東京今昔物語 (写真の世界 http://wakowphoto.world.coocan.jp/ より)

2017/03/03(金)20:50

新宿 南口は新宿の新開地

新宿三丁目も新宿歌舞伎町も既存の街を再開発したものでした。新宿西口は淀橋浄水場という広大な跡地の再開発でした。それに対して新宿駅南口は、新橋・汐留地区や品川地区と同じく、国鉄清算事業団所有の鉄道跡地の再開発です。 新宿南口地域の本格的開発は、1996年に国鉄清算事業団が貨物操車場跡地を再開発したビルに高島屋が出店したことで始まります。1997年には JR 東日本の本社が東京駅前から鉄道線路を挟んで高島屋の反対側に移転してきました。1998年にはその隣に小田急サザンタワーが建設され、上層階には小田急センチュリーホテルが入りました。 (写真1、2) 写真1 新宿南口の高島屋デパート 写真2 中央がJR東日本本社ビル、その左が小田急サザンタワー それより前、1995年には国鉄清算事業団が新宿マインズタワーを建設しており、また、2000年には少し離れた代々木駅の東側に NTT ドコモ代々木ビルが建ちました。ニューヨークの摩天楼のようなデザインで、新宿一帯では東京都庁第一本庁舎に次いで高いビルです。 (写真3) 写真3 NTTドコモ代々木ビル 新宿南口地域は、再開発が始まったのは90年代後半からで、新宿全域では後発の新開地です。しかしこの地域の立地条件は他の地域より有利でした。と言いますのは山手線の中でも新宿駅と代々木駅の両駅は一番近接しているので二つの駅を利用できるからです。もともと新宿駅と代々木駅との間隔は短かったのですが、新宿駅のホームの延長工事で両駅間の距離は100メートルに縮まりました。 ですから南口の再開発が始まると、そのテンポは早いものでした。いま南口で進行中の開発事業は、新南口駅舎を超高層ビルに置き換える事業です。旧来の新宿駅南口改札を出て甲州街道を渡ったところに、いま巨大なビルの建設が始まっています。それは南口駅舎跡地に「新宿駅新南口ビル」を建設する事業です。(写真4、5) 写真4 新宿駅新南口ビル基礎工事現場 写真5 建ち上がりつつある新宿駅新南口ビル、その後ろにJR東日本本社ビルが見えます。 この「新宿駅新南口ビル」は「新宿駅南口地区基盤整備事業」の一貫として建設されており、基盤整備事業の最終段階の工事です。既に基盤整備事業としては甲州街道を都心部に通す新宿跨線橋を拡幅補強して付け替える工事が完了しています。新宿の東側と西側は、新宿駅の南端ではこの新宿跨線橋を渡って繋がり、北端では大ガードを潜って繋がりました。 「新宿駅新南口ビル」はその新宿跨線橋と並んで鉄道線路に跨がるように建ちます。ビルの下には山手線、中央線、埼京線、湘南新宿ライン、貨物線が走るので鉄道線路上空部に人工地盤を構築し、その上に聳え立つのです。このビルは高さ170メートル、33階の超高層ビルになるそうです。 このビルの完成で新宿南口の新開地事業は一段落します。このビル完成の隠された利点は、ビルの地下1、2階が高速バスの発着場、駐車場として整備されることです。東京駅八重洲口には長距離バスの発着場があり、鉄道との連絡が良いですが、新宿にはそれが今まで無く、高速バスターミナルは駅から離れた西口市街に散在しているだけでした。 新宿全域を見回しますと、東京都内では最初の超高層ビル群が西口の淀橋浄水場跡地に誕生し、それから20数年経て南口にもう一つの超高層ビル群が完成することになります。 前者は散在型、後者は密集型の超高層ビル群ですが、新宿の街は、新宿駅を囲んで西南方面は高層の街、東北方面は低層の街が広がります。(写真6) 写真6 新宿口より東北方面には三丁目、歌舞伎町の低層街が広がる。遠方に池袋サンシャインビルが見える。 (以上) 人気ブログランキングに参加 人気ブログランキングに参加しています。応援をよろしくお願い致します。 人気ブログランキングへ

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