2012/12/26(水)03:50
ゲネプロ、初ソロ
さていよいよH村男声合唱団とのゲネプロ。
H村は私たちが住んでいる町からは大きな街を挟んで反対側にある別の谷の、しかも結構奥地にある。
H谷鉄道の列車に乗って行く。
これがまたものすごく険しい斜面が曲がりくねった狭い谷で、東京育ちの私なんか、車窓を眺めているだけで遠足気分が盛り上がってわくわくしてくるような山間だ。
と言っても、この時期の夜7時と言えば当然、真っ暗で何も見えないんだけど
途中の駅で先生やクリスチアンネとも無事合流して、ガタゴトと列車に揺られて行く。
H村の駅に到着して列車から降りると、ホームは雪に覆われていた。
私が住んでいる場所も1000mの山から吹き降ろしてくる風のせいで結構気温が低いんだけど、やっぱり標高280mと800mでは世界がまったく違う。
駅から雪道を歩いて教会へ向かった。
この村は、観光地、特にウィンタースポーツの地として有名で、上品にイルミネーションで飾ったホテルのこの地域特有の建築様式に似せて作られた大きな建物がいくつも暗闇の中に浮かび上がっていた。
教会へ入って、オルガンの設置してあるバルコニーに上がり、まずは簡単なEinsingenから。
男声合唱団メンバーのEinsingenをしている時に、オルガニストも到着した。
In dulci jubiloを当日演奏する順番にそって歌っていった。
前奏はどうするか、伴奏はどのくらい入れるか、どのレギスターで弾くか、音量はどのくらいか、など、一つ一つオルガニストと確認しながら進んでいった。
ゲネプロだし、緊張しているという意識は無かったけれど、声を出す瞬間になって、自分がナーバスになっていること、体が固まっていることに気づいた
2人で良かった。1人だったらもっとガチガチになっていたと思う。
しかし、ブリギッテの声がますます聞こえない気がする。
風邪を引いていると言っていたが、確かに練習の時よりも声が出ていないし、FisにもGにも届いていない気がする。
ソロでは2人で同じ旋律を歌うので良いのだけれど、デュエットではかなり歌いにくかった。
出だしはブリギッテがひとりで歌い出すのだけど、すぐ隣にいる彼女の声がものすごく小さく聞こえる。
空間が広いせいなのかもしれない。
しかもオルガンもすごく小さな音量で弾いているので、歌っていると伴奏の音がほとんど耳に入ってこない。
・・・って、私たち、そんなに声が小さいってこと?
そして問題の2か所、、、やっぱり片耳を押さえてしまった
毎日少なくとも2回は歌ってるんだけどなあ。
やっぱり生身の人間に隣で歌われると違うんだよなあ。
なんていうか、もう、空気で圧倒されて、バリアで入れてもらえないような錯覚に陥る。入れない空気。
片耳を押さえれば問題なく入れるんだけど。
本番までまだ5日あるから、それこそ耳にタコができるくらい、もう少し頑張ってみることにする。
と、数回歌い終わったところで、見ると先生の顔が曇っている。オルガニストも何やら言いたげな顔をしている。
最後の音が、低いのよね ・・・ソロを2回歌う?
えええええ、ちょっと待って、どういうこと??
どうやら、音程が下がっていて、伴奏のオルガンとずれてしまっているらしい。
するとオルガニストが、「それじゃあ、歌う旋律を弾いてあげるよ」ということで、もう一度歌ってみた。
音程が下がっているという感覚はまったくなかったものの、気をつけて、高めに高めに音を出すように歌っていったら、確かに「あ、この音はさっきよりも若干高いな」という部分が数箇所あった
うん、マシになった
うーーーん、これで”マシ”かあ、そうかあ、参ったなあ
どこが悪いのか分からないと直せないと思ったので、
どこが低かったの?
と思い切って聞いてみると、オルガニストが口を開いた
Fisが低いんだよ。そこから押し下げられて低くなっていく。
え、私、Fisなんてないんだけど、と思ったら、ソプラノ1だった。
そうか、ブリギッテ、風邪引いてるって言ってたから、声が届かないんだ。
本番までに治ると良いけど。
そしてもう一度、高音に届かないのは仕方がないけど、一緒になって音程を押し下げないように注意して、少し高めを目指して歌ってみた。
するとようやく「良かったわ」のお言葉が。
ってことは、やっぱり私のせいか
3声のアンサンブルは特に問題もなくバッチリ。やっぱりこれが一番楽だわ。
もう一つの問題は「Alleluja」
曲のテンポが練習してきたテンポよりも早くて、コロラトゥーアっぽい部分がついて行けない。
男声が歌う、誰でもよく知っているメロディの上をヒラヒラ飛び回らなければならないのだから天使も楽じゃない。
一度歌い終わったところで先生がクリスチアンネに、「ソプラノ聞こえた?」と聞いた。
「低い部分は聞こえないけど、高音域は聞こえるわよ」とクリスチアンネ。
すると男声のひとりが「歌ってたの?全然聞こえなかったけど??」
当たり前だっ
ガタイの良い男声20人以上がユニゾンで力いっぱい歌ったら、いくらオクターブ上を歌っているからと言って、細い声のソプラノ2人が勝てるわけないじゃないか。
しかも、こっちには全然関心がないような感じで、自分たちだけでドンドン歌っていってしまう。
しかしこれは私たちのせいでもあった。ふたりとも本番のように前を向いて歌っていたから、後ろに立っている彼らに聞こえなくても無理はない。
K町のゲネプロでも、ソリストは本番とは違ってこちらを向いて歌ってくれる。
そこで、
ちょっと今だけこっち向いて歌ってみて
あとね、
テンポをもう少し落とすわけにはいかない? ちょっと早すぎてついて行けないんだけど
結局、オルガンが同じ旋律を弾き、男声は若干ボリュームを落としてやさしく、テンポも若干落としてもらって
もう一度歌ってみた。
すると男声から「キレイだったよ」の言葉が
下に聞きに行っていたクリスチアンネが、「高音部ではちゃんと聞こえてるわよ。低いところは聞こえないけど、おかしくはないと思う」
というのでヨシとしよう。
その後、クリスチアンネがソロを歌う2曲の合わせをやっている間に、帰りの列車の時間が迫ってきたので、ブリギッテと2人、途中で失礼した。
本番は、ゲネプロよりも出来が良いってことはないだろうからな、、、やっぱり緊張するのかなあ