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東京から青い風2005

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ベッチーニョ★

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2003.03.17
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カテゴリ:カテゴリ未分類
大学の宿題で書評を書いたんだ~★
読んで知的興奮を得ていただきたい。

 これから、佐藤俊樹の「不平等社会日本」について書こうと思う。日本型の経営システムが崩壊し、それに変わるシステムを見出せず、深刻な不況に苦しむ今の日本は、激しい閉塞感に覆われている。この状況から脱出するには、ただ己の感情や観念でもって、ひたすらに軽蔑するのみではいけない。感情論ではなく、しっかりとしたデータに基づき将来の為に新しい社会デザインを構築せねばならない、という点で他の書物とは違い、もっと現実的な目で日本を捉えることが出来るのではないか、という思い出この本を選択した。
 私は、生まれてから幼稚園、小学校、中学校、高校と、一般的な進学を進めてきたが、学校社会以外の世界をほとんど知らず、日本社会がどれほど平等で、もしくは不平等なのかを身をもって実感したことがないけれども、著者が、社会階層と社会移動全国調査、略称SSM調査の統計から行った分析によると、戦後進んだと思われる平等化が、1980年以降に一転して、階級社会に転じ、不平等な社会になったらしい。不平等社会とは、努力しても仕方ない社会のことを指すが、私の生まれ年が1984年であるから、どうやら私の世代の日本は、努力しても何も変わらない不平等な社会であるらしい。
 SSM調査は、1955年以降10年毎に行われているが、この調査での職業は大きく以下の6つのカテゴリーに分類される。ホワイトカラー上層、下層、自営、ブルーカラー上層、下層、そして農業である。日本社会に於いてはホワイトカラー上層、つまり知的エリートが先導し、下層上位者であるのだが、そのエリート達は、親の地位を継承した、再生産されたエリートであり、本人の努力だけで勝ち得た地位ではない、と筆者は述べている。私たちの世代では、センター試験の受験者が約60万人。大半が4年制大学進学を望んでいる。高学歴、つまり4年制大学卒業者をエリートとよぶには、いささか不満を覚えるが、その入試も、進学も、親の地位や収入にかかわっており、本人の努力だと思われている実績も親から受け継ぐ、もしくは社会システムや性別の違いから既に与えられた既得権的な実績であるという。これは筆者に指摘されるまで気付かなかったことだが、よく考えてみると、とても的を射た分析であると思う。だとすれば、日本社会は努力だけでは報われない社会、つまり生まれによる差が決定的な差につながる不平等社会だと言わざるを得ず、こうして分化した階層のさは広がるばかりだということになる。
 努力すれば何とかなる平等社会だからこそ、そこに意欲と責任といったものが芽生え、それが社会的・経済的に日本の発展につながる、と筆者はいうが、私もそう思う。それは、戦後の日本社会の質の高い労働力による高度経済成長と、今となっては過去のセンチメントの対象でしかない社会主義の荒廃にみられるように歴史も証明していることだろう。知的エリートにおいても、進学校を卒業し、既得権に守られ、それ以外の世界を知らぬため、自らの地位に安住し、責任感を失い、結局、空虚なエリートが再生産されている。
努力したら何とかなる社会、親の差だけで自分の一生が決まらない社会にするために筆者は4つの課題と対策を上げている。1つ目は、ホワイトカラー系専門職とブルー系専門職の融合である。これがなければブルー系が未来に希望が持てなくなるからだ。2つ目は、管理職キャリアの再編である。これは簡単にいえば、エリート街道しか知らぬ者に、世界を知ってもらうということである。3つ目としては、選抜社会の多元化が挙げられる。そして最後に、世代を超えた不平等の緩和を挙げており、格差の拡大再生産の防止を唱えている。
 本人の力だけによる社会、がんばれば何とかなる社会にしたい。もし、本人の力によらない有利不利や、幸福不幸を解消するなら、それを保障する仕組みを維持し、成功といえる成果をあげた全ての人が胸をはって「自分の実績だ」といえる社会でありたいと、筆者は述べている。私の父は中学しか出てないが、私は大学に進学することが出来た。難関な入試を突破できたのは、ひとえに自分の努力のおかげだと思っていたが、やはり親の収入がなかったらば、あり得ないことだと改めて気付いた。収入の格差や学歴の格差があること自体は悪いことではないと思うが、多くの国民も望んでいるように、努力すればなんとかなる平等な社会を私も望む。生まれや親の地位による、いわば出来レースなどに何の価値もない。この本で、今の日本の現状を、感情論ではなく、データ分析によるありのままの姿を捉えることが出来た。筆者の指摘する課題、対策は正しいと思うが、これをどう実践するのか。これは筆者だけでなく、私を含めた全ての日本人に対する課題であると思う。





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Last updated  2003.03.17 10:28:13
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