと努力をしている人は
世の中に数えきれないくらいいらっしゃる
それが報われるのはほんの一握りの人かもしれない
でも
この国の人々は昔からいいことを言った
「お天道様が見ている」

どんな山奥にでも
どんな地上に隠れた星にでも
見上げれば広い空がある
誰も見ていなくてもお天道様が見ている
それは いいことも 悪いことも すべて

おてんとさまが見てるぞっ!
小さいころよく言われた
 






最終更新日  2019.06.10 11:00:06
2019.05.29
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
前の日で止めておきたき夏の朝
 
 

痛ましい悲惨な事件がまた起こった 

この前の記事でも書いたところなのに

僕が通勤の朝の車のハンドルを握っていたころ

遠くの地の 同じ夏の朝

幼き悲鳴が次々と上がっている

事件のニュースを見るテレビのリモコンの

一時停止や戻しのボタンから目が離れない

もう一度

昨日に戻してもらいたい


 







最終更新日  2019.05.29 06:00:10
2019.05.20
カテゴリ:枯れるまでの時間
 
 
                                                                                              
電車に乗るのと
遊園地のメリーゴーランドに乗るのとでは
同じ料金でもわけがちがう

同じ料金なら
片方はなるべく早く目的地に着いてほしいので
乗る時間は短い方がいい
片方はできるだけ長い時間乗って楽しみたい

鉄道の世界に初めて急行というものが登場した時に
乗る時間を短くして 料金が高くなるとはけしからん
という抗議があったそうな

今では笑い話になるような話でも
当時の価値観では当たり前だったのかもしれない

便利な世の中で
スマホに鉄道のアプリなど入れておくと
時刻表はもちろん 乗換案内も速さ 乗換回数 料金と
優先するもの別に細かく表示してくれる
そして
電車が遅れていたりするとその運行状況をポップアップで知らせてくれる

このごろ気になることがある

台風のシーズンでもないのに
その運行状況の遅れがしきりにスマホの画面にあらわれる
事故なら どこそこの踏切でとか詳細を報告するのに
最近は単にどこそこの駅で「人身事故」と出るだけである

何時何分ごろ
ああ 自分はそのころ仕事場に着いて
コーヒーでもいれながら仲間と談笑していた

新聞で哀しい事故でもあると
その起こった時刻に目がゆく
そのころ自分は何をしていただろうと思い返す
自分がこんなことをしていたころ
俯瞰する他の場所では
慟哭の悲しみが起こっている

どうにもできないことなれど
時間をもどせるならと思わずにはおれない

枯れるまでに散る命が多い



          ​ ― 記事内容と写真は関係ありません ―​






最終更新日  2019.05.20 13:09:16
2019.05.17
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
休みの日はよく自転車で
淀川に沿ってのサイクリングロードを走る
遠くに見えるあの山は天王山
麓にはサントリーウィスキーの山崎蒸溜所もある
あの山の向こうには
かつての京の都があった
諸々の武将たちが上洛を目指した戦国時代
ここらあたりで
鎧の紐を締め直し 馬上から我のように
あの空を眺めたつわものがいたかもしれない

ちょっと ひと休憩しながら
そんなことを考えたりしている
 
山は動かず
川の水はとどまらず






最終更新日  2019.05.17 16:16:32
2019.05.11
カテゴリ:枯れるまでの時間

                                                                              
畑一面に咲く

この春の季語も

俳句の上ではもう忘却のもの

今 目の前にある花を

歳時記は

それもちょっと時差ボケの

昔ながらの歳時記は

暗黙の了解のもと 決まり事で始末する

季ちがい というらしい

結社の長老が真っ先に指摘する

鬼の首でも獲ったように
 






最終更新日  2019.05.11 06:00:12
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