墨田区の建築家 「気まぐれブログ」

2008/08/16(土)09:53

野菜の産直と、BtoC(ビーツーシー)

会社・経営(10)

夏真っ盛り、 「海に連れてってー」と言う子らの叫びに押し切られ海に行ってきた。 海と言っても電車1本で行ける三浦半島の三崎口の海岸である。 三崎口の駅前に野菜の産直(「さんちょく」と読む、正確には「産地直売」かな?)があった。 産直のおばさんが、販売所の横の畑から枝豆を引き抜きそのまま台に並べて売っている。 「収穫」→「搬送」→「販売」がおばさん一人 で、わずか30m位の距離の中で行われているではないか? 世の中、フードマイレージやら、食品偽装やら、99ショップの雇われ店長問題等、食にまつわる心配事が騒がしいが、ここにはそんな心配などない。何ていったって目の前でおばさん一人の手で行われているのだから。 扱っている野菜は「枝豆」と「とうきび」(都会では「とうもろこし」と気取って言うらしい、おばさんは、「もろこし」と言っていたが)の2品目。 「このとうきびは、朝もぎなの?」と聞くと、横の畑のほうを見ながら「朝もぎも何も今もぎだよ」と言う。「無農薬だから、おいしいよ、ナマのままでも甘いんだから」とのこと。 さて産直だが、先日、一ツ橋大学の関満博教授からとても面白い話を聞いた ・日本では60年前から無人販売所が始まった ・20年前から直売所が始まった(これは日本にしかないシステム) ・産直マーケットの一般的規模は   1時間圏内   1万人規模   100人の農家   1億円の売り上げ(100万円/人) ・産直の農業市場は6000億円! ちなみに米は2兆円、野菜は2兆円とのこと 産直は、日本の農業全体の中でもかなりのボリュームであることがわかる。農産品の販売と言えば農協が有名だが、産直とはその農協とはまったく別に発展した農家の手による農家のための販路開拓なのである。 最近はその勢いに乗ろうと、5年前から農協も参入しているとのことだが、関先生によると、店の勢いが違うので、農家主導の産直か農協主導の産直かは、見ればわかるとのこと。 農家の産直、今で言うところのBtoCではないか? 資本主義が進み過ぎると「B to B to B to B to B to B to C」と、過剰な下請け化が進む。 墨田区のベンチャー企業家によると、ビジネスは「6段のBtoBになるとつらい」とのこと いびつな下請け構造の結果 ・偽装請負 ・重層下請け ・系列 ・中間マージン ・無理な納期 ・高コスト 等々の問題が起こって、 消費者にも生産者にも不幸な状態 になっているのではないだろうか? 建築の世界でも問題はおきている。耐震偽装、施工ミスなど建築特有の問題の根もここにあると思う。 農家の産直は、進みすぎた資本主義が抱える問題点を解決するさまざまな示唆に富んでいるのではないだろうか?

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