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フランスと日本を行き来されているワインジャーナリスト、
堀晶代さんのセミナーに参加してきました。 「2012年のブルゴーニュ」 雹害や、春の遅霜などの天候不良が次から次にやってきて、収穫量が激減したヴィンテージです。 4月の雹、4-5月の不安定な天候と例年を上回る降水量、 6月の開花時期の雹、ベト病やうどんこ病の病害対策への人件費・ストレス増加、 7月中旬の突然の気温上昇、そしてまた雹…。 降水量データ(赤が例年データ、棒グラフが2012年数値) 生産者にとっては苦労の連続だったことに心が痛くなりましたが、 ジャン・タルディのオーナー、ギョーム・タルディさんが 「2012年は悪天候によって自然にグリーンハーベスト(ヴァンダンジュベルト)が行われたため、人間の手で収量制限をする必要がなかった」。 そして、これほどの厳しい状況を乗り越えて「生き残ったブドウは本当に力強い!!」というコメント通り、2012年、本当に素晴らしいワインばっかりでした 早熟でかつ熟成のポテンシャルが高いのです ■昨日の試飲アイテム (20時からの試飲のため、12:30に抜栓) 左から 1)2012 ジュヴレ・シャンベルタン メゾン・ルー・デュモン 2)2012 シャンボール・ミュジニー VV ドメーヌ・ユドロ・バイエ 3)2012 ヴォーヌ・ロマネ ヴィニュー ドメーヌ・ジャン・タルディ 4)2012 ニュイ・サン・ジョルジュ クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ モノポール ドメーヌ・ド・ラルロ 5)2012 ポマール レ・リュジアン ドメーヌ・ティエリー・ヴィオロ・ギュルマール 6)2012 ムルソー ドメーヌ・フランソワ・ミクルスキ (ワイン情報は一番下に記載しています) どれも15~20年の長期熟成は可能と思われるのに 今飲んでも、雑味がなくて酸味・渋味・果実味のバランスがよく、 美味しいものばかり。 これには正直、驚きました。 ミルランダージュ(結実不良)やクルール(落果)のブドウが増えたことは事実。 結実不良のブドウは、粒が小さく、タネがない場合がありますが、 小さなブドウは実に対して果皮に接する比率が多く、色が濃く抽出できるため、 質を求める生産者にとってはむしろ喜ばれること。 また、粒が小さいため、風通しもいいのです。 そうやって生き残ったブドウは、鍛え抜かれた精鋭たち。 美味しいワインが生まれない訳ありません! もちろん、生産量がかなり減っていますので 価格の上昇もあると思います。 それでも、2012年のブルゴーニュ、 追いかけていきたい魅力たっぷりの素晴らしいヴィンテージです お好きな造り手の2012年ブルゴーニュを見つけたら、 即、お財布と相談を ■ワイン情報&コメント 1) 2012 ジュヴレ・シャンベルタン メゾン・ルー・デュモン 日本人の仲田さんがブドウやワイン、果汁を買い付けて造っています。 「ここ10数年、いい生産者にはオフヴィンテージがなく、 個性としてヴィンテージを捉えている」とおっしゃる。 2010、2011、2012は特に生産者の意思を感じるヴィンテージ、とのこと。 一番チャーミングで軽やか。今飲むに美味しいピノ。 皆さん、ルー・デュモンを再認識。 2) 2012 シャンボール・ミュジニー VV ドメーヌ・ユドロ・バイエ 2010~2012年、特に品質が安定しているユドロ・バイエ。 堀さんも毎回ワクワクしながら訪問されている様子。 ヴィエイユ・ヴィーニュは、樹齢55~86年! シャンボール・ミュジニー村の上、下の畑のブドウをブレンドして造られます。 輝きのある色でイチゴや赤果実系の香りが華やか。 樽のニュアンスが今はやや感じますが、熟成するといい具合になるのでは。 シルキーで凝縮感もあり、凛とした美しさがある。 3) 2012 ヴォーヌ・ロマネ ヴィニュー ドメーヌ・ジャン・タルディ 病害のストレス、開花時期の天候の悪さによって、収量は30~40%減。 値段はやや上がっているが、それほど急激な上げ幅ではない。 これだけ悪天候が続くと 「畑仕事をオーガナイズするのは難しい」とおっしゃっていたそうだ。 2010年よりも2012年は美しい集中力があり、シルキーでエネルギーにあふれ、エレガント。 「2012年は2002年のクラシック感、2010年のバランスを兼ね備えたヴィンテージとのこと。 ジャン・タルディのオーナー、ギョーム・タルディさんはものすごくいい人らしい。 ファンが多いのも頷ける。 時間とともに香水を思わせる華やかな香りが広がる。 心地よい酸味とタンニンの集中力は素晴らしく、それでいてエレガント。 タンニン、酸味、糖度ともにバランスよく、今飲んでも美味しい恐るべきピノ。 受講生の中で一番人気だった。 4) 2012 ニュイ・サン・ジョルジュ クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュ モノポール ドメーヌ・ド・ラルロ この中で一番パワフルで複雑味あふれるピノ。 例年以上に、全房比率が高い→果梗も熟していたため、多く入れたとのこと。 カシスやブラックベリー等の黒系果実の香りにスパイス、土、鉄分、 ビャクダンのようなオリエンタルな香り。筋肉質で力強い、熟成を待ちたい1本。 5) 2012 ポマール レ・リュジアン ドメーヌ・ティエリー・ヴィオロ・ギュルマール 樹齢60年。2012年は、例年の20%しか生産されなかった(80%減)。 ポマールでは今、INAOにゼプノ、クロ・デ・ゼプノ、このレ・リュジアンの3つの畑の グランクリュ昇格申請を行っているが、早くても認可までには5~6年かかるだろう、とのお話。 ポマールより以前にニュイ・サン・ジョルジュがグランクリュ申請を行っていますが、 そちらも昇格自体も決まっていないし、決まったとしてもまだ3~4年かかる。 1つ認可されると次々に認可していかざるを得なくなるため調整中と思われる。 個人的にとても好みだったポマール。 淡い色調でチェリーやイチゴの香りもあるが、中国茶を思わせるオリエンタルな香りが特徴。 中にややハーブ的な青みを感じる。骨太なポマールというイメージとは違った、 旨味のふんわり詰まったエレガントなポマール。 さすが次期グランクリュになるだろうプルミエクリュ。 4、5は複雑味もかなりあるので、熟成させたらさらに美味しくなるに違いなく、 経済的に余裕があれば買えるだけ買っておくことをお奨めしたい! (パーカーさんみたいなコメント) 6)2012 ムルソー ドメーヌ・フランソワ・ミクルスキ 程よい樽香、トロピカルフルーツよりはシトラスなど柑橘系の香り。 力強さとエレガントさのバランスが絶妙で、張り詰めたミネラルが素晴らしい。 皆さん美味しいとおっしゃっていました。ミクルスキが目指しているスタイル通り。 もちろん熟成してからの別の姿も見たい。 ツネトミ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.10.30 17:06:20
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