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丸谷才一の『輝く日の宮』を面白く読んだ。大人のためのエンターテイメント。確かな学識と小説作りの才能がほどよく調和し、文学好き、源氏好きをうならせるもの。
もっとも和辻哲郎の直観から始まり、武田宗俊により「実証」された例の紫上系、玉鬘系という源氏物語の成立論はこの業界では不評なのだが、そこに足場を置いたこの小説の主人公の「輝く日の宮」の論は、業界の専門家たちにはどう受け止められるだろうか。ぼくは武田宗俊の説の確かさを信じるものだから、とてもうれしかったのだが。大野晋先生もそうだろう(先生の回復を祈る)。奔放にして切ない。切なくて大人。ひさしぶりに小説の醍醐味を味わった気がする。 と書いて、梅雨の陰鬱さに「ながめ」いるばかりのこのごろである。小説の面白さも、自然には勝てないということ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 24, 2003 08:02:59 PM
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