カテゴリ:民泊
前回は、建築行政のコストが肥大化している問題点について考えました。今回からは、肥大化した建築の行政コストの結果、更に問題が起こっている点について考えてみます。内容が、具体的、複雑なため、何度かに分けて考えていきます。今回は(その1)としました。
建築の行政コストの肥大化し、民間の6倍以上のコストがかかっています。その無駄な状態には目に余るものがあります。 もちろん、国交省が現代の社会構造の変化に対応するように法律を作り制度を整備してきていることは実感しています。例えば、長期優良化住宅リフォーム推進事業等、既存の住宅を有効に使おうとしている制度には、今までとは違う国の意気込みを感じることができますし、実務者として、趣旨を理解し、その実現に努力していきたいと思っています。 しかし、国や都道府県の制度、方針、趣旨が、いったん法律という文章になり、地方行政の役人の手に渡ったところで問題が起こるのです。制度の趣旨とは違った独自の解釈によりゆがめられてしまうことが起こります。 すこし長くなりますが、東京都の制度がゆがめられた事例を紹介します。 不燃化促進という事業があります。これは、古い木造の建物が多くたつ木造住宅密集地域(木密地域)では、一旦火災が起こると次々と燃え広がり地域一帯を燃やし尽くしてしまうことから、地域の木造建物を燃えにくく(不燃化)して行こうという事業です。 昨年(2016年)の暮れに新潟の糸魚川市で、一軒のラーメン屋から出火し、4haの地域の147棟の建物が焼損しました。出火から鎮火まで30時間を要し国内において過去20年間で最大の火災となりました。このように木密地域でいったん火災が起こると大火災に発展する危険性が大きいのです。 こういった危険性も見越して、東京都では2013年(平成23年)に「木密地域不燃化10年プロジェクト」を策定し、災害時に甚大な被害が想定される整備地域(7000ha)の不燃化率を2020年(平成32年)までに70%に引き上げていくことを目指しています。 制度としては、大変素晴らしく、ドンドン進めていただきたいと思いますし、整備地区に住む住民としても、また建築士としても協力できる点については協力していきたいと思っています。総論としては全く問題なく賛成ですが、ここで、実際に執り行う部分で問題が起こります。 次回は、実際の行政での取扱現場で起きたあり得ない事例について掘り下げていきます。 かなや設計 環境建築家 金谷直政 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年07月18日 18時04分12秒
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