カテゴリ:電波系
まだページを作るほど書き上げていないので、日記に書いていこうかなー・・・程度のものです。
ま、つたない文章による物語です。 あまし気にしないでくらはい(--; うっすらと白い雪化粧をした木々の間に、紅い艶やかな花が咲いている。 敷地内の隅、広すぎる庭の中に作られた小さな古い庵のような場所がその家だった。 その庵の縁側に、降り積もる雪のように白い娘が座っていた。 年のころなら16、17… 白い肌が冷たい外の空気に晒されつづけていたのか、すっかり青みを帯びている。 着ているものといえば、古風な白地の小紋であった。 決して華やかな印象を与えない…まるで死装束のような白地に白い花が描かれている… ただ白い帯に描かれた紅い椿と、着物の裾からちらりと見える裾回しの紅い色が目を惹いた。 「夢月は、椿の花になりたかった。」 誰もいないはずの縁側で、少女がポツリと言葉を落とした。 「花首落ちてなお、艶やかに咲きつづける花になりたかった。」 だが、しかし、かつて…その言葉に答えてくれたものは、もうそこにはいない。 少女は その、かつての声の主に答えを求めて虚空を見つめる。 この世の何処でもない場所を見る。 そして、また何時間もそこに座り続けるのであった。 「おはよ。くーや。」 朝食の香りにつられて起き出して来た私の目に、いつものように窓の外を見つめる孔宇也に挨拶をする。 「あぁ、椎菜か…おはよ。」 ちらりと窓から目を外しただけで、そっけない返事をすると孔宇也の視線はすでに窓の外である。 まぁ、毎朝のことなんだけど。 彼が我が家に住み込むようになって、そろそろ7年になるはずである。 なんだか詳しいことは知らないんだけど、仕事の関係でウチにはほとんど居ない父の恩師だか、なんだかの息子さん…だとかなんとか聞いた気がする。 私には、9つも離れた姉がいるだけで 近所にも同じ年頃の子供が居ない。 孔宇也がやってきたのは、私が小学校に入学する矢先の頃だったから、同じ年の子供が同居するというのは嬉しいような、くすぐったいような…そんな感じだったのを今でも憶えている。 憶えている…というのが正しいのか、どうかは解らない。 何しろ今でも私の心は、毎朝この光景を目にするたび同じ感覚を覚えるのだから。 「孔宇也、"気"を下げろ。 いらんもんまで寄ってくる。頭が痛い。」 声を聞くまで気付かなかったが、孔宇也の目の前のソファに姉がだらしなく寝そべっている。 彼女がこの時間に起きているということは、昨夜は眠っていない…ということだ。 「玲菜さんに害が出るほど、上げているつもりはなかったんですけど…。キツイですか?」 「きつい。」 言われて孔宇也は、やっと窓辺から離れて食卓に向かう。 ずっと成り行きを見ていた私と目が合って、孔宇也は「くすり」と笑って肩をすくめる。 正直な所、この手の二人の会話は私にはよく解らない。 姉の仕事というのが、「霊視」というもので生まれ持った才能なんだそうだ。 ついでに言うなら、生まれ持った外見的な「美」というものにも恵まれているおかげで仕事には不自由していないらしい。 一方 妹の私ときたら、その手のものは両方とも持ち合わせていない。 外見的なものは、ともかく「霊視」なんて出来ない方が気が楽だとは思うんだけど。 困ったことに 孔宇也は、その手の本家本元の生まれなんだそうだ。 だから姉とこういう話を始めたら、私に入る隙などない。 なんて不平を言ってみても、姉たちが私の前で"この手の話"をするのは今のような短い会話だけだ。 <つづく・・・・かもしれない> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2022.02.18 12:00:53
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