カテゴリ:作物
取りすましている
そういうわけはない、とり乱しているのである おきどころがない、身の 追いつめられ、あと少しでつかまる 情愛の無さや、勝手に生きてきたことの 皐月過ぎ、水無月の水に濡れて、 それでも生きていることの、やせた息を感じている 臆病な曇り空 おやすみ、六条の人よ つれない夏至の光はきみを照らすことはないだろう だれもが物の怪になれるわけではない 「心やましさ」と「ねたさ」の河を流れてゆくものから 魂はそっと離れてゆくのだ 離れてゆけ 離れてゆけ 陰陽と五行の闇にのまれて この身は立っている 生存というのはそういうことではなかったか さびしさとまずしさの底をのみほすと さっと季節は変わり 冬至のきわまりで世界もかわるのだ 取りすましている そういうわけはない、とり乱しているのである おきどころがない、身には 魂はいらない 両親や良心も 人に笑われるとか、心の闇とか鬼とか、責めたり責められたりする 悲喜劇を発明した連中の創作にすぎない なぜ「憂し」だけが 六条の人よ きみを限るのだ 「袖ぬるるこひじとは知りながら下り立つ田子のみづからぞ憂き」 掛詞、縁語に満ちた生を生きてゆくかなしさ それでも独り詠む歌の激しさ とり乱した者のとり乱した姿をとり乱す こととは知りながら 魂はいらない この身から 離れてゆけ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 4, 2007 09:16:59 PM
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