浅川ダム契約解除に対する「声明」

声   明

田中康夫長野県知事は昨日2002年9月25日浅川ダム建設工事を発注した前田・フジタ・北野建設共同事業体に契約解除の手続きを行いました。
浅川ダム建設の中止を求める世論は、すでに10年前からダムの危険性に対する不安から浅川流域に住む市民を中心に広がり、ねばり強く反対運動が行われてきました。
浅川ダム計画は、多くの問題点を抱えながら計画されたものですが、吉村県政時代は行政の説明責任も果たさず、住民の意見も反映されることがありませんでした。
私たち浅川ダム建設阻止協議会は、2000年6月浅川ダム建設は公金を支出するに相応しくない公共事業として1570人によって住民監査請求を行いました。長野県は監査請求の結果を待つことなく、7月には談合情報があったにもかかわらず、入札を強行し、前田建設共同事業体へ工事を正式発注致しました。住民監査請求は却下され、私たちはその年の9月、243人の原告団によって長野地方裁判所へ「公金差し止め」を提訴致しました。
田中県政の誕生によって、すべての情報が公開されるなかで、条例に基づいて設置された「県治水・利水ダム等検討委員会」は、住民も交えた活発な検討を行い、その結果「ダムによらない浅川の治水対策」を行うことが決定され、さらに県知事選挙という形でこの方針が県民の圧倒的な支援を受け、ついに契約解除を迎えることができました。
ダム建設の中止を求めてきた私たちの運動を長年にわたって支援して頂いた多くの皆さんに心からの感謝を申し上げると共に、真摯に長野県の河川行政、公共事業のあり方を検討し、誠実に県民の声に耳を傾け、果敢に抵抗勢力と闘い、今回の英断を下された田中康夫長野県知事に心からの敬意と感謝を申し上げるものです。
今後本格的に、多角的総合的な治水対策の検討がはじめられますが、下流域の深刻な内水災害への対応、また都市型水害への対応など一日も早く安全な浅川の治水対策が具体化されるよう求めるものです。さらにいま問題になっている談合疑惑についても早期の解明を期待します。
また浅川流域の長野市長、豊野町長、小布施町長、またダム建設を進めた県会議員においては、民意を尊重し、ダム建設に固執することなく、県が進める総合治水対策に積極的に協力するよう、強く要望致します。
長野県はすでに多くの河川にダムが建設されています。裾花ダムを始め、その多くはダムの宿命である堆砂問題を抱え、今後早急な対策が迫られています。県財政は厳しい財政運営となっていますが、県民の英知を結集し、「脱ダム宣言」の理念をより豊かに具体的に発展させることができるよう、私たちは今後も長野県の公共事業、河川行政のあり方、安全な郷土づくりなど、共に考え提言もしていく決意です。

2002年9月26日
浅川ダム建設阻止協議会代表
山 岸 堅 磐




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