詩人たちの島

あ　浅き夢みじ　酔ひもせず
い　色は匂へど　散りぬるを
う　有為の奥山　今日越えて
え　縁側で歌っている　父と娘が
お　老いた父のペニスも尻も遠慮なく洗う
か　快適な空の風呂
き　昨日のケンカは遠い子供時代の思い出
く　苦労して　ぼくたちはここまで歩いてきたよね
け　結婚して三十四年が過ぎたなんて
こ　この道はどのみち誰も歩めない
さ　最後の年に娘はぼくの身体を清めるだろうか
し　死んだとき初めて父のペニスを見るかもしれない
す　好きも嫌いもこんなオルガンが発動していたのだと
せ　セックスのもののあわれ
そ　そこが私の芽生えなどと
た　たった一度も思わずに介護の道を妻は洗っているのか
ち　乳の実の父の命（みこと）
つ　尽きせぬ富士の山のような思いを隠して
て　ていとうていとう　後世を助けたまえ
と　とよむ鳥雉（きざし）　
な　南無
に　にやまれぬ親子の縁（えにし）
ぬ　脱がしてあげる
ね　ねもころに　父子と夫婦を脱がしてあげる
の　ノンシャランと巷を闊歩すれば
は　はらりと付文が舞い込むかもしれない
ひ　ひるまず進めわが友よ
ふ　普通の人の抑圧を解いて
へ　屁をひる
ほ　星に願いを
ま　真塩はペンシルバニア　杳子はフロリダ
み　実も花も咲く人生を送ってくれ
む　ムーン・ビーチで興奮する
め　眩暈の果てに小さなファミリーの残像がある？
も　もう地球も何もないのだから
や　優しさ＋冷酷さ＝異邦人たちが
ゆ　ゆるやかなダンスを踊る
よ　よ
ら　ら　ら　ら
り　リスクも自己責任も関係ない
る　瑠璃の花園
れ　レキシントンの戦いに戻れと
ろ　呂律の回らない父は
わ　和歌に詠んでいるが
を　をとことおとこは仮名がちがう
ん　「ん」という父たちの音節は既に死語だ

　　　　　（2004年7月2日午後8時50分から10時02分まで）