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とぶわにといっしょに かんこくとあそぼ!

統制師元均、壮絶な最期

あらすじ&感想 8 ---統制師元均、壮絶な最期---

第87話 7月2日 放映

それから2年の月日が流れ、1596年。
戦争勃発から5年経ち、朝廷内でも講和により戦争に終止符を打とうとする期待が持ち上がり、ついに日本に通信使を派遣するに至った。
しかし李舜臣は未だ南海に2万の大軍が駐屯する日本との講和は、朝鮮に不利な状況を与えるだけだと、講和に懐疑的だ。

明皇帝の金印と国書を受け取ったが、秀吉が下した要求を明に明かす事もできない小西とシム・ユギョン。
挙げ句の果てに加藤清正と脇坂安治が小西等の進める講和の疑惑を暴くと、シム・ユギョンは小西に再び国書を捏造するように提案し、加藤と脇坂は他の対策を模索する。

通信使を日本に送り、帰ってきた統制営の兵士と偵察隊は尋常ではない国際政治に心が重かった。
通信使ファン・シンも日本が再び攻めてくるだろうと警戒を促し、朝廷、統制営ともに緊張しているこの時、秀吉に必ず李舜臣を除去する事を誓い命を拾った小西は、何としてでも李舜臣を戦場から引き摺り下ろすため、朝鮮朝廷の信頼を受けているヨシラを動かす。

小西とヨシラの計略にかかった宣祖は、李舜臣にプサンで加藤の艦隊を討ち、日本軍の再徴の意欲を打ち砕くように命ずるのだが・・・


第88話 7月3日 放映

勝算のないプサン攻撃はできないという李舜臣と、命令を破った李舜臣を捕らえよという宣祖。
領議政の柳成龍までもこれ以上李舜臣を保護できないところまで来てしまった。

李舜臣の護送命令と共に元均には統制師の任命教書が送られる。
これを知ったイ・ヨンナムは李舜臣のいない朝鮮水軍、元均が指揮するだろう朝鮮水軍への憂慮に、若い血気を押さえ切れず統制営に馬を走らせる。

この信じられない話に統制営の将校達は警戒令を出し、緊張を緩めなかったが、李舜臣はのんびりと離任準備を進めるだけだ。
もどかしさに将校達は何があっても将軍を送る事はできないと、李舜臣に決断を迫り、李舜臣はどんな決断を下しても自分を信じて従うという署名を要求する。
将校達は署名と手血で自分達の決意と李舜臣への信頼を表するのだった。

李舜臣を護送する議禁部の使者がやってきた。
統制営の民たちは慟哭しながらこれらを防ぎ、将校達は議禁部と元均を前に李舜臣の決断を実行しようとするが・・・


第89話 7月9日 放映

“無君之罪”議禁部では李舜臣に対する刑問が始まった。
李舜臣を調べるユン・ドゥスは、李舜臣がどんな拷問を与えても罪を自白しない事を知り、宣祖に特別な処置を与えるように要請する。
宣祖は自身が刑問をすると言う。

新任統制師元均は、李舜臣が構築してきた全ての制度を撤廃し、自分のやり方で統制営を指揮するという意志を明かし、以前閑山島科挙に合格した軍官を一兵卒に戻した。
陣中の秩序が乱れるのを憂慮し、反旗を翻すだろう将校達からは辞職書をとりつけ、元均は新しい人事改編を断行する。
これにより統制営は李舜臣が統制師としていた時とは全く違う姿に変わって行くのだった。

一方柳成龍は監禁中の李舜臣に会う。
拷問により疲れきり、体も起こす事のできない状態でも、李舜臣は柳成龍に元均が無謀な決断を下さないように力を尽くすように頼む。
全力を尽くし敵と戦い、勝っただけ、罪という罪のない李舜臣をこんな姿にした朝廷に怒りを覚えた柳成龍は、宣祖に会いに行くのだったが・・・


第 90話 7月10日 放映

過ぎた日の戦績により命だけは取り留めた李舜臣。
宣祖は李舜臣に2度目の白衣従軍を命じる。
任地である順天に向かう前、牙山に寄り父の墓参りをしていると、母が監禁中の息子を一目見ようと麗水から牙山に向かう船に乗ったという消息を聞きつける。
結局腰の曲がった80過ぎの老母は自分に会いに来る前に客死してしまったが、李舜臣は葬儀も最後までする事のできない白衣従軍の身。
1日も早く任地に赴かなければならない事実に胸が痛い。

