エ ス テ ル の 生 活

2017/08/25(金)00:28

ヒロくんのお話

思い出(15)

だーーいぶ前ですが、お隣で飼っていた犬、名前はヒロ 拾った子犬だったのでヒロと名付けたそうです (このヒロのあとに我家でもクロを拾ったのです) このヒロくん、特技がありました ひとの背の高さのブロック塀の上を平気で走り回ってました 近所の元気なガキンチョたちが人の家の塀の上を走りまわって遊んでて それを見て育ったヒロは自分もいつかは塀に登ろうと 毎日、練習、練習、ジャンプ、ジャンプ・・・・ そして、大きくなったヒロくんはついに登れたんです と言うことはもちろん放し飼い 塀に登れたからにはもう自由自在に神出鬼没 子供たちのあとをついて走り回って自由気ままなワンコ生活 ブロック塀の上を走る姿は颯爽たるもので 私なんぞは「サーカスで活躍できるのではないか」と思ったほど 我が家とお隣との間のブロック塀の上から我家のクロを見下ろしておりました ヒロの賢いところは、そんなふうに近所の家々の塀を自由奔放に闊歩しながらも 他人の庭に下りてきたりはしないこと 我が家に訪ねてくるときも、塀の上からではなく、ちゃんと表からでした そんなヒロ、猫を追いかけて殺しちゃって・・・ 塀の上の猫、塀の上なら大丈夫と油断したんでしょうねぇ 飼い主様同士で騒動になってた様子でした で、そういうことがあったので、しばらくは、庭の中で繋がれてたんですけど 飼い主さん、ぜんぜーーん散歩とかしないんです そしたらヒロくん、キャンキャン、キャンキャン、鳴いてうるさい とうとう、また、放し飼いにもどってしまいました そして、長い時間家に帰って来なかったりして 私なんか、クロがちょっと放れてしまったりすると 心配で心配でたまらなかったのに お隣はヒロくんのことなぜ心配じゃないのかなぁ って思ったものでした このヒロくんは、いっつもノミだらけで 尻尾から腰の辺り掻きむしって毛も抜け落ちカサブタ状態 見るに見かねて、我家にて、ノミ退治をしてやると 一時的に毛が生え揃ってキレイになる でもしばらくするとまたノミだらけ どーーして飼い主さんがやってあげないのかなぁ ゴルフ三昧のご夫婦さん、ご自分の楽しみには惜しまず贅沢を ノミ取りの粉ぐらいは買ってあげてちょうだい と、いつも腹立たしく思いながらも ヒロくんを可愛がっていた私でした その当時はまだまだ放し飼いも多かった時代 そしてそこは野良犬もたくさんいる地域だったのです クロの散歩に行くとどこからともなくお供が現れて一緒にお散歩 一緒に散歩をしていた犬たちもいろいろと思いだします さてそんな環境で飼われていたヒロくんですが ある日帰って来ませんでした そう・・・保健所に捕まってしまったのです でも飼い主さん、ちゃあんと鑑札だけは付けていたんですよ 鑑札を付けていれば、飼い主さんが分かりますもんね 連絡を受けて引き取りに行って無事に帰ってきました これで懲りた飼い主さん、ちゃんと管理をするかと思いきや 鑑札さえ付けてれば大丈夫と反対に心配しなくなっちゃった 相変わらず自由奔放に塀の上を駆け巡り走り回って元気いっぱい 帰ってくれば餌をもらえて野良犬のように飢えることもなく 我が家にくれば手入れもしてくれるしニボシももらえる 誰よりも一番幸せそうな顔をしていつもニコニコ笑って 人間大好きで尻尾がいつもクルクル回って可愛い可愛い 全身薄茶色の長めの毛、耳の先がちょっと垂れてて 足先には白いソックス←クロと同じ 毎日を明るく過ごしていたヒロくんでした と、こういう日々がずーーーっと続けば ヒロくんもそれなりに幸せだったのかもしれませんでした でも、しばらくしてまたヒロくんが帰って来ませんでした 飼い主さんは再び保健所に引き取りに出かけて、 ヒロくんまた無事に帰ってきました うちの犬じゃないけど、大好きなヒロくん 良かったぁ、もう二度と捕まるんじゃないよ 遠くに出かけてはダメだよ ね、ほんとに、もう約束だよ・・ でも、、、帰ってきたヒロくん、今度はちょっと様子が違っていました それまでの明るい性格を無くしてたんです 「ヒロ!」って呼んでも反応しない 撫でても笑顔が見られない ニボシを差し出しても嬉しそうじゃない 走ることもしなくなった 塀に登るなんてことは忘れてしまった 吠えることもなく笑うこともなく フラリフラリと歩きまわるだけ 無表情なヒロくん なにも感じなくなったヒロくん 一気に高齢犬となってしまったかのよう そのうち体中のアチコチにに円形脱毛症が発症 そのときノミはいなかったので 飼い主さんも心配して赤チンを塗ってみたり ヒロくん!君はいったいどんな辛い目にあってきたのか それは想像するに余りあるものだったに違いない 恐怖か不安か・・・・絶望か 君の精神が病んでしまうほどのストレス これが君の心に闇を作ってしまったんだね どうかヒロくんが治りますように といつも願いながらそっと頭を撫でてやっても 目の輝くはすでになく、何を見て何を感じてるのか まるで虚空を見つめているようなヒロくんの瞳 ほんとに、ヒロくん、どうしちゃったの・・ そして、間もなくヒロくんの姿が消えた ヒロくん自身で私たちの前から姿を消したのです 飼い主さんは、また捕まったかと思って 問い合わせたのですが、捕まってはいませんでした 私は、ヒロくんを探して歩き回りました そして数日後、見つけました 一時間に一本くらいしか通らない電車の線路で 変わり果てた姿 電車に轢かれて、、首が何メートルも先に転がっていました なぜか、体も顔も綺麗でした ヒロくん、自殺したのかなぁ~~って感じたのです まるで首を線路に差し出すようにして・・・ ヒロくんを見つけたこと、 私はお隣には教えませんでした どうしてかな・・・このことは秘密のような気がして ヒロくんは、ヒッソリと一人で横たわって土になってほしかった ほんとは遺体をちゃんと弔ってあげるべきだったのかもしれないけど そのときは自分で選んだ死に場所で土になって、それで良いと思った そして私は、ヒロくんの首も体も、目をそらさずにシッカリと見ました それが私がヒロくんに対して最後にできたこと ヒロくんの生と死を決して忘れないために ごめんね、ヒロくん・・ それから、お隣では子猫を飼いました その子猫ちゃん、すごい下痢をしていて 「お医者さんに連れて行かれると良いのでは?」と母が言いましたら その返事が「お医者に連れて行ったって、なおりゃあしないわよ!」 じゃあ、なんのために医者は存在すると思ってるの! 自分も病気になってもお医者さんには行かないんですね! って、母と私は憤慨したものです。 その後その子猫はもとの飼い主さんへ返したとのことでした そして、間もなく私はクロを連れて東京へ引越し 次はまたまたお隣の犬で悲しい思いをすることとなったのでした 飼い主さんが悪いとか、保健所がいけなかったんだとか、 そんなふうに責める気持ちはありません 人間のいろんな都合に翻弄されて、そんなふうに生きて死んだヒロくん 気の良い野良犬たちも多くが悲しい運命をたどりました こんな悲しい犬たちがいない社会となってほしいと願うばかりです 《記事の一部を書き直しました2017.8.24》 ************************ こちらの応援ポチッもよろしく~ ◆緋佳のもうひとつのブログ⇒つばめのおうちは家の中

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