笑うが勝ち

2010/01/31(日)11:00

少年とババ

ナースと呼ばないで(102)

先日  小学2年生のオトコのコが 足を痛めた様子で診療所に入ってきた。 一緒につきそってきたのは 彼の祖母のようだが なにやら受付のスタッフが とまどっている様子。 なんだ? なにかあったのか? 事務所の奥にいたワタシには 声だけが聞こえている。 「・・・ですからそれは 診察を受けていただいてからです。 レントゲン撮影についても それからのお話になりますので。」 どうやら 受付窓口に来ていきなり ここがこうなってるハズだとか レントゲン撮影しろだとか スタッフに指図しているようだ。 何を言っても無駄な感じの ババ おばあさんだったので とりあえずカルテを作成するため 問診表に記入してもらうことに。  保険証についての質問があったのだが ちと複雑な事柄だったので まだ慣れていないスタッフに代わり ワタシが直接質問するため 少年とおばあさん(やっぱり略称・ババ)に近づいた。 「ほら!ココに名前を書くのよ!」 え~ あのー  「ふりがなもちゃんと書くの!」 ○○さん、ちょっといいですか? 「そこは誕生日!それに○をつけるの!」 ・・・・・。 少年自身に問診表を書かせようと しているのは わからんでもないが それにしては 考える暇をあたえることなく ものすごくイライラと横からクチを出し ワタシが、確認の済んだ保険証を お返しするために声をかけても こちらを向きもせず ここに乗せろといわんばかりに ババは黙って自分の手の平を ワタシに向かって突き出した。 あんたは 手術中の医師か  「ほら!明治・大正・昭和・平成! あんたはどれ?平成生まれでしょ?!」 ババの荒々しい声に 少年のペン先がオロオロと迷ったので ワタシはたまらず 「いいのよ。自分で考えて書けば。」 と彼にやさしく声をかけた。 そして ワタシの顔を見上げたババに すかさず保険証について質問をはじめた。 すると 少年 年号の欄を無視して大きく 『2001年』と書き込んだ。 おっ やるやん。  小さな反抗だったのか 天然少年なのかはわからないが なんだか気持ちよかった。 「あれ!まぁ! 何よそれ!」  とペンを取り上げようとするババを制し 「いいのよそれで。それも正解。」  と少年にオッケーサインを出し ワタシはババに保険証の質問を続けた。 彼の診察が始まってからは 自分の席に戻ってPC作業をしていたので 少年とババの様子はわからなかったが 待合室から聞こえてくる声からして 「学校の先生にこう言うのよ!わかった?!」 セリフの練習までさせられていたようだ。 少年がババと同居しているのか 付き添われて来ただけなのかはわからんが おそらく彼は あのババに 普段の生活でもこんな風に ガミガミと怒鳴られていることだろう。 自分で考えることを取り上げられ なんでも先回りされて 正解だけを教え込まれていると 『間違うことのないイイ子』が育つ。 しかし 人生経験という意味での 小さなケガをすることもできない 少年の将来が たまらなく心配になった。  あのコの母親がお嫁さんだったらお気の毒とスタッフ一同意見一致。 ←賛同クリックはココ。

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