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詩人たちの島

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October 24, 2004
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陳情規定
1、反米的にならないこと。
1、怒ったり悪口をいわないこと。
1、必要なこと以外はみだりに米軍にしゃべらないこと。
1、会談のときは必ず坐ること。
1、集合し米軍に応対するときは、モッコ、鎌、棒切れその他を手に持たないこと。
1、耳より上に手を上げないこと。(米軍はわれわれが手をあげると暴力をふるったといって写真をとる。)
1、大きな声を出さず、静かに話す。
1、人道、道徳、宗教の精神と態度で折衝し、布令・布告など誤った法規にとらわれず、道理を通して訴えること。
1、軍を恐れてはならない。
1、人間性においては、生産者であるわれわれ農民の方が軍人に優っている自覚を堅持し、破壊者である軍人を教え導く心構えが大切であること。
1、このお願いを通すための規定を最後まで守ること。
右誓約いたします。
 1954年11月23日       真謝、西崎全地主一同(署名捺印すること)

有名な伊江島の軍用地奪還闘争の規定である。征服者米軍の横暴に一歩もひるむことなく、阿波根昌鴻さんはじめ伊江島の農民たちは自らの土地を理不尽に演習場にとりあげる米軍との逮捕・爆撃覚悟の戦いに以上のような心構えで立ち向かっていく。この戦いの経緯は岩波新書「米軍と農民」(1973年初版・阿波根昌鴻著)に詳しい。この本は牧瀬恒二という人が阿波根昌鴻の戦いの膨大なメモ・日記、本人からの聞き書きなどをもとにまとめたものである。同じ新書で出ている阿波根昌鴻著「命こそ宝 沖縄反戦の心」(1992年)も同様にして出来た本である。牧瀬の編集していた「沖縄事情」という本のことも私は知りたい。「米軍と農民」はすばらしい本である。そこに働いた牧瀬という人のことも調べてみたい。そのことを言いたいのではなかった。私が言いたいのはこの「陳情規定」(なんという言葉!)にみなぎる倫理的な正しさの感覚、これがすべての沖縄の戦いの原点であり、出発点ではないのかということである。とくに「1、人間性においては、生産者であるわれわれ農民の方が軍人に優っている自覚を堅持し、破壊者である軍人を教え導く心構えが大切であること。」という規定はそうである。

なぜこの規定のことを思い出したのか。
今日は「連続ティーチ・イン沖縄第一回」(主催 連続ティーチ・イン沖縄実行委員会)という会が国立の一橋大学の記念館みたいなところであったので参加してきた。沖縄を代表する建築家でもあり「沖縄環境ネットワーク」世話人、ご本人によれば「saco合意を究明する県民会議」委員、真喜志好一さんの話を聞きたくて参加したのだった。「辺野古海上基地は止められる」という題で、パワーポインターを使い、スクリーンに実にわかりやすく問題点を整理しながら話された。緻密な論理で暴かれていくsaco合意なるもののでたらめさと欺瞞は、見て聞いて「目からウロコ」が何枚も落ちるような思いをした。要するに、普天間を返還する代わりに辺野古に「移設」するというのは、米軍と日本政府が1960年代から(復帰前の密約ともからんでいる。もちろん米軍のリードによってだが)作り上げていたシナリオであって、実は「移設」などではなく「新設」にほかならないというのが彼の説である。苦労して手に入れた米軍の機密文書などが披露される。力のこもった説得力あふれる話だ。老朽化した軍事施設、新しい兵器の使用、軍港の拡大などのために、この話は60年代から練られていたというのだ。おまけのように普天間返還というダミーを出すことも日米とも承知済みということだった。日本政府は絶対にそれを認めないが、辺古野のジュゴンを原告としてアメリカ政府直接にはラムズフェルド国防長官を被告にして訴えた裁判(ジュゴン訴訟・これも真喜志氏が中心になっているのだが)の話では、裁判官がアメリカ側にこの訴訟の被告能力―すなわち当事者性がないということに決定すると相手は日本政府になり、そうなれば普天間返還・辺野古「移設」の経緯が明らかにならざるをえない、アメリカが認めれば、アメリカの国内法でいかなる国の文化物をも破壊することは許されないとあるから、ジュゴンを住めなくする「辺野古海上基地は止められる」のだというのが、私の粗雑な頭で、しかもところどころはしょってまとめた彼の結論である。

「辺野古」基地反対のための座り込みの様子がビデオで編集されて映し出された。ゆうに百日を越えている。オジーやオバーの明るい顔、カヌーで防衛施設局の調査ボウリングを阻止するための訓練、スクラムを組んで「ごぼう抜き」をふせぐ訓練のようすなど。施設局の役人たちとの応対が双方坐ってなされている。そうだこの場面を見たとき、私はその昔の伊江島の「陳情規定」を思い出したのであった。直接の相手は米軍ではなく、たぶん同じ沖縄出身の施設局の人々だろう。双方にこやかに折衝しているように見える。だが、相手側の背後にいるものの、なんと昔から今まで「永遠」と思われるほど変わらないことか!復帰前は米軍だけを相手にしていればよかったのかもしれない、今はこれに米軍以上に筋の通らない日本政府も加わっている。戦いの様相は複雑さを増した、しかし真喜志さんはじめ辺野古の人々が「倫理的な正しさ」において絶対に優位であるのは昔も今も「永遠」に変わらない道理である。

実行委員のなかに今年大学一年生になる私の教え子がいる。その真摯で濁りのない眼を見た。沖縄の戦いからまっすぐに学ぶべきものは学んでほしい。いたずらに何かをしなければならないというようなことではなく、また「回路」の切断を嘆くのでもなく、一人で立ち、一人で考えることから初めてほしいと私は思った。そう、2年生のときの合唱祭参加拒否、あれがきみの「民主化闘争」の開始宣言であり、その戦いを続行していくことで「沖縄」に出会ったのだと私は考える。真喜志さんが話されたのもそういうことだろう。京都土産のお酒ありがとう。大事に飲むよ。





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Last updated  October 24, 2004 11:02:12 PM
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船津 建@ Re:Die schlesischen Weber(シレジアの職工)(05/25) 引用されている本にはかなり重大な誤訳が…
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