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カテゴリ:木材のこと
日経エコロジー6月号に、コベルコ・ビニループ・イーストが
千葉県富津市で塩ビリサイクルシステム「ビニループ」の稼動を始めたとの 記事がありました。 (日経エコロジー6月号は8日発売のはずですが、なぜか昨日私の手元に来ました) ビニループの処理フローが塩化ビニル環境対策協議会のサイトに出ていましたので 引用します。 (以下、塩化ビニル環境対策協議会のサイトより引用) ■ビニループ・プロセスの処理フローと特徴 ビニループ・プロセスは「ビニールがクローズド状態の円環(LOOP)の中でリジェネレイト(全く新しいコンパウンドとして再生)される」ことから名づけられたもの。処理フローは大きく、(1)溶解工程、(2)分離工程、(3)沈殿・回収工程の3つから成っています。 まず、粉砕した塩ビ混合製品を有機溶剤で塩ビのみ溶解させた後、溶解しない他の素材をフィルターで取り除きます。次に、塩ビ溶液からスチームで溶剤を蒸発させ、塩ビを粒状に固化沈殿させて、300~500ミクロン程度の均質な粒子として回収します。蒸発させた溶剤は冷却凝集し、99.9%以上が回収され溶解工程に循環再利用されます。また、可塑剤や添加剤も塩ビとともに回収するため、再利用する時に可塑剤、添加剤を加える必要がないという点もメリットになっています。 (ここまで塩化ビニル環境対策協議会サイトより引用) ビニループのプラントが稼動を始めたので、塩ビ業界は 「リサイクルできるプラスチック」というキャッチフレーズで塩ビを宣伝すると 予想しています。 私は、このニュースを見てかなりの衝撃を受けました。 塩ビのリサイクルシステムが確立したということは、塩ビを使う建材にとって 大きな追い風になると思われるからです。 仕組みから考えても、低コストのリサイクルシステムと思われますので ビニールクロスや樹脂サッシ、塩ビ雨どいなど 塩ビを使った建材のリサイクルには大いに活用されるでしょう。 既存の塩ビ廃棄物が大量にありますし、廃棄物再利用ができるシステムが できたことは、意義のあることだと思います。 ただし、塩ビシート貼り建材のリサイクルには向かないシステムだと思われます。 フローの中で一度溶解させるので、ある程度塩ビの純度が高い廃棄物でないと リサイクルはできないでしょう。ビニループでも、塩ビシート貼り建材は リサイクルできないと思われます。もし、ビニループに塩ビシート貼り建材を 投入しようとするならば、塩ビシートと基材(芯に使った材料)を分離することを 求められるでしょう。 塩ビシートの分離は、人件費を考えると事実上不可能と思われます。 塩ビは、プラスチックの中でも石油の割合が少ないという特徴があります。 しかし、燃えると有毒の塩化水素ガスを出すという大きな欠点があり、 住宅の中に使いたくないプラスチックであることに変わりはありません。 今後、石油が高騰してくることが予想されます。 そのときに、石油の割合が少なくてすむからといって塩ビの生産を 増やすことには、私は賛成できません。 塩ビも、石油製品であることに変わりはありません。 持続可能な社会(=サステイナブルな社会)をつくるためには 塩ビをはじめとしたプラスチック(石油製品)依存度をできるだけ下げることが 今、やるべきことではないでしょうか。 特に、塩ビやオレフィンなど、樹脂シート貼りの建材は 廃棄物としての性質を考えた場合、間違ってもサステイナブル建材とは言えません。 繰り返しますが、ビニループでも塩ビシート貼りの建材は救えません。 もっとサステイナブルな建材を使いましょうよ。持続可能な明日のために。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.07 18:23:14
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