李舜臣が戦場を離れたと喜んでいた日本の将校達は未だ、李舜臣が生きているという事が気がかりで、元均が動き出すようにおとりを準備する。
宣祖に自分を煮認めてもらいたい元均は日本軍が内海を掌握しているならばと、外海からのプサン攻撃を計画する。
唯一統制営に残ったキム・ワンは不可能だとこれを止めるが、元均は聞き入れない。
まず斥候船を送る事を提案する。
結果、元均の強力な支持者キ・ヒョウグンまでもが外海からの攻撃は不可能であるという事実を知り、元均に反対するが元均はかえってキ・ヒョウグンを辞任に追い込む。その時、日本軍が巨済の長門浦と永登浦を占領したという情報が入る。
イ・ヨンナムは要領を得ない元均に、かつて李舜臣と参謀達が残した作戦の資料の数々を見せるのだった。

<とぶわに 久々の感想> もおおおう、なんともいえずに悲しいです・・・
ところで最後の元均、李舜臣が残した海戦図や様々な資料をみて、ぷっつん切れてました。
きっと今更ながらに李舜臣の国を守りたかった本心に気づいたのでしょう。
まっすぐでプライドの高い元均は、何よりも自分が許せなかったのでしょうか・・・そう思いたいです。
来週は元均最期の日・・・
民心を失い、行くべきところを見失った朝鮮という国が、自ら招いたともいえるこの戦乱。
絶望の果てにはやはり李舜臣がいたのです・・・



第91話 7月15日 放映

朝廷からの釜山攻撃命令が日増しに激しくなる中、元均は李舜臣が残した莫大な数の資料から、釜山攻撃は不可能である事を悟ろうとしていた。
元均は元帥クォン・ユルに水軍だけでは勝算がないと、陸軍が加徳と安骨の敵を討ってくれれば釜山に進撃すると、水陸合同作戦を要請する。
水軍だけで釜山を攻略できると大口をたたき、李舜臣の護送を催促した元均が、今になって陸軍の助けを必要としている事に怒りを覚えたクォン・ユルは、元均を呼び付け刑罰を与え、すぐに釜山を攻撃するように命じる。
クォン・ユルからも屈辱を受けた元均は、李舜臣の残した資料を全て焼き尽くす。
イ・ヨンナムは水陸共攻ならなくて釜山を攻撃できないと言い訳せずに、李舜臣の判断が正しかった事を認める事が重要であると言うが、元均はそんなイ・ヨンナムさえも免職させてしまう。

丁酉年7月、元均は勝利の確信がないまま無謀に釜山に進撃した。朝鮮水軍の出陣を待っていた日本水軍は、多大浦で一旦元均に小さな勝利を与える。
勇気を与えられた元均は気勢に乗って釜山に進撃しようとするが、日本水軍は完璧な防御態勢で元均が囮に食いつくのを待っていたのだった。


第92話 7月16日 放映

退却した朝鮮水軍を待っていたのは日本水軍の潜伏部隊だった。
欺瞞術、潜伏、奇襲攻撃!日本軍の隙のない攻撃に押され、加徳島で軍500を失った元均は再び漆川島に退却を余儀なくされる。

水軍の状況を伝え聞いた李舜臣は最悪の事態に備えなければならないかもと、訪ねてきたイ・ヨンナムに閑山島の清野(非常事態に民の全てを軍が掌握すること)を命じ、クォン・ユルに元均への出撃命令を撤回するようにと心から請うのだった。

漆川島に閉じ込められどうする事もできない状況に陥り、兵士たちの恐怖感は増すばかり。その中で、最初から勝算無しと見込んでいた慶山右水師ペ・ソルは、傘下の12堰で探索に出ていき、そのまま戻ってこない事態まで発生した。脱走したのだった。
ぺ・ソルの後に続き脱走兵が後を絶たず、これ以上出撃命令を出せない元均。
後悔し、やけになる元均だったが、キム・ワン始めとする将校や兵卒達の真の心にふれた。
朝鮮の旗の下に我々は一つなのだ・・・
そして閑山島に帰投することを命じる。
速やかに閑山島で陣営を組み直し、以前のように見寧梁の封鎖に全力を傾ければまだ勝ち目はある。希望を胸に抱く朝鮮水軍だったが、しかしすでに漆川島は3重4重に包囲され攻撃の嵐に包まれてしまう・・・

