竹宮惠子作品が大好き【思い出と感想】
竹宮惠子作品への思い入れもう30年も40年も前の話になります。姉の(伯母のもしかしたら母の)ものだった本は幼い頃からジャンル問わず読書好きだった私のところに巡り巡ってやってきました。世界各国、はるか過去に忘れ去られたような時代から、未来の宇宙世界、どこにもないファンタジー世界の物語まで、数あった小説やコミックスの中でも、大量にあった竹宮惠子作品はその世界観もキャラクターたちの魅力もあって私の幼心に強烈に刷り込まれました。成長してからは自分でも買い集めたために、たぶん実家には今でも竹宮惠子第一期作品集(緑本)の「ファラオの墓」竹宮惠子全集の「ウェディング・ライセンス」フラワーコミックス版(初版!)の「風と木の詩」フォアレディコミックス版の「私を月まで連れてって!」あすかコミックス版の「>5:00 REVOLUTION」「スパニッシュ・ハーレム」「天馬の血族」文庫本の「地球へ…」「イズァローン伝説」「紅にほふ」「エルメスの道」などなどが、私室の本棚の中にきちんと鎮座ましましていることと思います。ジャンルは様々ながらすべて人にオススメできるくらい語れますともどの話のどの世界でも、少年が、あるいは少女が、夢を見たり、戦い傷ついたり、そして悩みながらも成長してゆき、そして見出す「愛情」や未来への「希望」などが描かれたものばかりです。家庭内にもいろいろとあった多感な時期にこれらの作品と出会うことができて、私がどれくらい救われたか。笑顔になれる元気や辛い朝にもまた立ち上がれる勇気をもらったか。感謝してもしきれないくらいたくさんの思い出と思い入れがあります。…余談ですが…実は上記のうち私が譲られた本のなかには「風と木の詩」フラワーコミックス版が、なぜか15巻までしか存在せず、セルジュとジルベールの2人がラコンブラード学院から出てゆくことに成功するところまでしか読めませんでした。間の悪い(良い)ことにちょうどそれは第一部の終了場面で物語としてのキリもよく、私はずっと長い間、そこで2人の物語が終了してしまったかと思っておりましたが、後になり「それからの2人がどうなったのか」という物語が存在していることを偶然知る機会があり、まだインターネットでそこまで調べたり購入したりできる時代でもなく、慌てて書店に問い合わせて購入し、あの最終回までを読み終えたという経緯があります。…正直に申し上げまして、長く愛してきた物語であるからこそ、もしも少女期にあの展開に出会っていたら心情的にかなりキツかっただろうなぁと…別作者の別作品で恐縮ですが「天の華・地の風」9巻のあそこまで紡がれた物語のあの展開で思い切り頭を殴られるかのような号泣レベルの衝撃と同等。初見当時に出会わなかったのは神の采配だったと今は思っております… 中でも好きなのが「私を月まで連れてって!」上の方で、実家で所持している作品の中に>フォアレディコミックス版の>「私を月まで連れてって!」を入れておきましたが、この作品はどうしても好きで何度も読み返したくなってしまうので、この画像の通り「完全版」を手元に置くために買ってしまいました。 竹宮惠子「私を月まで連れてって!」≪あらすじ≫近未来、宇宙旅行が普通にできるようになった時代を舞台としてESP能力を持つ少女ニナ・フレキシブルとA級ライセンスを持つ若き宇宙飛行士ダン・マイルドというちょっと不思議な恋人? として日々を過ごしてゆく2人を主人公として、そして2人をとりまく個性豊かな人々の日々を綴る、SF=すこしふしぎ、という言葉がとても似あうSFの物語です。主人公2人の恋愛を軸にして、コメディやシリアス、古今東西のSF作品やミステリ作品のオマージュが一話完結の物語の連続として語られてゆきます。彼らを取り巻く人々も、この時代のごく普通であるはずのニナの家族をはじめ、ダンのハウスキーパー、実はスーパーレディで華族のお姫さまであるおヤエさん、そのおヤエさんに求婚してくる超大富豪のハリアン・シェラトン。謎の不定形生命体ガイアに、ハウスキーパーロボットのSABURINA、さらには、たとえばそれぞれ1話限りの出演ながらもこの時代よりさらに先の30世紀からタイムスリップをしてきて30世紀にはもう失われている博物館の所蔵品を盗み出して研究しようとする美女考古学者がいたり遠い宇宙から地球に漂着し、いつか故郷の星に帰ることを願いながらひっそりと2人で暮らし、そしてその連れ合いを亡くしてしまった宇宙人の老女がいたり1話ごとにさまざまな色合いを見せてくれる印象的なキャラクターと様々なことを考えさせられる物語が紡がれています。 色褪せない世界さらにこの作品、第1話が描かれたのが今チェックしてみたら1977年、今からもうおよそ40年以上昔の作品のはずなのに、例えばvol.19 夢魔=ナイト・メアvol.51 赤いガラスの宮殿は、辛い現実に疲れて夢や幻想に安らぎを求める人々やその危うさを描いていたり、vol.8 スーパーカー・グラフィティは、リニア・カーがメインになった時代で(ドライブなどは道路に仕込んだ磁気装置で動く車で フルオートの自動操縦で目的地まで行くというスタイルです)予想外、史上初の大停電中にリニア・カーが動かなくなるなか、レトロなガソリン車が活躍する話だったり、vol.37 くれない症候群vol.40 ヤセた~い、でも食べたい!vol.46 完全なる結婚は、日々『女ってわからねぇなぁ…』と思っている諸兄に共感はせずとも理解はしておいていただきたくぜひ一度は読んでおいてほしい内容だったり今でもまったく色褪せずに読み物として十分な魅力をもって私たちの目にうつる作品です。 『fly me to the moon』「私を月まで連れてって!」すなわち『fly me to the moon』上の画像の1巻の帯を見てちょっと笑いました。まさかの庵野監督エヴァンゲリオンのルーツのひとつがここにもあったということなんでしょうか。でもあのロマンティックな古典名曲の名にふさわしく楽しくも切なく、美しくもどこか物悲しく、はるかに見上げる夜空の星々にそれぞれひとつずつ世界があるのではないかとたしかにそんな夢を見られるような物語でもあります。おそらく今なら完全版のコミックスではなくこちらを購入していたと思います。私を月まで連れてって! (1)【電子書籍】[ 竹宮惠子 ]続編の「ブライトの憂鬱」は電子書籍で購入しましたブライトの憂鬱【電子書籍】[ 竹宮惠子 ]『fly me to the moon』は色々なアレンジがありますが、この「Forever Gentlemen」のバージョンが好きです【輸入盤CD】VA / Forever Gentlemen - Version Quebecoise