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カテゴリ:雑記
※若干加筆修正しました。
最近ようやく「ダ・ヴィンチ・コード」の原作本を読んだ のだが、読破して初めに思うのはやっぱり、これってどこ まで本当のことなんだ!?ということ。 次から次へと出てくる謎解きが面白くてつい読み進んで しまうわけなのだが、その謎解きのもとになっている エピソードが果たしてどこまで本当なのか。 そこで、聖書にも造詣の深い、知り合いの歴史学者に話を 聞いてみた(ネタバレがいやな方はご注意ください)。 まず結論から書くと、厳しく言って8割が嘘。 例えば、源義経は海を渡ってチンギス・ハーンになった という説がある。確かに源義経もチンギス・ハーンも 実在の人物だけど、そこを結び付けられる可能性は限り なく0に近い。それと同じことだと。 「ダ・ヴィンチ・コード」で主題とされている「マグダラのマリア とイエスは結婚して子どももいた」という話は、聖書を編纂する ときに採用されなかった周辺文書=“外典”で実はお馴染み の話で、この“外典”には他にも「イエスは双子だった」「磔に なったのは身代わりだった」など、義経=チンギス・ハーン説 レベルの話がうようよあるらしい。 また聖遺物の探索についても、十字軍がエルサレムを奪還しに 行った時に聖槍(イエスを磔にした槍)を見つけた、という歴史的 にも記録のある有名な話には一切触れず、記録にも残っていない テンプル騎士団の聖杯探しにばかり言及するのは相当無理が あると言う。 ちなみに聖槍だって、冷静に考えれば1000年以上も槍が残って いるわけないし、100歩譲って槍を発見したのが本当だとしても、 どうやってそれでイエスが刺されたと証明できるのか。 結局、キリスト教がヨーロッパに本当に根付くまで、イエスの 死から1000年近く掛かっているため、色んな事情で様々な地方 の人たちが後づけで無理な伝承を作って来たという流れとなり、 そこから面白い話だけ選んで都合よく切り貼りしたのが「ダ・ ヴィンチ・コード」であるという結論だった。 ただ、この歴史学者の話は、私がこの本についてどこまで史実 なのか、という聞き方をしたからこういう厳しい言い方になって いるだけであって、小説として考えるとよくこうもパズルを きっちり組み合わせたなと感心していた。 そして、この時期に発表したということも非常に絶妙なタイミング だったという。日本人にはあまりぴんと来ないけれど、キリスト教 信者には「天地創造後6000年 = 西暦2000年前後でこの世は 終末を迎える」という感覚を持ち続けている人も多いため、今は 信仰に対してナイーブになっている時期らしい。 加えて、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」が近年修復されて、今まで 見えていなかった詳細部分までが人々の注目を浴びているという タイミングにも重なった。 それが、今回の世界レベルでの大ヒット、或いは上映禁止という 大きな反応につながったのではないか、ということだった。 …というわけで、歴史学的に見ればびっくりの展開のようだが、 その組み立ての妙を楽しめばよいということがわかったので、 次は単純に映画の方を見て楽しみたいと思っている。 ※ 上記には宗教的な内容も若干含んでいるので、不愉快に 思われる方がいらっしゃいましたらお詫び申し上げます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 20, 2006 09:54:02 PM
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