<とぶわにの感想>元均、かわいそうでした。よく李舜臣と比較されながら臆病者、猪突猛進型とか言われて、歴史上では評価されてこなかった元均です。
でもこの時代そうなるのもやむを得なかったのかもしれません。
元均の場合、李舜臣の代わりに統制師になって、朝廷からの執拗な釜山攻撃命令を受け、仕方がなく出陣したようです。出陣しなければ、御命に背いたと第2の李舜臣になる可能性がありました。反逆者として味方に殺されるか、戦場で英雄として死ぬか、その究極の選択に軍人である元均が出した答えは一目瞭然です。

ドラマでは感動的にこの元均の死を扱いました。
先ず、にっちもさっちも行かなくなった元均に、キム・ワンが涙で帰営する事を訴えます。
「私が将軍にお伝えできる事はただ一つ。それは現在の三道水軍統制師はあなただけだという事です。自分も他の兵士たちも信じて付いて行けるのは、将軍、あなただけなのです。我々は将軍の部下なのです」
その言葉を聞いてウルウルしてくる元均。
外では李億悸などの将校、兵卒達も皆元均の決断を信じて待っていました。
「部下達の忠心を信じて下さい。皆将軍についていきます」

自らの過ちを悟り、帰営する決心をする元均。元均は李舜臣とお互いを信じ合った若き日を振り返ります。
その表情は穏やかでした。

ところが、日本の大軍に包囲されてしまいます。
やむを得ず戦いに突入する朝鮮水軍。キム・ワンは捕らえられ、李憶悸始め将校や兵士たちが次々と倒れていきます。

上陸し逃亡しながら元均は考えます。
自分が間違っていて、李舜臣が正しかった事を、1週間前、いやせめて2日前に悟っていたら、艦隊全てを失わなかっただろう・・・

逃げいく山の中で日本軍の声や銃声がだんだん迫ってくる・・・
元均はここで終止符を打とうと決意します。そして腹心であるウ・チジョクに
「私はまだあなたの上官であるか?」
「もちろんです。将軍」
「ならば最後の命令である。逃げ延びて李舜臣の忠実な部下となれ」

元均は一人残り、日本軍と対峙します。
刀を抜き、堂々と・・・
(彼と共に朝鮮を守りたかった。しかし天は容赦なく自分の罪を問うのか・・・)

元均を撃った銃声が山の中に響きわたり・・・



戦争の生々しさ、理不尽さがよく表れたエピソードです。
結局当時の朝鮮は王独りの物であって、民衆の物ではない。
王の怒りに触れれば情け容赦なく排他される時代にあって、政治家ではない彼等軍人達はあまりにも純粋だったといえるのではないでしょうか。
罪人として生き残るか、英雄として死ぬか、李舜臣もこの究極の選択を迫られたのだと思います。
少し前ならば、生き残って朝鮮を守のだという確固たる信念を貫いたであろう李舜臣も、この戦争の虚無感に打ちひしがれ、さらには愛息子の死に接し、死ぬというタイミングを自分で計ったのではないかという気もしてきます。

「刀のうた」にもお腹を空かせた人々、慟哭しながら追ってくる民衆、真っ赤に染まった海などの描写がとてもリアルで、戦争を経験した事のない私も漠然と戦争の真の悲惨さに触れる事ができました。
それは全然美しい物ではありません。でもその中でも人は生きていかなければならない、飢えても、病気になっても明日を生きて行く。
私だったらそんな状況下で生きて行けるのだろうか?

李舜臣は飢えた、病んだ、かわいそうな民衆のために戦ったのでしょう。
しかし自分の命は自分では守れないというアイロニーのなかで、究極の選択を迫られたのでしょう。

「不滅の李舜臣」は大河ドラマ史上例を見ない作品だと思います。
というか、李舜臣の人生そのものがドラマティックであったというか。

信念を貫き、誰にも汚されなかった李舜臣のドラマなのです。



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