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7月1日は、こころの看護の日。
小川 洋子さんの「物語の役割」から、 この笑店に載せる記事を選ぶ時の視点としても 大切なことが書かれているお話を見つけましたので、ご紹介します。 河合隼雄さんの「ココロの止まり木」という本の中で、 京都国立博物館の文化財保存修理所を見学した折、 欠けた布を修復する際に 補修用の布が もとの布より強いと、 結果的に もとの布を傷めることになる。 補修する布は もとの布より 少し弱くなくてはいけない、という話を聞き、 カウンセリングという自分の仕事に似ていると感じた、と書いておられます。 補修する側が補修されるより強すぎると駄目なのです。 物語もまた人々の心に寄り添うものであるならば、強すぎてはいけないということになるでしょう。 あなた、こんなことでは駄目ですよ。 あなたが行くべき道は こっちですよ、 と読者の手を無理矢理引っ張るような物語は、本当の物語のあるべき姿ではない。 それでは読者をむしろ疲労させるだけです。 物語の強固な輪郭に、読み手が合わせるのではなく、どんな人の心にも寄り添えるような ある種の曖昧さ、しなやかさが必要になると思います。 到着地点を示さず、迷う読者と一緒に彷徨するような小説を、私も書きたいと願っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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