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The Blue Stones Raymond Carver
If I call stones blue it is because blue is the precise word, believe me. ― FLAUBERT You are writing a love scene between Emma Bovary and Rodolphe Boulanger, but love has nothing to do with it. You are writing about sexual desire, that longing of one person to posses another whose ultimate aim is penetration. Love has nothing to do with it. You write and write that scene until you arouse yourself, masturbate into a handkerchief. Still, you don’t get up from the desk for hours. You go on writing that scene, writing about hunger, blind energy― the very nature of sex― a fiery leaning into consequence and eventually, utter ruin if unbridled. And sex, what is sex if it is not unbridled? you walk on the strand that night with your magpie friend, Ed Goncourt. You tell him when you write love scenes these days you can jackoff without leaving your desk. “Love has nothing to do with it,”you say. You enjoy a cigar and a clear view of Jersey. The tide is going out across the shingle, and nothing on earth can stop it. The smooth stones you pick up and examine under the moon’s light have been made blue from the sea. Next morning when you pull them from your trouser pocket, they are still blue. ― for my wife それらの石を私がもし青と呼んだとしたら、青がもっとも的確な言葉だったからに他ならない、信じて欲しい。 フローベール あなたはラブシーンを書いている エンマ・ボヴァリーとロドルフ・ブーランジェとの、 しかし愛はそれとは何の関係もない あなたは性的な欲望について書いている、 もう一人を所有したいという切望 その究極の狙いは挿入である。 愛はそれとは何の関係もない。 あなたはそのシーンを書き続ける あなた自身が勃起して、 ハンカチのなかに射精するまで。 まだ、あなたは机に向っている 何時間も。あなたはそのシーンを書き続ける、 書いている 飢えや盲目のエネルギーについて― 性のまさに本性について― 成り行きへの火のような傾き そして遂には、まったき破滅 抑制がなければ。そしてセックス、 もし抑制されたセックスがあるとして、それはセックスといえるのか? あなたは岸辺をその夜散歩する おしゃべりな友人エド・ゴンクールと一緒に。 あなたは書いているときのことを彼に語る ラブシーンを書きながら最近自慰できるということ 机を離れることなく。 「愛はそれとは何の関係もない」と、あなたは言う。 あなたは葉巻を味わい、ジャージー島の晴れやかな眺めを楽しむ。 潮流が砂利浜を越えていく、 それをとめることのできるものはなにもない。 海から潮によって運ばれた滑らかな石をあなたは拾い上げ、調べる 月の光の下で、石は青く輝いている。翌朝あなたはそれらの石を ズボンのポケットから引き出す、石はまだ青く輝いている。 ― 妻に 京都の高野さんが、そのblogで、ぼくの旧作The Blue Stones(「樹が陣営」22号・August2001)に触れていろいろ書いて下さっている。ありがたいことで、そこでの彼の指摘を新鮮な感じで読んでいる。その詩は高野さんの言うように、まずカーバーのこの詩が基本にあってできたものだった。 こうして誤訳をおそれずに訳してみると、昔読んだとき、そして自分の詩を書いたときとは異なる感慨にうたれる。このカーバーの詩は傑作である。その思いを強くした。これに影響を受けて書いた自作はヘボ詩である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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